冬至その後
 
 
ブランケットごと抱きしめてくる腕に身を預けて、ロイはパチパチと爆ぜる焔を見つめる。背後から抱き締めるハボック
の息遣いが耳元を掠めて、ロイはゾクリと背筋を震わせた。微かに煙草の香りのする穏やかなそれはロイの耳を
掠め、首筋を伝わりゆっくりと体を這い下りていく。実際には微かに耳元に触れているだけなのにロイはそれが熱を
伴って己の肌を辿っていくような錯覚を覚えた。
「たいさ?」
不思議そうに聞いてくる声に、ロイはギュッと唇を噛み締める。抱き締めるだけ、と。それ以上は遠慮すると自分で
言っておきながら体の奥から湧き上がってくる熱にロイは狼狽えて首を振った。
「な、んでもない…っ」
そう言ってハボックの腕から逃れようと身を捩ればグイと引き戻される。間近に覗き込んできたハボックの瞳が、困惑
するロイの顔を見た途端僅かに見開かれ、それからゆっくりと笑みに解けた。
「遠慮するって言ってましたよね?」
薄っすらと微笑んで意地悪く聞くハボックの瞳の中で、暖炉の焔がゆらゆらと揺れる。その焔が己の体に火を灯す
ようで、ロイは震える吐息を吐き出した。
「やめたの?」
そう耳元で囁かれてロイはハボックの胸に手を突っ張って首を振る。
「やめてない…っ、遠慮するっ」
「遠慮なんてしないで下さいよ…。」
ハボックはそう言うとロイの首筋に唇を寄せた。
「やだっ」
そう叫んで逃げようとする体を、ハボックがブランケットごと床に押し倒す。驚きに目を見開いて見上げればいつもと
違う色の瞳がロイを見下ろしていた。
「時間なんて忘れちまいましょう…。」
ね、と笑う瞳の中の焔がロイの体に燃え移り、瞬く間に飲み込んでいった。

