創傷


「ハボック少尉はどこだ?!」
 医務室に入ると同時に大きな声で尋ねてきたロイに部屋の面々がびっくりして振り向いた。
「ハボック少尉でしたら先ほどお戻りになられましたけど」
 中の一人が慌てて答えるのに被せるようにして更にロイが尋ねる。
「怪我の具合はどうなんだ?」
「あ、はい、左上腕部に銃弾による傷が。あと右肩と右の頬に爆撃の破片で軽い怪我をされてます。どれも命に係わるようなものではありませんが」
 ロイはそれだけ聞くと返事もせずに医務室を後にした。

 情報が交錯していた。ロイたちが手にしていた情報には肝心な所が抜け落ちていた。その為、作戦は最後の最後で首謀者を取り逃がす結果となった。幸い現場にいたハボックの機転でこちら側に死者が出るような事態にはならなかったものの、痛い失点となったのは確かだった。だが、それよりもロイにとってはハボックの様子が心配だった。本当なら好き好んでハボックを危険な場所へ行かせたくはない。しかし、軍人としての自分たちにそのような選択権はなく、ハボックもロイの為なら先陣を切って飛び出していきそして、いつも期待以上の働きをして帰ってきた。彼を送り出すロイは一見、なんとも思っていないように見えるかもしれないが、それは彼の精神力の賜物であり、いつも胃がきりきりと痛む思いでハボックの帰りを待っているのだった。
(全く、また怪我なんて…っ)
 作戦のたびハボックは怪我をして戻ってきた。かなり危険な現場である為仕方のないことではあるし、それのどれもが今の所命に係わった怪我であったことはなかった。だが、それがいつまで続くかは判らない。ロイは唇を噛み締めると司令室の扉を開けた。部屋の中を見回し、ハボックの姿を見つけホッとする。ハボックはブレダや小隊の数人と話込んでいた。その姿は埃と硝煙にまみれ、いつもはきらきら輝いている金髪がくすんでいる。その顔には疲れが浮んでおり、頬に貼られた大きな絆創膏が痛々しかった。
「ハボック」
 ロイの呼ぶ声にハボックは振り向くと僅かに眉を顰めた。
「すみません、大佐」
 ハボックはロイのほうへ来ると言った。
「今、追跡の計画を…」
「それはいいからこっちへ来い」
 説明しようとするハボックを遮ってロイは執務室へと入っていく。ハボックはちらりとブレダたちを見やったが、何も言わずにロイの後に続いた。ぱたんと扉が閉まると共にロイがハボックの襟首を掴み噛み付くようにキスをした。深く交わす口付けに、ロイはハボックの無事を実感してホッと胸をなでおろした。漸く唇を放すとロイはハボックを睨みつけるようにして口を開く。
「怪我をしたと聞いたが」
「大したことないっス。作戦に影響ありません」
 肩を竦めて答えるハボックにロイは声を荒げた。
「まだ出るつもりか?!」
「終わってませんから」
 平然として言い放つハボックの襟首を掴むとロイは低く言う。
「そんなことは許さん」
「オレはこの作戦の実行部隊の隊長なんスから」
「怪我をしているんだろうっ?」
「大したことないって言いましたよね」
 ウンザリしたように言うハボックにロイはかっとなって怒鳴った。
「ダメだ、お前は出るな」
「大佐!」
「他のヤツにやらせろ」
「無茶言わんでください!」
 暫しはたと睨みあってハボックはため息を付いた。
「ブレダたちと作戦を詰めてきます」
 そう言うとロイに背を向けて執務室をでようとする。ロイは手を伸ばすとハボックの右肩を掴んで振り向かせた。
「…っつ…っ」
 かすり傷とはいえ怪我の上を乱暴に掴まれてハボックは眉を顰める。
「大佐」
 咎めるように言うハボックの左腕をぐいと掴んでロイはハボックをソファーへと突き飛ばした。
