ぼくのおよめさん その後
「おいっ、汚い手でロイに触るなっ!」
背後から聞こえてきた声に、ロイの肩に手を回していた青年が振り向く。物凄い顔で自分を睨みつけてくるのが
12、3歳の少年だとわかると嘲るように笑った。
「ああ?何言ってんだ、お前。ガキはあっち行ってろ。」
そう言い捨てると再びロイの方を向き直り、馴れ馴れしく顔を寄せて口説き始める。
「なあ、いいだろう?俺と付き合おう…ぜっ!…〜〜っってぇぇっっ!!」
後ろから思い切り脛を蹴られて、ギッと背後を振り返った。
「こんのガキぃっ!!何しやがるっっ!!」
「ロイに触んなって言っただろっ!!」
「てめぇっ!許さねぇぞっっ!!」
男はそう怒鳴ると金髪の少年に掴みかかる。少年はひょいとよけると男の足をサッと払った。
「えっ?うわっ!!」
たたらを踏む男の尻を後ろから思い切り蹴り上げる。つんのめるようにして倒れた男に少年が言った。
「とっとと消えろっ!!」
「…クソガキっ!!」
男は呻くと地面に突いた手で掬った砂を少年に投げつける。
「あっ?!」
目を押さえた少年に殴りかかろうとした腕を誰かがグッと掴んだ。
「それ以上ジャンに何かしたら赦さないよ。」
黒い瞳に冷たく睨まれて、男はブツブツと捨て台詞を呟くと走り去る。ロイは逃げた男にはそれ以上興味を示さず、
目を押さえて蹲った少年に駆け寄った。
「大丈夫、ジャン?」
「いた…」
涙目で顔を顰めるとジャンは砂の入った目を手の甲でゴシゴシとこする。ロイは慌ててその腕を押さえると言った。
「だめだよ、こすっちゃ。傷がついちゃうだろう。」
そう言ってジャンの目を覗き込めば涙に潤んだ瞳は紅くなっていた。
「ああほら、紅くなっちゃったじゃないか。」
「だって、痛い…。」
「見せてごらん。」
ロイはそう言うとジャンの頬を両手で包み込むようにしてその瞳を覗きこむ。指で下まぶたを下げるようにして見ていた
ロイは、不意に唇を近づけるとジャンの目を舐めた。
「ロ、ロイっ?!」
「じっとしてて。」
ロイはそう言ってハボックの頬をガッシリと掴んだままその空色の瞳を舐める。ジャンはどうしていいかわからずにロイ
の服の裾を掴んで震えていた。
「はい、綺麗になった。」
暫くしてロイが唇を離した時にはジャンの顔はゆでだこのように真っ赤だった。
「あ、ありがと…」
やっとのことでそれだけ言うと離れようとしたジャンの頬をロイの手が更にしっかりと掴む。
「あの…っ、ロイ?」
名を呼ぶジャンにロイは眉を顰めると呟いた。
「こんなに綺麗な瞳に傷でもついたら…。」
忌々しげにそう呟くとロイはジャンに言う。
「いいかい、ジャン。もしまた目に砂が入ったりしたらこすらないで私に言うこと。そうしたらまた舐めてあげるから。」
いいね、と言われてジャンはおずおずと頷く。それからキッとロイを見上げると言った。
「ロイこそ、また変なヤツに絡まれたらオレに言ってよ。そうしたらオレが追い払ってやるから!」
頬を染めてそう宣言する少年にロイは嬉しそうに微笑む。
「うん、ありがとう、ジャン。」
にっこりと笑うロイにジャンも笑った。
(ジャン、可愛い…)
(ロイ、綺麗…)
ロイが手を差し出せばジャンがそれを取って。二人は手を繋ぐと家への道を歩き出したのだった。
「ロイっ!アンタまた変なヤツに絡まれたって本当っスか?」
物凄い勢いで扉を開けて金髪の青年が飛び込んでくる。そのあまりに乱暴な所業に悲鳴を上げたドアを気遣うように
見上げたロイの隣で同僚のヒューズが笑った。
「ほら、また心配性のナイトがやってきたぜ。」
