ろいとはぼの日


「ハボック、ちょっと手伝ってくれないか?」
「ろい?」
 これまで集めた大事な宝物を箱から出して一つずつ丁寧に並べて眺めているハボックにロイはそう声をかける。ハボックは不思議そうに首を傾げたものの、広げていた宝物を急いで箱にしまってロイの側にやってきた。
「ろーい?」
「うん、あのな。飾りを作るのを手伝って欲しいんだ」
 ロイはそう言ってごく薄い空色の紙を五枚ほど引き寄せる。重ねて細い蛇腹に折り畳むと真ん中を糸で結んだ。
「こうして真ん中を留めた紙を破かないように注意して広げると」
 言いながらロイは器用に蛇腹に畳んだ紙を広げる。そうすればそれは瞬く間に綺麗な花になった。
「ろーいっ」
「どうだ?結ぶのは私がやるからこうやって花を咲かせてくれるか?」
「ろいッ」
 コクコクと頷くハボックに笑ってロイは紙を蛇腹に折って真ん中を結んだものを作っていく。ハボックはロイが作った紙の花の蕾を小さな手でそっと咲かせていった。
「ろーい〜っ」
「大丈夫、ちょっとくらい破けても花びらを広げてしまえば判らないよ」
 薄い紙は破れやすく口をへの字にして失敗したと訴えるハボックにロイは笑う。ロイが手を伸ばして破れた花びらを他の花びらの間にくしゅくしゅと織り込めば殆ど目立たなくなって、ハボックはホッとしたように笑った。
「ほら、のんびりしてる暇はないぞ。これがすんだら輪飾りを作るからな」
「ろいっ」
 そう言われてハボックはせっせと花を咲かせていく。色とりどりの紙の花を咲かせると、今度は折り紙を細く切って輪を作っては繋げていった。
「ろーいっ」
「はは、すごい長いな。上手いぞ、ハボック」
 長ーく連なる輪っかを自慢げに見せるハボックにロイは笑う。そうしてこれまた色とりどりの輪っかを繋げて輪飾りを作ると、ロイは二人で作った花と輪飾りで部屋を飾った。
「ろーい?」
 いつもはシックな色合いの部屋を赤や青や黄色や白や色とりどりに飾り付けて、ハボックは不思議そうにロイを見る。一体これはなんなんだろうと問いかけてくる空色にロイは笑って言った。
「この間はロイの日のお祝いをしてくれただろう?語呂合わせで言うなら今日六月八日はロイとハボック、私とお前の日なんだよ」
 そう言えばハボックの顔がパアッと明るくなる。綺麗に飾り付けられた部屋をぐるりと見回してハボックはロイを見た。
「ろーいッ!」
「ああ、そうだよ」
「ろいろいッ」
「私とお前の日だ」
「ろいッ!」
 ロイの言葉にピョンピョンと嬉しそうに飛び跳ねたハボックがポーンと黒い毛糸玉になる。ポンポンと紙の花から花へと飛び移り、輪飾りの上をコロコロと転がった。最後にポーンと大きく飛び上がった毛糸玉が空中で子供の姿になる。そうして見上げるロイの腕の中に飛び込んできた。
「ろぉいッ」
「はは、気に入ったか?」
「ろいッ」
 聞かれてハボックは満面の笑みで頷く。キュッと抱きついてきた小さな体を抱き返してロイは言った。
「いつもありがとう、ハボック。これからも一緒にいよう」
「ろい、ろいッ」
 うんうんと頷いてハボックは再び毛糸玉になると色とりどりの花や輪飾りの間を飛び跳ねて遊び回る。ロイはそんなハボックの様子をコーヒーを片手に眺めていた。


2015/06/08


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