酔うその後


言いたいことだけ言うと机に突っ伏してすうすうと寝息を立てるハボックを肴に暫くグラスを傾けていたロイだったが
時計の針が日付を跨いだのを見ると腰を上げた。どうしようかとハボックを見るが、すぐ放っておこうと決めてしまう。
それでも流石にそのままにしておくのは気が引けて、ロイはブランケットを持ってくるとハボックの肩にかけてやった。
ふわりと落ちるブランケットの動きで起きた僅かな風に、ハボックの睫が小さく震える。ゆっくりと開いた空色の瞳
に気がついたロイがハボックに声をかけた。
「ハボック、起きたのか?起きたのならベッドに行けよ。」
そう言ってもぼんやりとしたまま体を起こそうとしないハボックの顔を、ロイは身を屈めるようにして覗き込む。
「ハボック?」
覗き込んだロイの顔をハボックはじいっと見つめていた。そのまっすぐに見つめてくる空色の瞳に居心地が悪くなった
ロイが身を起こして離れようとした時、ハボックの手が伸びてロイの腕を掴む。
「え…ハボ?」
腕を掴んだままガタンと立ち上がり、またじぃっと見つめてくるハボックをロイはどうしていいか判らずに見上げた。
その居心地の悪さがどうにも堪らなくて手を振りほどこうとしたロイにハボックがずいと顔を近づける。
「たいさぁ…」
「な、なんだ?」
「……シよ。」
「は?」
ハボックの言ったことが一瞬理解できず、ぽかんとするロイをハボックが突然抱えあげた。
「なっ…ハボっ、下ろせっ、バカッ!!」
姫抱きにされて慌てるロイはボカボカとハボックの肩やら頭やらを殴る。だが、それをものともせずにリビングを出ると
ハボックは階段に足を掛けた。よろよろと階段を上がっていくハボックは半分ほど登ったところでふらりとよろめく。
「おおっと。」
「うわああっっ」
そのまま落ちてしまうかと思ってロイは思わずハボックにしがみ付いた。だが、幸運にもハボックはしっかりと踏み
留まり、また階段を登り始める。とりあえず落ちずに済んだことにロイがホッと息をつくとハボックがくすくすと笑った。
「たーいさってば情熱的っスねぇ…ぎゅうっってしがみついてきちゃってぇ。」
ケラケラと笑うハボックの耳をロイは思い切り引っ張る。
「違うっっ!!落とされると思ったからっっ!!」
「照れちゃって、かわいいなぁ、たいさ。」
「バカッ!!」
能天気に笑うハボックをロイが殴ったとき、寝室に着いた。ハボックは器用にロイを抱いたまま扉を開けると中へと
入っていく。自分を殴るロイを見つめるとうっとりと笑った。
「可愛がってあげますね…。」
そう囁く声にロイがぞくりと身を震わせた時、ハボックはロイ諸共ベッドに倒れこむ。
「うわっ」
ハボックの重みを全身に受けて、ロイは思わず両手で顔を覆った。
「ダメ…顔見せて。」
ハボックはロイの手を引き剥がすとベッドに縫いとめる。噛み付くように口付けられてロイは思わず悲鳴をあげた。
「んんっ…ぅんっ」
いつもは煙草の香りのするキスが今日はきつい酒の匂いがする。その香りにきつく舌を絡め取られてロイはめまいが
するような気がした。
「たいさ…好きっスよ…」
ハスキーな声が耳元で囁いてぬちゃりと舌が入り込んでくる。ロイはぞくりと身を震わせて熱い吐息を零した。
「あ…あふ…」
思うまま耳を舐った舌がゆっくりと這い下りていく。いつの間にか肌蹴られたシャツの影から覗く乳首に舌が辿り
着くと舌先がぐりぐりと押しつぶした。
「あっ…あんっ」
胸から湧き起こる甘い疼きが中心を熱く昂ぶらせ、ロイは腰をくねらせる。
「あん…ハボぉ…」
「ここ弄られるの、好きっスね…。」
ハボックはそう言うと両方の手でロイの乳首を捏ね回した。ぷくりと膨れ上がったそれを弄るたび、ロイが耐え切れず
に身を捩るのを楽しそうに見つめる。
「そんなにキモチいいの…?」
「あ…ぅんっ…イイ…」
ロイが呟くように答えた途端、ハボックがぎゅぅと抓った。
「ああああっっ」
嬌声を上げたロイは自分の体の変化に気づいて目を見開く。ハボックは荒い息を零すロイを見つめてくすりと笑った。
「イっちゃったんスか?」
「ちが…」
キュッと目を閉じるロイから体を離して、ハボックはロイのズボンに手を掛けると下着ごと引き摺り下ろす。べっとり