ニヤニヤと笑うヒューズをジロリと睨むと青年はバンッとロイの机に手をつく。ロイの顔を心配そうに覗き込むと言った。
「もう、あれほど気をつけてって言ってるじゃないっスか。」
その言葉にヒューズが横から答えた。
「そんなに心配しなくても平気だぜ、ハボック。コイツ、案外強いからさ。」
「そんなの、わかんないじゃないっスか。」
ヒューズの言葉に青年、ジャン・ハボックが唇を尖らせる。ハボックはロイの髪をそっと撫でて言った。
「ロイは綺麗なんだから気をつけないと。もし何かあったらオレにすぐ言ってくださいね。」
そう言うハボックにロイは苦笑して頷くと考える。
(私に言わせればジャンの方がよっぽど気をつけて欲しいと思うがな。)
あれから数年経って、生まれ故郷を出てセントラルの大学に進んだロイは大学卒業後、ある研究機関で研究職に
ついていた。ハボックはそのロイを追うようにして故郷を出て、かつてロイが学んだ大学に席を置いている。
「オレも早く卒業してロイと一緒に仕事が出来たらいいのに…」
ロイの考えなどにはまるで気づかずハボックはため息混じりにそう言った。その憂いを帯びた表情にゾクリと背筋を
震わせてロイは唇を歪める。
(私のいないところでこんな顔を他のヤツに曝してるのかと思うと…)
腸が煮えくり返るように思いながらロイは言った。
「私も早く一緒に仕事が出来るのを待っているよ、ジャン。」
そう言えば嬉しそうに笑うハボックの顔に、ロイは益々苛々を募らせる。そんなロイを面白そうに見ていたヒューズが
ハボックに言った。
「そろそろバイトの時間じゃないのか?遅刻するぞ。」
そう言えばハボックが慌てて壁の時計を振り仰ぐ。
「やば…っ!じゃあ、オレ、バイト行ってきますから!ロイ、また後で!」
「おい、ジャン。お前、そのバイトまだ…っ」
ハボックの背に何か言おうとしたロイに手を振るとハボックは来た時と同様、物凄い勢いで飛び出していく。ロイはむぅと
頬を膨らませるとドサリと背もたれに体を預けた。
「あいつの方がよっぽど心配って顔、してるな。」
「当たり前だろう。」
ロイはそう言うと冷めたコーヒーを一口飲んで顔を顰める。
「大学で男どもに囲まれてるだけでも心配なのに、あんなバーでバイトだなんて。」
「ホールで食事運んでるだけだろう?」
「それこそ変なヤツに絡まれそうだ。」
憮然として言うロイにヒューズが笑った。
「そんなに好きならさっさと喰っちまえば?」
そう言えばロイがうっすらと笑う。
「私を守っているつもりなんだよ、可愛いだろう?もう少しナイトきどりのジャンを見ていたいからね。」
「うかうかしてると他のヤツに持ってかれるぜ。」
楽しそうに言うヒューズをジロリと睨みつけたロイは、だがその胸の内をほんの少し不安が掠めたのだった。
「遅いぞ、ハボック!」
「ごめんっ!」
乱暴にドアを開けて飛び込んできたハボックにブレダが怒鳴る。大学でハボックと同期のブレダは急いで店のユニ
フォームに着替えているハボックに向かって言った。
「今日、ひとり病欠で手が足りないらしいから、急げよ。」
「わかった。」
ブレダはハボックの返事を聞くと先に店へと出て行ってしまう。ハボックは脱いだシャツとバッグをロッカーに放り込むと
慌ててブレダの後を追った。
「5番テーブル、持ってって!」
「山の幸サラダ、オーダー入りましたっ!」
「ご新規さま3名、8番テーブルご案内ですっ!」
店の中はまだ夕方だと言うのに結構な賑わいで、ハボックもまたすぐにその喧騒に飲み込まれていった。オーダーを
