| 続・満員列車 |
| 「あ……ッ」 駅に着いた列車から吐き出されるように大量の人がホームに下りる。ハボックも人の波に押されるようにして列車の外へと出た。脚を縺れさせながら数歩歩いたハボックは羽織っていたジップアップタイプのパーカーを脱ぐと慌てて股間を隠した。一刻も早くここから離れたかったが、列車に乗っている間中散々に嬲られた蕾は熱を孕んでとても歩けそうにない。ハボックは仕方なしに改札から出たところで人の波を避けて駅舎の影に入ると壁に寄りかかった。はあ、とため息をついて情けない顔で己の股間を見下ろす。パーカーに隠れて見えはしないが何度もイかされたせいで下着もボトムもベトベトになっていた。 「ど…しよ」 本来ならこのまますぐにも司令部に向かうところだ。だがこんな状態で行ける筈もなく、ハボックはもう一度ため息をついた。 「仕方ない、一度アパート戻ってシャワー浴びて着替えてから行こ……」 そう決めたもののすぐには動き出せなくてハボックは壁に背を預けてうな垂れる。その時、誰かの影が足元に差してハボックは顔を上げた。目の前に立っていたのは。 「おかえり、ハボック。やっと帰ってきたと思ったら、こんなところで何をやってるんだ、お前は」 「た…さ…」 目の前に立っているロイを見つめてハボックは呆然と立ち尽くす。ここはイーストシティなのだからロイがいてもおかしくはないのだが、まさかこのタイミングでしかもこんなところへ現れるなど思ってもみず、ハボックは身動きも出来ずにロイを見た。 「随分列車が遅れたようだな。あの混みようじゃ相当大変だったろう?」 ロイは労うようにそう言いながらハボックへと近づいてくる。目を見開いたままロイの動きを追っていたハボックのその空色の瞳を覗き込むようにしてロイは尋ねた。 「それで、こんなところで何をしているんだ、ハボック」 薄っすらと微笑んで尋ねてくるロイからハボックは目を逸らすことが出来ない。ゴクリと唾を飲み込むと呟くように答えた。 「その……気分が悪くて…」 「ほぉ」 ロイはそう言うとハボックのパーカーに手を伸ばす。 「あっ!」 ハボックがパーカーを掴む手に力を込めるより前にロイはそれを奪い取ってしまう。熱に汚れた下肢を晒されてハボックは手で隠して前屈みになった。 「ヤダッ」 ロイはハボックの姿に一瞬目を瞠ったものの、ハボックの顎を掴んでグイと上に引き上げる。強引に体を起こさせてチラリと股間に目をやるとハボックを見つめて言った。 「どういうことだ、これは」 「あ……」 ロイの怒気に竦みあがりハボックは唇を震わせるばかりで答えることが出来ない。ロイはダンッとハボックを壁に押さえつけるともう一度言った。 「どういうことだと聞いている。答えろッ、ハボック…!」 喉元を押さえつけられてハボックは浅い呼吸を繰り返しながらロイを見る。震える唇を開くと答えた。 「れ、列車の中で触られて……」 「触られた?こんなぐちゃぐちゃになるまで、どこをどう触られたんだ。言ってみろ」 そう言われても咄嗟に答えることなど出来なくて、ハボックは唇を噛み締める。その様子にカッとなったロイは押さえつける手に力を込めて言った。 「相変わらず淫乱なヤツだな、お前は。誰彼構わず盛りやがって」 「誰彼構わずなんかじゃないっ!」 嬲られている間中、その指をロイのものとして感じていたハボックはロイの言葉にカチンと来て言い返す。 「オレはアンタがッ、アンタの指がオレの中、かき回してるんだと思って…ッッ!アンタがいっつもそうするから思い出したらもうどうしようもなくて…ッッ」 思わずそう怒鳴ってしまって、ハボックはハッとすると両手で口を押さえる。驚いてハボックを見つめていたロイはニヤリと笑うと言った。 「なるほど…詳しく聞かせてもらおうか」 「たいさ…ッ」 ロイはそう言うとハボックを引き摺るようにして歩き出したのだった。 2008/10/29 「続・満員列車 つづき」(ロイハボ・R20) |