| Alucard 4 |
| 「どうぞ」 食事が終わった頃を見計らってハボックがコーヒーを持ってくる。コトリとコーヒーをテーブルに置くハボックを見上げてロイが言った。 「久しぶりにパスタを食べたがとても美味しかったよ。これは君が作ってくれたのかな」 「あ、はい!お口にあってよかったっス」 ロイの言葉にハボックがホッとしたように笑う。そうすればジッと見つめてくる黒曜石の瞳に、何故だかドキドキしてハボックは目を逸らした。そんなハボックにロイは笑みを深めてコーヒーに手を伸ばす。よい香りのするそれを一口飲んだロイは、懐から札入れを出し勘定をテーブルに置くと立ち上がった。 「ごちそうさま、思いがけず美味しいパスタを食べられて嬉しかった、ありがとう」 ロイはそう言って笑うと店の扉に向かって歩き出す。慌ててその後を追ったハボックは店を出ようとするロイに声をかけた。 「あ、あのっ、よかったらまた来てくださいっ!オレ、腕ふるいますんで!」 今までにも客にまた来てくれるよう、声をかけたことはある。だが、社交辞令の意味合いが強かったこれまでとは違う何かに追い立てられるようにそう口にしたハボックにロイは言った。 「ありがとう、だがこっちにはなかなか来る機会がなくてね。もしまた来る事があったら寄らせて貰うよ」 「…そ、っスか」 そう言って店を出て行くロイにハボックは何故だか落胆する。はあ、とため息をついて店の中にハボックが戻ろうとした時、不意に腕を引かれて振り向けばロイがすぐそこに立っていた。 「こちらに来る機会はないが、君のパスタはまた食べたい。もしよければ個人的に作って貰うわけにはいかないだろうか」 そんな風に言われてハボックは驚きに目を見張る。迷惑だろうか、と僅かに眉尻を下げて問いかける声にハッとしてハボックは言った。 「そんな事ないっス!オレでよければ是非ッ」 そう答えれば嬉しそうに笑う黒曜石にドキドキしながらハボックは尋ねる。 「えと、いつ何処に行けばいいっスか?」 「そうだな、今すぐには決められないから連絡先を教えてくれ」 「あ、はい!」 言われてハボックはポケットからオーダーシートを取り出すと一枚破り裏に電話番号を書いてロイに渡した。 「一人暮らしっスから夜遅くても大丈夫っス。予定判ったら連絡ください」 「判った。なるべく早く連絡する、ハボック」 低く囁くように名を呼ばれてハボックはドキリとする。軽く手を振ってロイが立ち去ってしまってからも、ハボックはその場に立ち尽くしたまま動けなかった。 2010/04/01 |
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