筋肉3


「どうも、ごくろうさん。」
ハボックはそう言って荷物を受け取ると家の中に戻る。受取人と差出人の名前を確認して首をかしげた。
「オレ宛て?差出人は…あ、これこの間の競技会に出てたヤツだ。でも、なんで?」
荷物の差出人は先日のイーストシティの陸上競技大会で顔見知りになった選手だった。だが、正直ほんの二言三言
言葉を交わした程度の人物が中身が何にせよ自分に物を送ってくる理由が判らない。
「なにか競技に関係のあるのものかな。」
ハボックはそう呟きながらガサガサと包みを開ける。蓋を開けた途端目に飛び込んできたものに、ハボックは蓋を開けた
姿勢のまま固まってしまった。瞬きもせずに見つめること数十秒。ハボックはハッと我に返ると慌てて蓋をする。
「なっ、何コレっっ!!」
中に入っていたものは男の自分に送ってくるには甚だ不似合いなもので。
「まずい。こんなもの、大佐に見つかりでもしたら…っ!」
こんなものを送りつけられた事実より何より、ロイに見つかった時のことを考えるだけで背中を冷たい汗が流れていく。
「どこに隠そう…っ」
処分するにしろとにかくまずは隠さないことにはどうにも拙い。ハボックが混乱する頭で必死に隠し場所を探していると。
「ハボック、さっき誰か来たようだがなんだったんだ?」
ロイの声と共に足音が近づいてきた。
「やば…っっ」
きょろきょろと辺りを見回したハボックはとりあえず、ソファーの上のクッションの下に箱を突っ込むと、テーブルの上に
置いてあった包み紙を丸めてゴミ箱に放り込む。クッションに寄りかかるようにしてハボックが座るのと同時にロイが
リビングに顔を出した。
「ハボック?」
「あっ、えーと、宅配だったんスけどなんかお隣と一軒間違ったみたいで…」
「隣りと?」
「ええ。」
困りますよね、とへらへらと笑いながら視線を泳がせるハボックは、ロイの瞳がすうっと細められたのに気づいて
いなかった。


2007/8/31

→ 「筋肉3その後」(R20)