東方司令部の廊下を雑誌を握り締めたロイが歩いていく。その頭から湯気が出そうなほど怒りまくっている表情に行きかう人が皆、道を譲っていた。ロイは司令室の扉の前に立つと1つ息をつく。バンッと凄い勢いで扉を開けたそのままの勢いで、ロイは部下の名前を叫んだ。
「ハボックっ!!」
「わぁっっ、きたぁっ!!」
 ロイの怒鳴り声に答えるように悲鳴を上げると、ハボックはブレダの後ろに逃げ込む。
「ハボックっ、お前は私というものがありながらっ!!」
 鬼気迫る表情で詰め寄ってくるロイの前に無情にも押し出されながら、ハボックは答えた。
「誤解っスよっ、誤解っ!!」
「誤解っ?!コレのどこが誤解だと言うんだっ!!」
 バンッと机の上に投げ捨てた雑誌の表紙にはあろうことか半裸のハボックの写真が写っている。
「お前、私の知らん間にこんな写真を取らせて…っっ」
 怒りのあまり言葉の続かないロイにハボックは必死に言った。
「だから誤解だって言ってんでしょっ!それ、オレじゃないっスよっ。オレの顔と誰かの体をくっつけた合成写真ですって!!」
 ハボックの言葉に思わず雑誌を見直すロイの耳にぼそりと呟いたブレダの声が入ってくる。
「愛が足りないんじゃねぇの?自分の恋人とそうでないヤツの体の違いも判んないなんて…」
 その途端、ギッと睨んでくるロイにブレダはぴたりと口を噤んだ。それから必死に押し出されまいと踏ん張っているハボックをギロリと睨む。次の瞬間バッと伸びてきた手に腕をがっしり掴まれてハボックは悲鳴を上げた。
「余計なこと言うなよっ、ブレダッ!!」
 そのままずるずると引っ張られてハボックはロイと一緒に執務室の中へと消える。バタンと閉まる扉を見つめてブレダが言った。
「暫く執務室は立入禁止だな…」
「そうですね…」
 これからハボックの身に何が起こるのか、なるべく想像しないようにと書類に手を伸ばすブレダたちだった。


2007/08/07


→ 「裸その後」(R20)