| 第二十二話 |
| 漸くちゃんとした道に出て、ジョーイはホッと息を吐く。なかなか道が見えず自分まで迷子になるかもと、一瞬不安になったことは内緒でジョーイはラビと名付けた男の子を見た。 「ほら、ちゃんと道に出ただろ?」 別に自慢するほどの事ではないのだが、ジョーイは偉そうに言う。そうすればじっとラビに見つめられて、ジョーイは嬉しそうに鼻を鳴らした。 (でも、これからどうしょう) ローイを探すと言っても当てもなく歩き回るには広すぎる。どうしようかと考えていれば向こうから話し声が聞こえてきて、ジョーイは胸を撫で下ろした。 (あの人に聞いてみよう) この子の親を見ているかもしれない。見ていなくても何かいい方法を聞けるかもと、ジョーイは向こうから歩いてくる親子連れに近づいていった。 「おはようございます」 自分からそう声をかければ女の子の手を引いていた女性が笑みを浮かべる。朝の挨拶を返して女性はジョーイとラビを見て言った。 「弟を連れてお散歩?お兄ちゃん、偉いのね」 「えっ?」 そんな風に言われてジョーイは目を丸くする。女性はラビの頭を撫でて言った。 「お兄ちゃんにお散歩連れてきて貰ってよかったわね」 女性は笑うと気をつけてねと言って行ってしまう。女の子が「あのカチューシャ欲しい!」と、興奮して言うのに答えながら歩き去る女性の背を見送って、ジョーイはだらしなく笑った。 「お兄ちゃんだって」 弟を連れたしっかり者の兄と見られたのが嬉しくて堪らない。フフフと笑えばクイと手を引かれて、ジョーイは傍らに立つラビを見た。 「ろーい……」 「えっ、あっ……と」 つい嬉しくて、聞くのを忘れてしまった。ジーッと見つめてくる空色に、ジョーイは誤魔化すように笑った。 「だっ、大丈夫だって!ちゃんと俺がローイのところに連れて行ってやるからッ」 半ば自分に言い聞かせるように声を張り上げると、ラビが俯いてハアとため息をつく。そのため息が酷く胸にこたえて、ジョーイはキュッと唇を噛んだ。 「行くぞ」 ジョーイは言って歩き出す。心配そうに見上げてくるラビの視線を感じて、ジョーイは繋いだ手をギュッと握り締めた。 (お兄ちゃん、偉いわねって言われたんだ。しっかりしなきゃ) さっき女性に言われた言葉に励まされるようにジョーイはどんどんと道を歩いていく。流石にこれ以上宛もなく歩いても仕方ないかもと思い始めた時、この辺りの貸別荘の案内板が立っているのが見えた。 「あれだ!あれを見ればローイがいるところが判るかも!」 ジョーイはそう叫んで案内板に駆け寄る。地図上に書いてある別荘の番号を見て、ジョーイは言った。 「現在地がここだろ。俺の別荘が8だから、これ。ラビの別荘は何番?」 ジョーイは地図の番号を指差しながら尋ねる。これでローイの居場所が判ると思ったジョーイは、ラビが困ったように首を傾げるのを見て肩を落とした。 「判んないか」 「ろーいー」 「大丈夫、何とかする」 ジョーイよりもっとがっかりするラビに、ジョーイはきっぱりと言う。もう一度案内板をじっと見つめて考えた。 「現在地がここだろ?だったらラビの別荘は7か6じゃないかな」 自分より小さいラビが幾ら道に迷ったとしてそんなに遠くから来たとは思えない。ここから近い別荘はジョーイの別荘を除けば2つだけだからどちらかにローイがいると考えるのが妥当だろう。 「どっちかなぁ」 ジョーイは案内板を見つめて呟く。これ以上決め手になるものはなく、ジョーイが考え込んでいるとラビの小さな手が伸びてきて案内板に触れた。 「ろーいっ」 そう言ってラビが触れたのは湖だ。見上げてくる空色にジョーイはピンときて言った。 「湖で遊んだのか?だったら6の別荘の方が湖に近いよ。こっちに行ってみよう」 ジョーイは「よしっ」と握り拳を作ると、ラビの手を引いて駆け出した。 2012/09/15 |
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