取り、出来上がった料理を運ぶ。スラリと背の高い姿は照明を落とした混み合った店内でも一際目立っていた。
そのせいか、オーダーをしようとする客から呼び止められることも多く、それでもハボックはニコニコと疲れた顔も見せず
に店内を忙しく駆け回っていた。
「おい、ハボ。そろそろ休憩入っていいってよ。」
2時間ほどもたった頃、ブレダに言われてハボックは従業員の控え室へと向かう。一緒に入ってきたブレダとまかない
で夕食を取っていると、同じホール担当のリックという男がやってきた。
「ジャン。」
馴れ馴れしく呼ぶ男をハボックは胡散臭げに見上げる。リックはハボックが座る椅子の背に手を乗せると満面の笑みを
浮かべて言った。
「なあ、映画のチケットがあるんだけど一緒に行かねぇか?」
「ん、悪いけど、オレ、忙しいから。」
「そんな事言わずにちょっとくらいいいだろう?これ、お前が興味あるって言ってたアクションものだぜ。」
「え?そうなの?」
アクションものという言葉に反応を示したハボックに、これ幸いとばかりにリックが食いつく。
「な?だから一緒に――」
「ハボック、お前、その映画、ロイさんと行くって言ってたじゃないか。」
リックの言葉を遮るように突然口を挟んできたブレダにハボックが驚いて顔を上げた。
「えっ?ロイと?」
「この間言ってただろ、忘れちまったのかよ。ロイさん、チケット買ったって言ってたぜ。」
「ロイが?」
「そう、だからお前とは行けねぇよ、リック。」
後半の部分は憮然とした表情の男へ向けて言う。ブレダは食べ終わった皿をハボックの分と重ねると立ち上がった。
「おいハボ、もう休憩終わりだぜ。仕事仕事。」
そう言ってブレダはリックを押しのけてハボックと共に店へと出て行く。そんな約束してたかな、と首を捻っていたハボッ
クは顔を出した途端、オーダーの皿を押し付けられてもうその事は忘れてしまう。そんなハボックの背を見ながらブレダ
はため息をついた。
(あっぶねぇ。俺がいなかったらアイツ、映画行ってたんじゃねぇか?)
そう考えてぶるりと体を震わせる。
(そんな事になったらロイさんに絞め殺されちまうよ。)
実はこのブレダ、ロイに頼まれてハボックの回りに寄って来る男どもを追い払っているのだ。大学、バイトとハボックと
行動を共にすることが多いのに目を付けたロイが、バイト代を払ってブレダにやらせているのである。
(まあ、頼まれてなくても何となくほっとけないんだけどな。)
大学の授業でたまたま一緒になって、話をするうち何となく意気投合して親しく付き合うようになったブレダとハボック
だったが、妙に男に懐かれるハボックがハボック自身まるでその事に気づかず無警戒なのを見るにつけ、ブレダは
さり気なくフォローに回ってしまっていた。
(なんだかなぁ、無邪気な妹を見守る兄ちゃんの気分なんだよ。)
ブレダはそう思ってため息をつくと、先ほどのリックとの一件を連絡する為、電話に手を伸ばしたのだった。
チンと受話器を置いたロイは不愉快そうに顔を顰める。ブレダから店での一件を聞いて、苛々と机の上を指で叩いた。
「この間も大学で変なのに絡まれたばかりなのに…。」
つい先日も大学の構内でやたらと馴れ馴れしく触れてくるヤツからブレダが必死になって引き離したと言う話を聞いた
ばかりなのだ。
『うかうかしてると他のヤツに持ってかれるぜ。』
ヒューズが言った言葉が頭に浮んでロイは眉間の皺を深める。
「確かにもう、のんびりしている場合じゃないかもしれんな。」
小さい時から決めていた。
(大きくなったらおよめさんにするんだ!)
