冬至


「なんだってこんな日に停電なんだ。」
暖炉の前に座り込んでロイがぼやく。外はとっくに陽が落ちて部屋の中はすっかり闇に包まれていたが、光源と言えば
暖炉の中でパチパチとはぜる薪が上げる焔だけだった。
「おかげで本も読めやしない。」
せっかく早く帰れたのにと頬を膨らませるロイにハボックがクスリと笑った。
「たまにはいいんじゃないスか、のんびり過ごせて。」
「のんびりを通り越して暇だっ!一年で一番夜が長い日なんだぞ、どうやって時間を潰せというんだ。」
ぶうぶうと文句をたれるロイにハボックが悪戯っぽく言う。
「時間なんて忘れさせてあげましょうか?」
そう言ってうっすらと笑うハボックの瞳は暖炉の焔を映して見慣れぬ色を湛えていて、それを見たロイは落ちつかなげに
身を捩った。
「…遠慮する。」
「それは残念っス。」
ハボックはそう言うとロイの肩にブランケットをかける。そうしてブランケットごとロイを背後から抱き締めた。
「おいっ、遠慮するって言ったろ!」
肩越しに睨み付ければハボックがロイの髪に顔を埋めて囁いた。
「こうしてるだけ。それならいいでしょ?」
「…それだけだからな。」
僅かに目尻を染めてロイはそう言うと、ハボックの胸に体を預ける。互いの体から香るほのかな柑橘系の香りを感じ
ながら、一年で一番長い夜を過ごした。


2007/12/22


→ 「冬至 その後」(ハボロイ・R20)