シッポ


「よし。完成だ。」
ロイは額の汗を拭うと満足げに頷く。錬成陣の真ん中に置かれたグラスの中では怪しげなピンク色をした液体
が湯気をあげていた。
「これをハボックに飲ませればふさふさのシッポが生えるはずだっ」
ロイはそう言うと大事そうにグラスを持ち上げる。金色のふさふさとしたシッポを生やしたハボックを思い浮かべて
ロイはうっとりと笑った。
実は、以前大きな人懐っこいゴールデンレトリバーを見た瞬間、ロイはハボックを犬にしたらきっとこんな感じ
だろうと思ってしまったのだ。それ以来、あの綺麗な金髪と同じ色のふさふさとしたシッポを生やしたハボックを
見てみたくてしょうがなかった。見たいが高じてロイは前にも同じような薬を錬成したことがあった。上手く出来たか
どうか試しに飲んだところ、なぜか猫耳が生えてしまい、中尉にこっぴどく怒られてからは少し我慢していたのだが、
先日またゴールデンレトリバーの写真を見てからはどうしても見たくて見たくてしょうがなくなってしまったのだ。
「今度こそハボックにこれを…っ」
今度のはふさふさを長く楽しめるよう、薬の効き目を長く保つように錬成した。ロイはハボックにどうやって飲ませよう
かと考えて、ふとまた猫になってしまったらと不安になる。
「猫になったハボックなんて…。アイツはやっぱり犬だからな。」
ロイはそう呟くと手にしたグラスを見た。
「やはりちょっと試しに…」
そう言うとグラスの液体をほんの少し飲んで。
「ど、どうしてこうなるんだ…っ」
呆然と見返してくる鏡の中のロイには、可愛いウサギの耳とシッポが生えていたのだった。


2008/3/9


→ 「シッポ その後」(ハボロイ・R18)