ロイは机の上に飾ってある幼い時の二人の写真を見て笑う。
「そろそろ実行に移してもいい頃合いかもな。」
そう言って、写真のハボックを愛おしそうに撫でたのだった。
「久しぶりっスね、ロイの家に泊まるの。」
「ここのところ忙しかったからな。」
ロイはそう答えながらケータリングサービスの料理を並べていた。
「取り皿を出してくれるか?」
「はい。」
勝手知ったる家のキッチンから適当な皿を取り出すハボックを横目で眺めながら、ロイは鍋のスープを温めなおす。
皿に注いでテーブルに並べると向かい合って席に座った。
「いただきます。すげぇ、旨そう。」
貧乏学生のハボックは目の前に並べられた食事に目を輝かせると物凄い勢いで食べていく。その豪快な食べっぷり
にロイは楽しげに目を細めると自分も料理に手をつけた。
「どうだ、学校の方は?」
「んー、まあ、それなりに。」
「ちゃんと単位は取れてるんだろうな。」
「当たり前でしょ。これ以上アンタと引き離されちゃ堪りませんもん。」
唇を尖らせるハボックのそれを今すぐ奪ってしまいたい衝動に駆られながらロイはうっとりと笑う。その顔にどきりと心臓
を跳ね上がらせながら、ハボックは慌てて目を逸らした。
(ロイ…最近益々綺麗になったよな。)
ロイがやたらと男にも女にもモテるのは小さい時から変わらないが、ここの所益々それに拍車がかかっている気がする。
ハボックは肉を口に放り込みながらロイを上目遣いに見た。
(せっかくロイの家に泊まるんだもの、今日こそロイに言うんだ。)
小さい時から決めていた。
(オレのおよめさんになってって、言うぞっ!)
本当は大学を卒業してちゃんと仕事についてから言うつもりだった。だが、やたらと変なヤツに絡まれるロイを見るに
つけ、うかうかしている場合じゃないと思い始めて。
(食事が済んで風呂入ったら、そうしたら――!)
その時伝える言葉を何度も心の中で繰り返して。手と口だけは相変わらずせわしなく動かしながら、ハボックの心は
すでにあらぬところへと飛んでいっていたのだった。
「ロイ、お風呂ありがとう。」
適当に髪を拭くとリビングに出てきたハボックはロイに言う。水気を含んで色を増した金色の髪を眩しげに見つめると
ロイはハボックの肩に載ったタオルを手に取った。
「まだ濡れてるじゃないか。ちゃんと拭かないと風邪を引くぞ。」
ロイはそう言うとハボックをソファーに座らせてその髪をタオルで柔らかく拭く。ちょっと恥ずかしそうに身を縮めてロイに
されるままになっていたハボックはタオルの間からロイの顔を見上げると言った。
「あの…ロイ?」
「ん?」
優しく見つめてくる黒い瞳にドキドキしながらハボックはロイに言う。
「ロイ、あの…」
(ああもう、なにビビッてんの、オレっ!スパッと言えよ、かっこ悪いじゃんっ!)
心の中でそう自分を罵りながらもなかなか言葉が出てこない。真っ赤になって俯いているハボックにロイはくすりと笑う
とタオルを横に置いた。そうしてハボックの顎を掬うとその空色の瞳を覗きこむ。
「ジャン…好きだよ。」
まっすぐに見つめてくる黒い瞳にハボックは目を見開いた。
「好きだって意味、わかるな?」
特別な好きなのだと、そう匂わせるロイにハボックの顔がみるみる内に紅く染まっていく。ロイはハボックの頬を両手で
挟み込むとじっと見つめた。
「お前の返事が聞きたい。」
そう言われてハボックは何度も唾を飲み込む。喉がカラカラに渇いてなかなか声にならない言葉を必死になって絞り
出した。
「オレも…オレもロイのことがずっと好き…」
だからおよめさんになってくれ、とそういう前にロイの唇がハボックのそれを塞ぐ。
「ん…」
ぴちゃと音を立てて舌が絡み合い、きつく吸い上げられる。気がつけば互いの背に腕を回して深く口付けあっていた。
「あ…ロイ…」
