裏紫


『手折ってしまえ…』
 吹きすさぶ風に揺れる木の姿が、心に響く声に揺れる自分の姿と重なる。バキッと音がして外の枝が強風に耐えかねて折れたのが判った。自分を見つめてくる濡れた空色の瞳に、ノーマンは引き寄せられるようにハボックに手を伸ばした。ノーマンの指がハボックの滑らかな頬に触れる。ぴくんと震えて見上げてくる瞳に、ノーマンはもう自分を抑えきれずにハボックを強く抱きしめた。
「ノーマン…っ」
 微かに抗う体を引き寄せて、ノーマンはハボックの顎に手をかけると唇を重ねた。ずっと触れたいと思っていたそれは思っていた以上に柔らかく、ノーマンの理性を奪っていく。
「んっ…ふぅ…んんっ」
 舌を絡め口中を弄り唾液を混ぜあう。ハボックの体からは次第に力が抜け、長い口付けが終わる頃にはくったりとノーマンに体を預けていた。ノーマンはハボックを抱き上げると自分の部屋へと連れて行く。いつも抱きしめて眠るだけだったベッドに、ノーマンはそっとハボックを横たえた。綺麗な空色の瞳が不安げにノーマンを見上げている。ノーマンは優しく微笑むと、ハボックの頬を撫でながら言った。
「貴方は何も心配しなくていいんです。悪いのは全て私なのですから」
 そう言うとノーマンは再びハボックに口付けていく。唇を深く重ねながらノーマンはハボックの服をくつろげていった。はだけたシャツの中へ手を忍び込ませ、ぷくりと立ち上がった乳首を摘み上げればハボックの唇から喘ぎが零れた。
「あっ…」
 思わず零れた甘い声にハボックは驚いて手で口を押さえた。ノーマンは笑ってその手を取り上げる。
「いいんですよ、声を出して」
「で、もっ」
「こうされると気持ちいいんでしょう?」
 そう言いながらノーマンはハボックの乳首を指先でくりくりとこね回した。
「あんっ…あ、あっ」
 ぴくぴくと震えながら声を零すハボックの耳元にノーマンは囁く。
「気持ちイイ?」
「あ…」
 ノーマンの言葉にハボックはおずおずと頷く。するとノーマンはハボックのズボンに手をかけると下着ごと剥ぎとってしまった。
「あっ、いやっ」
 僅かに抵抗するハボックを抑え込んで、ノーマンは半ば立ち上がりかけたハボック自身に手をかけた。
「ここを弄ったことはありますか?」
 聞かれてハボックは真っ赤になって目を瞑った。その様子にノーマンは言葉を続ける。
「マスタング様に教わりましたか?」
 ノーマンに言われてハボックが消え入りそうな声で答えた。
「淋しくなったらしてごらん…って」
「そう」
 ノーマンは頷くとハボックの脚を大きく開かせた。
「いやっっ」
 立ち上がった自身をノーマンの視線に晒されてハボックは恥ずかしさのあまり身を捩る。だが、ノーマンはそれを赦さずハボック自身に舌を這わせた。
「ひっ」
 じゅぶじゅぶと唇で擦りあげると瞬く間に熱を蓄えていった。
「あっ…あんっ…や、あっ」
 自分の指をしゃぶりながら、喘ぐハボックは幼いながらも強烈な色香を放っている。ノーマンは我慢できずにハボックの後ろに舌を這わせると、つぷりと指を差し入れた。
「いっ」
 途端、強張る体を宥めるようにノーマンはハボック自身に舌を這わせる。前と後ろを同時に弄られて、ハボックはあられもない声を上げた。
「ああっ…あんんっ…はあんっ」
 ノーマンの長い指がハボックの奥まったしこりを引っ掻いた時、ハボックの体を電流のようなものが駆け抜け、ハボックは声をあげることも出来ないまま、ノーマンの口中へと熱を放ってしまった。ごくりと吐き出されたものを飲み込んでノーマンはハボックの顔を覗き込んだ。うっすらと涙を浮かべ、頬を染めて喘ぐ姿にノーマンの中心にどくりと熱がこもって行く。ノーマンはハボックの脚を抱え上げるとひくつく蕾へ滾る自身を押し当てた。
「ノーマ、ン…?」
「ハボックさま…」
 みち、と音を立ててハボックの狭い器官が割り開かれていく。その凄まじい圧迫感と引き裂かれる痛みに、ハボックはノーマンの肩に爪を立てた。
「あ、あ、あ」
「ハボックさま…わたしの…」
 肩に食い込む爪の痛みを快感に感じながら、ノーマンはハボックの中へと己を埋めていった。全て埋めてしまうと、ノーマンはゆっくりとハボックを揺すりあげる。熱い襞が纏わりついてくる感触に、ノーマンは次第に我を忘れてハボックを乱暴に突き上げた。
「ああっ!あんっ、あああっっ」
「ハボックさまっ」
 しがみ付いて来る細い体を抱き返してノーマンはハボックを突き上げる。涙を零しながら喘ぐハボックはノーマンの首に手を回すとキスを強請るようにノーマンを引き寄せた。引き寄せられるままにノーマンはハボックの唇を塞ぎ、舌を絡ませながら二人は腰を揺らめかせる。ずちゅっずちゅっと淫猥な水音が響き渡り、耳からも2人を煽っていった。
「あっ…ノ…マンっ、ヘン、だよっ」
「どうされました…?」
「ぅんっ…からだ、がっ…とけちゃう…っ」
 幼い口調で快楽を訴えるハボックに、埋め込まれたノーマン自身が嵩を増す。
「あっ…や…ひろげな…でっ」
 くるしい、と訴えるハボックに、だが最早ノーマンは手加減できなかった。ハボックの脚を高く抱え上げると思い切りハボックを突き上げる。
「ひあっ…あっ…いたっ…ああっ」
 無意識に逃げようとする体を引き戻してノーマンはハボックの体を蹂躙していった。いつもは優しいノーマンのあまりの激しさに、ハボックの心はすくみ上がる。
「あっ…ああっ…ノーマン…っ…こわ、いっ」
 ハボックの声にノーマンはハッとして幼い顔を見下ろした。涙に濡れたその顔は怯えきっていて、ノーマンはハボックにとって、体を繋げるという行為が初めてであることを思い出した。
「す、みません…怖かったですね…」
 ノーマンはそう言うとハボックの頬を撫でる。いつものノーマンの顔にハボックはホッと息をついてノーマンの首に手を回した。
「キス…して」
 強請られるままにノーマンはハボックの唇を塞ぐ。唇を離すと、ノーマンはゆっくりとハボックを突き上げた。
「んっ…んんっ…あっ、ノーマンっ」
「ハボックさま…」
「そばに…ずっと…そばに、いて…オレを、ひとりに…しな…で…」
 はらはらと涙を零しながらノーマンを受け入れるハボックの言葉に、ノーマンは自分が誰かの代わりなのだと気づいてしまう。だが、それでもこの愛しい子供の側にいることが赦されるなら、それでもいいとノーマンは思った。
「ああっ…ノーマン…ノーマンっ」
「ハボックさま…っ」
 ノーマンはハボックの最奥を穿ちながら想いの丈を解き放っていった。


2006/11/27


可哀相なノーマンに少しはいい思いをさせてあげようと思ったのですが、終わってみればやっぱり何だか可哀相なノーマンでした。ごめんね、ノーマン。やっぱり私にとってハボの相手はロイしかいないの…。