| Happy happy valentine |
| 「ろーいっ」 「えっ?」 元気な声と共に小さな包みを差し出されてヒューズは目を丸くする。ポカンとするヒューズの手に、ハボックが包みを押し付けた。 「も、もしかしてこれ、バレンタインの……?」 違うと否定されるのを恐れるように尋ねるヒューズにハボックがコクンと頷く。それを見た途端、眼鏡の奥の瞳がウルウルと涙ぐんだ。 「ハボックちゃあ〜んッ!マース君、感激ッ!」 そう叫んだヒューズがハボックに抱きつこうとする寸前、ロイがパッとハボックを引き寄せる。伸ばした手が空振りして、ヒューズは悔しそうにロイを見た。 「おい、俺とハボックちゃんの感動の瞬間を邪魔するなよッ」 「なぁにが感動の瞬間だ。そんなの義理チョコに決まってるだろうッ!義理だ、義理ッ!」 「なんだとッ!」 「ろ〜い〜っ」 キッと目を吊り上げて言いあうロイとヒューズの間で、ハボックが声を上げる。むぅと唇を突き出して睨んでくる空色に、ロイとヒューズは慌てて笑みを浮かべた。 「開けてみてもいいかい?ハボックちゃん」 「ろいっ」 勿論と頷くハボックに、ヒューズがいそいそと包みを開ける。中から出てきたクッキーを見てヒューズの瞳が大きく見開いた。 「これ……もしかして俺?」 丸いクッキーの表面にチョコレートで眼鏡と髭が描いてある。 「嬉しいよッ、ハボックちゃんッ!すっごい嬉しいッ!!」 クッキーを抱き締めて体をくねらせたヒューズは自慢げにロイを見た。 「どうだっ、ロイ!これぞハボックちゃんの俺への愛だッ!」 ヒューズにそう言われてロイはニヤリと笑う。 「フン、どうかな。これを見るがいいッ!」 そう言ってロイがポケットから引っ張り出した袋からクッキーを取り出した。 「どうだッ!」 「む」 丸いクッキーにはチョコレートで黒髪と目と口が描いてある。クッキーをヒューズの目の前に突きつけてロイは言った。 「私の方が使っているチョコの量が多い!つまりハボックは私の方が好きだということだッ!」 「なんだとッ!俺の方が特徴を掴んでるだろッ!つまりは俺の方が好きだってことさッ!」 「なにィッ!」 「なんだとッ!」 クッキーを手に俺だ、私だと言いあう大人にハボックがやれやれとため息をつく。二人の顔を見比べて、ハボックは大声をあげた。 「ろーいッッ!!」 そうして二人の手からクッキーの袋を取り上げれば、顔を見合わせたロイとヒューズが慌ててハボックに取り縋った。 「す、すまん、ハボック!クッキーを貰ったのが嬉しくて、ついっ」 「ごめんよ、ハボックちゃんッ!もう喧嘩しないからッ」 必死に言いつのる大人二人をハボックがじろりと見る。 「……ろーい?」 「ホントッ、もう絶対しない!な、ロイ」 「ああ、勿論だともッ!私とヒューズは仲良しなんだ」 言って笑いながら肩を組むロイとヒューズにため息をついたハボックは、二人にクッキーを返した。 「ろい」 「ありがとう、ハボック!大事に食べるよ」 「ハボックちゃん、ありがとう!ロイと一緒に食べるからね」 「……ろーいっ」 言えば漸くにっこりと笑うハボックにホッとして、ロイとヒューズは紅茶を淹れるとハボックが作ってくれたクッキーを仲良く食べたのだった。 2016/02/14 |
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