と熱に濡れたロイ自身を目にしてハボックは楽しそうに言った。
「やっぱイっちゃったんじゃないっスか。」
えっちな体、と言ってくすくすと笑うハボックにロイはカッとするとハボックを蹴り上げる。ハボックは難なくそれを
受け止めると言った。
「行儀の悪い脚っスねぇ…ダメでしょ、人のこと蹴っちゃ。」
ハボックはそう言うとロイの右脚を抱える。
「綺麗な脚…。女のふくよかなのもいいけど、オレはアンタの脚が一番スキ…。」
そう呟いてハボックはロイの脚につつつと舌を滑らせた。辿りついた内腿にきつく唇を押し付けると白い肌に綺麗な
紅い花びらが浮かび上がる。
「あー、なんか卑猥…。もっとつけちゃお…。」
ハボックが嬉しそうにそう言って唇を寄せてくるのにロイが慌てて身を捩った。
「離せっ、バカっ!お前、酔ってるだろうっ!!」
じたばたと暴れるロイの脚を押さえつけるとハボックが不満そうに言う。
「もう…暴れないでくださいよ…じっとしてられない人にはこうしてあげます…」
そう言うなり中心を握られてロイは悲鳴をあげた。片手で中心を嬲りながら、ハボックは抱えたロイの脚に花びらを
散らしていく。ロイはどうする事も出来ず快感に身を震わせるしかなかった。
「あ…ああ…っ…んふぅ…」
「こっちにもつけないとね…」
ハボックはそう呟くと抱えていた脚を下ろし、もう一方を抱える。そこにも同じように幾つもの花びらを咲かせると
満足そうにため息を零した。
「じゃあ、今度はこっちを可愛がってあげます…。」
ハボックはそう言うとロイの脚を大きく広げる。そそり立った中心を先端から根元へと舌を這わせ、更にその下へと
舌先を進めた。そうして辿りついた息づく蕾に舌を差し入れる。両手の親指で押し開くようにして中へと舌を差し込め
ば、ロイの体が跳ねた。
「いやっ…やあっ…やめてっっ」
ぬるぬると這い回る舌にロイが悲鳴をあげる。それに構わずハボックは唾液で濡れたそこに指を突き入れた。
「あっ…んくぅ…っ」
ぐちぐちとかき回されてロイはびくびくと体を震わせる。絶え間なく零れ落ちる蜜が竿を伝って蕾へと流れて、そこを
弄るハボックの指と舌を濡らした。
「ああ…はあん…」
ロイの唇から零れる熱い吐息を聞いていたハボックはそこから顔を上げるとロイの脚を抱えなおす。
「も、ダメ…アンタの中に挿れたい…」
いいでしょ、と囁く声にロイは抗えずギュっと瞳を閉じた。ハボックが顔をロイに近づけるともう一度聞く。
「ね…挿れていいっスか…?」
「そんなこと聞くな…っ」
こうして体を暴かれるのを赦すだけでも羞恥に死にそうなのに、それ以上言葉で求めるハボックをロイは睨みつけた。
「ヤダ…ちゃんと言ってくれないなら挿れてあげません…。」
だが、いつもなら笑って赦してくれるだろうハボックは絡むようにそう言うと熱い塊で入り口をくちくちと弄る。熱く
熟れた体は早く滾る熱で貫かれたくてロイは堪らず声を上げた。
「挿れて…っ…も、はやく…」
語尾に近づくにつれ消え入るような声でそう言うとすすり泣くロイの涙を唇で拭うとハボックが言う。
「たいさ…ダイスキ…」
「あ…」
その声にぞくりと震える体を、ハボックが一気に貫いた。ずぶずぶと押し入ってくる塊にロイが背を仰け反らせる。
「アアア―――――ッッ!!!」
「た、いさぁっ」
脚を胸につくほど折り曲げて根元まで一息に沈めると、今度は一時に引き抜く。熱く濡れた中を巨大な牡で擦られて
ロイはそこから湧き上がる快感に喘いだ。
「ああっ…んああっっ…ハボっ」
厚い胸にすがり付けば噛み付くように口付けられる。求められるまま舌を絡めあって熱い口内を貪りあった。
「ううん…んあ…ひああっ」
二人の間でそそり立っていたロイが震えたかと思うと熱を吐き出す。喉を仰け反らせてびゅくびゅくと熱を吐き出す
体をハボックが思い切り突き上げた。
「ひゃあああんんんっっ」
快楽に震える体をきつく擦られて過ぎる快感にロイは啼きながら喘ぐ。ハボックは仰け反るロイの喉にきつく噛み
ついた。
「ひううっっ」
痛みと快感に震える体をどうする事も出来ない。ハボックは紅く血のにじむそこを何度も舐めあげた。
「ああ…」
濡れた舌が行き過ぎるたび膚が快感にぞわりと粟立つ。小刻みに体を震わせるロイをハボックはグイと引き上げて