「あっ…つぅ…っ」
 今度こそ傷の痛みに顔を歪めてハボックはソファーへと倒れこむ。その腹の上へロイは手加減なしに思い切り膝を落とした。
「ぐはぁっ…!」
 ハボックが身を二つに折って苦しむのを尻目にロイは執務室の扉を透かすとブレダを呼んだ。
「次の作戦からハボックを外せ。思ったより具合が悪いようだ」
「えっ?!」
 ブレダはロイの肩越しにソファーに蹲るハボックの姿を確認して渋い顔で頷く。
「判りました。何とかします」
「頼む」
 ロイはそう言って扉を閉めると鍵をかけた。ハボックの方を振り向くと腹を押さえながらソファーから身を起こしてロイを睨んでいた。
「アンタ、何考えてるんスか…っ!」
「万全の体調で出て怪我をしたんだろう、今度は怪我で済むはずがない」
「オレだけ逃げろっていうんですかっ?!」
「お前はここにいろ」
 ハボックは怒りに震えてソファーから立ち上がるとロイを睨みつけた。
「アンタの命令でも聞けません」
 搾り出すようにそう言うと、扉へ向かって歩き出した。ロイの側をすり抜けようとしたハボックの左腕をロイは力任せに掴んだ。そのまま思い切り捻り上げる。
「うぁっ…っ!」
 激痛にハボックが顔を歪める。黒いシャツに血が滲んでロイの手を汚した。それに構わずロイは後ろ手にハボックの腕を捻り上げると机の上に俯せに押さえつける。
「大佐っ」
 ロイは圧し掛かるようにしてハボックを押さえ込むとズボンのベルトに手をかけた。それを引き抜くとハボックの腕を縛り上げる。
「なにを…っ」
 ハボックはロイの行為が信じられず、逃れようと身を捩るが再び思い切り腕の怪我を捏ね上げられて短く呻くと机に顔を伏せた。ロイはハボックのズボンを下着ごと引き摺り下ろし、その脚の間に体をいれて閉じられないようにする。ハボックの蕾に指を這わせるとまだ堅く閉じたソコへ無理矢理指を差し込んだ。
「い…っ、つぅ…っ」
 潤いのないソコを強引に開かれる痛みにハボックは体を震わせる。ロイはおざなりに解しただけで自分の熱を取り出すとハボックの蕾にあてがい一気に貫いた。
「――――っっ!!」
 あまりの激痛にハボックは声を出すことも出来ずに体を仰け反らせた。鉄臭い匂いが微かに漂い、強引な行為がハボックを傷つけたことを教える。ロイはむしろそのことで得た潤いを使って激しく抜き差しを始めた。
「ひっ、あ…っ、い、つ…っ、あ、あ…っっ」
 ハボックの瞳からぼろぼろと涙が零れ落ちる。もう、抵抗することも出来ずにハボックはロイが揺さぶるままに体を震わせた。ロイが微かに呻いてハボックの中へ熱を注ぎ込む。ずるりと抜かれる感触にハボックは眉を顰めて力なく机に突っ伏した。ロイが後ろ手に縛ったハボックの腕を外し、装備の取り付けられたコンバットベストを脱がせる。そうしてハボックの体を運ぶとソファーに横たえた。そのまま上に圧し掛かってくるロイにハボックは薄っすらと瞳を開いて問いかける。
「なんで行かせてくれないんスか…?オレってそんなに役立たず…・?」
 弱々しいハボックの声にロイは顔を歪めた。
「今、行けばお前は無理をするだろう?失点を取り戻そうとムキになって普段のお前なら決してしない無理をする。無理をすればそれだけ危険は増すんだ。それが判りきっているのにお前を出すわけにはいかない」
「でも、オレが上手くやれなかったから…っ」
「お前の所為じゃない…っ、そう言うと判っているから出せないと言っているんだ」
 ロイは掌で優しくハボックの顔を撫でると言った。
「今慌てて取り戻す必要はないんだ。いくらでもチャンスはある。私がチャンスをやる。だからその時応えてくれればいいんだ」
