立冬


「うわっ、寒っ!」
いつものように朝のジョギングに出かけようとしたハボックは、扉を開けた途端吹き付けてきた冷たい空気に首を竦める。
明けたばかりの空は雲ひとつなくて、綺麗に晴れ渡っていた。
「そういや今日から冬だもんなぁ…。」
暦の上では冬になると言う日、それに合わせたように今朝はこの秋一番の冷え込みだという。ハボックは白い息を吐き
ながら軽く体を解した。
「ま、走りゃあったかくなるからいいんだけどさ。」
そう呟くとゆっくりと走り出す。目覚めたばかりの家並みは朝の光を浴びて冷え切った体を少しずつ溶かしているようだ。
鳥のさえずりに混じってポストから新聞を取り出す音や洗濯機を回す音、朝食の準備のいい匂いなんかがしてくる。
「また大佐を起こすのが大変な季節がやってくるなぁ。」
大切なあの人はまだ暖かいベッドの中、ぬくぬくと毛布にくるまって眠りを貪っていることだろう。寒がりの彼がちゃんと
起きてこられる様に、早く帰って部屋を暖めておかなくては。そんなことを考えながら、ハボックは朝日に照らされた道
を走っていった。


2007/11/8



→ 「立冬 その後」(ハボロイ・R20)