僅かに唇が離れた隙になんとか言おうとするが、またすぐに塞がれてしまう。熱い舌で口中をくまなく弄られているうち、
ハボックの意識は朦朧としてきた。気がついたときにはソファーに押し倒されて自分に圧し掛かっているロイを見上げる
格好になっていて、ハボックはその時になって初めて慌ててロイを押し返した。
「え、あっ…ちょっと、ロイっ?」
「なんだ?」
「ちょっと待って、これ、変。」
「どうして?」
いかにも不思議そうに聞くロイにハボックが言う。
「だって、ロイがオレのおよめさんになるんでしょ?だったらオレが上っスよ。」
「何言ってるんだ、ジャンが私のおよめさんになるんだろう。」
だからこれでいいんだ、と身を寄せてくるロイにハボックは慌てた。
「待って!なんでオレがおよめさんなんスかっ?!およめさんはロイでしょっ?」
「バカ言え、わたしはおムコさんだ。」
「だからそれ変だってば!ロイの方が綺麗なんだからロイがおよめさんでしょう?」
「お前の方が可愛いからお前がおよめさんだ。」
「かっ、かわいいってなにっ?!」
すっかりパニクっている様子のハボックを押さえ込んでロイが言う。
「可愛いから可愛いんだ。いい加減ぐちゃぐちゃ言うのはやめてわたしのおよめさんになれ!」
「でっ、でも…っっ!!」
なんでどう見ても男にしか見えない自分がおよめさんで、誰が見ても凄い美人のロイがおムコさんなんだと、ジタバタと
暴れるハボックに、ロイが不意に悲しそうに言った。
「私のおよめさんになるのは嫌なのか?」
見つめる黒い瞳が悲しみを湛えてハボックは思わず言葉に詰まる。傷ついたその瞳にハボックは何度か瞬くと諦めた
ようにため息を零した。
「オレがロイのおよめさんになったら、ロイはオレのものになってくれるんスか?」
そう聞いてくるハボックにロイは力強く頷く。
「勿論だとも。お前がおよめさんになってくれたら私の全てはお前のものだ。」
そう言って笑うロイをじっと見つめていたハボックだったがやがてゆっくりとロイの背に腕を回した。
「ロイがオレのものになってくれるならオレがおよめさんでもいいや…。」
そう呟くように言うハボックにロイは嬉しそうに笑うとそっと口付けていった。
ベッドに場所を移して全てを脱ぎ捨てた二人は改めて口付けを交わす。そっと押し倒せば不安そうな顔をするハボック
にロイは笑った。
「優しくするから…。」
そう言ってハボックに覆いかぶさると再び口付ける。
「う…ん…」
くちゅくちゅと舌を絡め合い、歯列を舐め、口内をくまなく探る舌に、ハボックの意識は朦朧としていく。唇が離れる頃
にはくったりとベッドに沈み込んでいるハボックに薄く笑うと、ロイは唇を首筋へと滑らせていった。時折チクリと走る
痛みにハボックはビクリと体を震わせる。もう、幾つそうやって紅い印を刻まれたかわからなくなる頃には、ハボックの
中心はゆっくりと熱を持ち始めていた。
「あ…ロイ…」
不安になってロイを呼べば口付けが降ってくる。夢中で舌を絡めていると、ロイの指がハボックの乳首をキュッと摘んだ。
「ふあっ」
思わず胸を仰け反らせて声を上げてしまう。自分であげた声にびっくりして手で口を覆うハボックにロイはうっとりと
笑った。
「手で隠さない。」
そう言ってくりくりとこねればハボックの体が跳ねる。
「んっ…ぅんんっ」
口を押さえて必死に声を耐えるハボックにロイは囁いた。
「手を離すんだ、ジャン。」
そう言うロイにふるふると首を振るハボックにロイが悲しそうな顔をする。
「私が嫌いか?」
「そんなこと…アッ!」
あまりに悲しそうな顔に慌てて否定しようとしたハボックは途端に乳首をこねられて声を上げてしまう。素早くハボックの
両手を束ねて頭上に押さえつけるとロイは更にきつく捏ね上げた。
「やっ…あっ…ロイっ!」