ベッドに座り込んだ。
「あっあっ…ハボ…っ」
座り込んだことで更に奥を抉られてロイは喘ぐ。こんな奥深くまで他人が入り込むことを赦すなんて、自分は全く
どうかしているとそんな考えがふと頭をよぎった途端、がつんと突き上げられてロイは悲鳴をあげた。
「今、他のこと考えてたでしょ…」
「え…?」
「オレのことだけ見てよ…」
ほんの少し拗ねたようにそう言う年下の恋人を、ロイはコイツは何を言っているのだろうと見つめる。いつだって
頭を占めるのはハボックのことばかりだというのに。こんなことを赦すことが自分にとってどれだけの意味を持って
いるかと言うことをハボックはどうして判らないのだろうか。
「ああっ…ひっ…ハボック…っ」
きつく揺さぶられてロイの唇から絶え間なく悲鳴が上がる。大きな手がハボックを咥え込むそこに回され無理やり
指を差し入れてきた。
「いっ…やっ…やめ…さける…っっ」
もう既にいっぱいいっぱいに開かれたそこにねじ込まれる苦痛にロイはぼろぼろと涙を零す。だが、ロイの中心は
萎えることなく蜜を零しながら高々とそそり立っていた。
「すげ…たいさのなか…すげぇあつい…」
指と熱とでロイの中を探りながらハボックが囁く。その声に思わずきゅうと締まったそこにハボックが低く笑った。
「ああっ…ハボ…も、むり…ぬいて…っ」
しゃくりあげながらそう言うロイに流石に可哀相になってハボックが指を引き抜く。ホッとして弛緩する体をだが
ハボックは容赦なく突き上げた。
「ひいいっっ…っっ」
びゅるんと熱を吐き出して仰け反る体を引き寄せてハボックが言う。
「ね…たいさ…オレのことスキって言って…」
そう囁く声にロイは小さく首を振る。そんなことを言うのは行為を強請るのより何倍も恥ずかしい。だがハボックは
乱暴に揺すりあげると低い声で囁いた。
「言って…たいさ…おねがい…」
耳元で囁く声が鼓膜を揺すり脳天を突き抜けロイの心を震わせる。ロイはハボックの背に回した手に力を込めると
消えそうな声で囁いた。
「…キ」
「聞こえないっスよ…。」
「ス…キ…っ」
真っ赤になってそう呟けばロイの中のハボックが嵩を増す。押し広げられる感触にロイは悶えた。
「バカ…っ…お…きく…する、な…っ」
「だって…嬉しいんですもん…」
泣きそうな声でそう言うハボックをロイは涙で濡れた瞳で見つめる。自分を見る紺青の瞳が情欲と愛情と恋情に濡れて
いることに気がついてロイはハボックの首に腕を回した。
「泣くな…バカ」
「どうせバカです…」
そう呟く唇にロイは己のそれを重ねる。焦がれる気持ちのまま貪りあえばハボックがロイを一層深く抉った。
「あああっっ」
「たいさ…オレの…っ」
「ハボ…っ…スキ…スキっっ」
普段はなかなか唇に載せることの出来ない言葉が熱い吐息と共に零れ出る。折れるほど抱きしめられた体の最奥に
熱い飛沫を叩きつけられて、ロイは幸せそうに微笑むハボックを見たのを最後に意識を手放した。

「お前、まさか夕べ私に働いた不埒の数々を忘れたと言うんじゃないだろうな。」
ジロリと睨んでくるロイの白い体のあちこちには紅い鬱血の痕がある。特にその内腿と首筋に残った痕はくっきりと
鮮やかでハボックの目を引いた。
「ええと…その…ベッドでキスしたあたりまでは覚えてるんスけど…。」
ズキズキと二日酔いで痛む頭を抱えてへらりと笑うハボックを睨みながらロイは内心ホッと胸を撫で下ろす。
(昨日言ったこと、覚えてないのか…)
必死になって唇に載せた想いを告げる言葉をハボックが覚えていないらしいことに、ロイはホッとすると同時にほんの
少し淋しく思った。それでもそんなことはおくびにも出さずに不機嫌そうにムスッと黙り込めばハボックが慌てて
ロイに言う。
「なんか飲みたいものあります?あ、食べたいものでもいいっスけど。」
必死にご機嫌を取ろうとするハボックをどうこき使ってやろうかと考えながら、ロイは夕べ見たハボックの幸せそうな
顔を思い出してうっすらと笑ったのだった。


2007/8/20


「ハボ酔ったままでハボロイにはなりませんか?」とのコメントを頂いて思わず書いてしまいました。酔っ払いネタってスキです〜。えへへv