酔う


「アンタ、ほんっとにわかってますぅ?」
 ハボックはそう言うとへたりとテーブルに身を預ける。ロイはそんなハボックに小さくため息をつくと答えた。
「ああ、判っているとも」
 きっとそういう言葉を期待しているのだろうと思って返した答えに、ハボックは持っていたグラスをダンッと机に置くと言う。
「うーそーばあっかり!アンタ、絶対判ってないデショ!」
 ハボックはそう言うと体を起こしてグビリと酒を呷った。
「アンタが笑顔を振りまくたんびにオレがどんな思いしてるかなんて」
 ハボックはへたりと顎を机につけるとロイを睨む。
「そりゃアンタは国家錬金術師で大佐で天下のロイ・マスタングで、オレはしがない少尉さんだけど…でも、アンタが好きなんスよ?」
 そう言うとハボックはため息を零した。
「こんなタラシが好きで好きで堪んないなんて…」
 オレって可哀相、そう呟くとハボックはすうすうと寝息を立ててしまう。ロイはそんなハボックを見つめてため息をついた。
「その言葉そのまま返してやる」
 ハボックがその太陽のような笑顔を誰彼構わず向けるたび、自分の心がどれほど嫉妬に苛まれるか、ハボックは全く気づいていないに違いない。ロイは手を伸ばしてその金髪を玩んでいたが、ハボックの首筋にきつく唇を押し付けた。くっきりと残った紅い痕にロイはうっとりと笑う。
「お前は私のものなんだからな」
 ロイはそう呟くとハボックの首筋に残る花びらに指を這わせた。目が覚めた時、記憶にないキスマークにきっと焦るだろうハボックをどうやって虐めてやろうかとロイは思いを巡らせるのだった。


2007/08/18


→ 「酔うその後」(ハボロイ・R20)