「可愛いよ、ジャン…。」
耳元でそう囁けばハボックがびくりと体を震わせる。しつこいほどに弄れば色を濃くしたそこはまるで果実のように
見えた。
「ふふ…とても美味しそうだ…」
「ロ、イ…っ」
今ではソコを弄られる度体を電流のように快感が走って、ハボックの中心に熱が集まっていく。もう、すっかりと勃ち
上がった中心からはとろとろと蜜が零れていた。
「ああ、ここも、こんなになって…。」
ロイはそう言うとハボックの中心をそろりと撫で上げる。
「ヒアッ!」
びくんと体を跳ね上げるハボックに薄く笑って、ロイはそこをゆっくりと扱き始めた。
「アッ…やっ…ダメッ…ああんっ」
じゅぶじゅぶと蜜を塗りこめるようにして擦られてハボックは胸を仰け反らせて喘ぐ。こみ上げてくる射精感にハボックは
浅い呼吸を繰り返して必死に耐えた。
「も、やめ…っ、でちゃうっっ」
「いいぞ、イって。」
「あっ、ダメっ…やっ…ロイっっ」
擦り上げるスピードを上げられてハボックはビクビクと体を震わせると耐え切れずに熱を吐き出す。
「あああっっ」
びゅるびゅると熱を迸らせて、ハボックは荒い息を吐いて恥ずかしそうに目をぎゅっと閉じた。真っ赤になって目を閉じて
いるハボックにチュッとキスをするとロイはその脚を押し開く。ぎくりとして目を開くハボックにロイは優しく笑った。
「大丈夫、怖くないから。」
ロイはそう言うと、開いた脚の奥で戦慄く蕾へと唇を寄せる。指で押し開くようにしたそこに舌を差し入れるとぬるぬると
舐めまわした。
「ヤダッ…ロイ、やめてっ」
突然の事にもがくハボックを押さえつけてロイは舌を這わせ続ける。ぬめぬめと這い回るその刺激に、達した筈の
ハボック自身は再び腹につくほど反り返っていた。
「あ…あ…ロイ…」
濡れそぼったソコに指を差し入れるとゆっくりとかき回す。息を詰めるハボックの脚を宥めるように擦りながらロイは
沈める指を増やしていった。指が3本も入るようになると、一度引き抜きその脚を抱えあげる。不安そうに見つめてくる
空色の瞳に優しく笑うとロイは言った。
「大丈夫だ、私を信じて…。」
ロイはそう囁くと戦慄くソコへグイと体を進めた。
「ひ…」
強引に割り開かれる事に強張る体をロイはゆっくりと押し開いていく。根元まで沈めてしまうと、キュッと辛そうに眉を
寄せているハボックの汗に張り付いた髪を優しくかき上げた。
「ジャン…愛してるよ。」
「…ロイ。」
ロイの優しい声にハボックが薄っすらと目を開ける。その色を増した青い瞳にロイはうっとりと微笑んだ。
「動くぞ。」
そう囁くとゆっくりと突き上げ始める。徐々にスピードを上げていけばハボックの唇から喘ぎ声が上がった。
「あっ…うんっ…ああんっ」
熱い襞を大きな塊で擦られることで快感が沸きあがっていく。
「ひあっ…ロイ…やっ、ああっ…や…な、にっ、これ…っ」
まるで知らなかった快楽に怯えるハボックにロイは何度も口付けた。
「ハボック…」
「あっ…イくっ…アッアア―――ッッ!!」
達した途端に激しく突き入れられて頭が真っ白にスパークする。声を上げることも出来ずに続けざまに極めされて
ハボックは悲鳴を上げることも出来なかった。見開いた瞳から涙を零して体を震わせるハボックをロイは思うまま翻弄
する。
「ふ…あ…ろい…」
「可愛いよ、私のハボック…」
ただもうロイに縋りつくしかないハボックをロイは優しく抱きしめて、幼い時からの想いをその最奥に叩きつけたのだった。
2007/10/22
「ぼくのおよめさん」のその後です。もともとSさんから「ハボって絶対ロイのことおよめさんにする気満々だけど、でもロイに喰われそうになって最後には
“ま、いいか”ってなりそう」って萌えを囁かれまして(苦笑)ハボ、絶対ロイには敵わないから(笑)いいのよね、ロイとラブラブならなんでもv