ぼくのおよめさん
「ローイ!ロイっ!!」
木の根元に座って本を読んでいたロイは自分を呼ぶ声に視線を上げる。金髪の少年が息せき切って走ってくる
のが見えて、ロイは愛しそうに目を細めた。
「ロイッ!」
駆けてきた少年はハアハアと息を弾ませていたが、何度も唾を飲み込んで呼吸を整えると持っていた花をロイに
差し出した。
「ロイ、これっ!咲いてたっ!」
少年はそう言うとロイの手元に花を突きつける。
「今年最初の。ロイにあげる。」
「秋牡丹じゃないか。私にくれるのか?」
ロイがそう聞けば少年はコクコクと頷く。ロイの隣りに腰を下ろしてホッと息をつく姿にロイが言った。
「ジャンは花を見つけてくるのがうまいな。いつもその年最初の花を持って来てくれるだろう。」
そう言えばジャンが僅かに頬を染める。
「だって、ロイに一番最初のをあげたいって思うから。」
ジャンはそう言うとチラリとロイの顔を見た。
(やっぱり白いのにしてよかった。ロイにすっごく似合う。)
幼馴染の、少年にしては綺麗なその面に、白い秋牡丹はとてもよく映えている。ジャンはドキドキと胸を高鳴らせて
ロイを見つめた。
(やっぱりロイって綺麗だ…)
そんなことを考えて頬を染めているジャンをロイはじっと見つめる。
(ふふ、頬なんて染めて、やっぱりジャンは可愛い。)
5つ下の少年のまだ幼さの残るその柔らかい頬にロイはそっと手を伸ばした。
「ありがとう、ジャン。とっても嬉しいよ。」
そう言って微笑むロイにジャンも微笑み返す。
((大きくなったら絶対におよめさんにするぞ!))
お互いにそう思っていることを知るのは、まだもう少し先のこと。
2007/10/19
→ 「ぼくのおよめさん その後」 (ロイハボ・R20)