「あ…っ」
揺らめく暖炉の焔が照らす部屋の中、衣服を全て剥ぎ取られてブランケットの上に押さえ込まれたロイは、肌の上を
這い回るハボックの熱い吐息に思わず声を洩らす。白い肌の上には既に数え切れないほどの花びらが刻まれていた。
「あっ…ぅんっ」
ハボックの舌がロイの乳首を舐り、何度も押しつぶす。もう片方は指の腹で嬲られてロイはビクビクと快感に体を震わ
せた。小さい紅く熟れたそこから広がる快感が脳髄を刺激しロイの唇から喘ぎを零す。触れられずに放置された中心
からはとろとろと先走りの蜜が零れ、ロイのすんなりと伸びた脚を汚していた。
「たいさ、ここ弄られるの、好きっスよね。」
「ちが…っ」
くすくすと笑いながらそう言うハボックにロイはゆるゆると首を振る。弄られすぎたそこは熱を孕んでほんの少し触れ
られるだけでも快感が突き抜けた。
「や…も、ヤダ…っ」
感じすぎて辛くて、必死に突っ張った腕は一まとめに頭上に押さえ込まれ、ハボックは執拗にそこばかり攻め続ける。
しゃくりあげるようにしてロイが泣き出すに至って、ようやくハボックは唇を離した。
「そんなにツライっスか?」
そう聞かれてロイは涙に濡れた瞳でハボックを見上げる。
「か、感じすぎておかしくなる…っ」
涙ながらに訴えればハボックが嬉しそうに笑った。
「おかしくなった大佐も見てみたいっスね。」
そんなことを言うハボックに驚いて目を瞠れば獰猛な視線がロイを見つめる。いやいやと力なく首を振ればハボックが
くすりと笑った。
「でもまあ、今日はやめときましょうか。」
その言葉にホッとしたのも束の間、突然体を反され背後から双丘を割り開かれて、ロイは悲鳴を上げた。
「ああ、もうこんなに濡れて…。」
奥まった蕾はロイが零した蜜でしとどに濡れて戦慄いている。ハボックは長い指をつぷりと差し入れてクチクチとかき
回した。
「アアッ!」
背を仰け反らせて悲鳴を上げるロイに構わず、ハボックは片手でロイの蕾を割り開くようにして更にもう1本指を差し
入れる。二本の指を開くようにして動かせば、紅く濡れた肉が見え隠れした。
「もの欲しそうに蠢いてるっスよ。」
クククと楽しそうに笑いながら言う声が聞こえて、ロイは激しく首を振る。
「見るな…っ」
恥ずかしくてそう叫んだものの、ロイの中心からはパタパタと蜜が零れ落ちてブランケットを汚した。腹につくほど反り
返ったソレは解放を望んで僅かに震えている。肩越しに見上げたハボックがまだ殆んど着衣に乱れがない事に気付い
て、ロイは唇を噛み締めた。
「ハボ…ずるい…っ」
自分ばかりが乱されて、翻弄する男は涼しげな顔をしているなんて。ロイはブランケットを握り締めるとグイと腰を
引き上げた。
「ああんんっっ」
ズルリと指が抜ける衝撃に思わずロイの唇から嬌声が零れる。それでもロイはハボックを睨みつけると震える手を
ハボックのシャツのボタンへと伸ばした。
「私ばかり…お前だって…っ」
悔しそうに呟いて必死にボタンを外そうとするロイを、ハボックは暫く楽しそうに見つめていたが、震えるばかりで役に
立たないその手を取るとそっと口付ける。涙と快楽に濡れる黒い瞳を覗き込むと囁いた。
「もう遠慮しないっスか?」
そう聞いてくるハボックにロイは僅かに目を見開いて、それからくしゃりと顔を歪める。
「しない…っ、しないから…っ」
時間なんて忘れさせて、と呟く声に、ハボックは噛み付くようにロイに口付けた。
「うっ…んんっ…んふぅ…っ」
きつく舌を絡めとり口内を弄ればロイの鼻から甘い息が零れる。口付けを続けながら乱暴に服を脱ぎ捨てるとハボック
はロイの体をブランケットの上に俯せに押さえつけた。グイと腰を持ち上げればロイがヒュウと息を吸い込む。僅かに
強張る体に構わず猛る己を押し付けると一気に貫いた。
「アアア―――ッッ!!」
背後から串刺しにされてロイに唇から悲鳴があがる。それと同時にそそり立った中心からびゅるびゅると白濁が迸った。
一息に最奥まで貫いたかと思うと、内蔵が引きずり出されるような勢いで入口まで引き戻す。熱く濡れた肉が絡みつく
感触に、ハボックは低く呻いてロイの体を乱暴に揺さぶった。
「ヒャアアッッ!!」
さっきまでとは比べ物にならない程の快感が脳天を突きぬけ、ロイは嬌声を上げる。ブランケットを握り締めて綺麗に
背を仰け反らせるロイをハボックは容赦なく攻め立てた。
「アアンッ…ハボぉ…ハボ…っ」
ハボックの動きに合わせて自らも腰を振りたてるロイの白い肌を暖炉の焔が紅く染め上げ、いやらしく身悶える影が
壁に映し出される。激しい抽送に耐え切れずに迸る熱さえ映し出されて二組の獣がいるように見えた。
「ヒ…ウアアッッ!」
繋がるそこから広がる快感にロイは身悶えて涙を零す。ハボックはそんなロイの腰に手を当てると強引に引き上げ、
床に座り込んだ己の上にひき下ろした。
「ヤアアアアッッ!!」
ずぶずぶと自重でより一層深くを抉られてロイは悲鳴を上げる。大きく開かれた白い脚の中心ではロイ自身が蜜を
零しながら天を突いてそそり立ち、その奥の蕾を赤黒いハボックの牡が激しく出入りしていた。
「アッ…アアッ、イクゥ…ッ!」
ロイはそう叫ぶとハボックの肩に頭を押し付けビクビクと体を震わせる。それと同時にそそり立った中心から蜜が噴き
出した。快感に震える体をきつく突き上げられてロイは切れ切れに悲鳴を上げる。達したばかりの体は敏感で、与え
られる刺激を全て快楽に変えて取り込んでいった。
「アアッ…ハボックっっ」
狂ったように嬌声を上げ続ける唇を、ロイは強引に振り向かせると乱暴に塞ぐ。きつく突き上げればロイの体がぴくぴく
と震えた。
「たいさ…たいさ…っ」
何度も囁けばハボックを包むロイの肉が答えるようにキュウと引き締まる。もっともっとと強請られているように思えて、
ハボックはロイの体をゆさゆさと揺さぶった。
「アッ…イヤァ…ッッ!!」
びゅくと熱を吐き出す白い体は熱に支配されて微かに柑橘系の香りを撒き散らす。その香りに惹かれるようにハボック
がロイの首筋に歯を立てればロイは喘いで身悶えた。
「食っちまいたい…っ」
獰猛にそう囁く声に掠れた声でロイが答える。
「お前なら…」
赦す。
そう囁く声にハボックは目を見開くとロイの中に滾る熱を叩きつけた。

「ハボック…ハボ…っ」
もう疾うに時間の感覚などなくなってしまった体の中で、自分を翻弄する熱だけが現実味を帯びて。ロイは泣き濡れた
瞳でハボックを見上げる。
「たいさ…」
熱を帯びた声が自分を呼ぶのを聞いて、ロイはうっとりと微笑むとハボックの背に腕を回した。途端に嵩を増した熱に
悲鳴を上げるロイの体をハボックが抱き返す。
二人は熱い吐息の零れる唇を合わせると、一年で一番長い夜の闇の中に溶け込んでいった。


2008/1/17
 
 
今更ですが「冬至その後」です。ハボに引いて欲しくないってことで書き始めたんですけど、我慢できなかったのはロイの方(苦笑)その辺さっさと見極めて
押せ押せになったハボックだったり(笑)