 ロイの言葉にハボックは顔を腕で覆った。腕の間から涙が頬を伝うのが見えて、ロイはため息を付いた。腕を強引に解かせると嗚咽を漏らす唇に口付ける。縮こまる舌を捕らえて強く絡めては口中を余す所なく弄る。嗚咽と共に含み切れない唾液がハボックの唇から零れた。涙を流す眦を舐め上げ、耳の中へ舌を差し入れて嘗め回すとハボックの体がビクビクと跳ねた。シャツの中へ手を忍ばせて堅く尖った乳首をぐりぐりと捏ねる。ハボックが感じ入ったような吐息を吐き出すのにロイはシャツを捲り上げるとソコへ舌を這わせた。
「んっ、あ…っ」
 ハボックが首を振ってロイを引き離そうとするが快感に震える指はロイの腕に添えられるだけで、何の力にもなりはしなかった。しつこいほどに愛撫され嘗め回されて、ぬらぬらと濡れるソコからはハボックの体にしびれるような快感がもたらされ、ハボックはかぶりを振った。ロイはそんなハボックに満足げに微笑むと唇を下へと滑らせる。脇腹に強く歯を立てれば薄っすらと血が滲んだ。ロイはそうやってハボックの体に幾つも痕を刻んでいく。ハボックは小さな痛みとそこから湧き上がる快感に身を捩ってロイの手から逃れようとした。
「い、やだ…っ、も、はなし、て…っ」
「ダメだ」
 ロイはそう言ってハボックの脚を大きく開かせた。ひくりと蠢いた蕾からさっきロイが放ったものと一緒に鮮やかな赤い血が溢れ出てくる。ロイは嫌がるハボックの抵抗を封じ込めてひくひくと蠢く蕾へ指を突き立てた。
「い、たぁ…っ」
 ハボックの悲鳴と共に新たに赤いものが零れる。ロイはそれに構わず一気に指の数を増やすとぐちぐちとかき回した。
「い、いた…っ、たいさ、いたい…っ」
 泣きながら訴えるハボックを無視してロイはハボックの蕾を弄り続けた。痛いと泣くハボックの中心はそれでも緩やかに熱を集め始め徐々に硬度を増していった。その様子にロイは薄っすらと笑って囁く。
「相変わらず、痛くても感じるんだな」
 ロイの言葉にハボックが泣きながら首を振る。ロイの指が更に奥へ突きたてられてハボックは大きく体を揺らした。
「イヤらしい体だ…」
 ロイは言うと同時に乱暴にかき回す。ひくりとハボックの喉が震え、どっと熱を吐き出した。ロイは達したばかりで敏感になっている粘膜をぐるりとかき回して指を引き抜いた。
「ああん…っ、はぁ…っ」
 ハボックはびくびくと体を震わせると無意識に腰を揺らした。ロイの喉からくくっと楽しげな笑いが漏れる。
「そんなに痛いのがいいのか?」
 慌てて首を振るハボックの頬の絆創膏を引き剥がすと露わになった傷口に舌を這わせた。
「ひ…っ」
 痛みに首をすくめるハボックに構わず舌を這わせながら再び奥まった蕾へと指を沈めて行く。くぷくぷとロイの放ったものと新たに溢れ出した鮮血を零しながら善がるハボックをロイは満足そうに笑った。
「もうっ、ゆるし、て…っ」
 泣きながら許しを乞うハボックの蕾から指を引き抜くと、ロイはハボックの脚を抱え上げて一気に貫いた。悲鳴が零れる前にハボックの唇を自分のそれで塞ぎ、乱暴に抜き差しする。数度揺すり上げられるとハボックの中心から熱が迸った。それでも止まらない抽送にハボックの熱が瞬く間に高まっていく。続けざまに何度もイかされてハボックはぼろぼろと涙を零した。
「ひあっ、ああっ、あ…っ、たい、さ、いたいっ、いたぁ…っ」
「それが悦いんだろ…?」
 意地悪く耳元で囁けば、ハボックの体がびくりと震えた。
「ど…して…っ」
「私がそうしたからな…」
 ロイの言葉にロイを飲み込んだハボックの入り口がきゅっと締まる。そんなハボックを見つめてロイはうっとりと笑った。
「お前は私のものだ。勝手に命を粗末にすることなんて許さない。私の側から離れるなんて絶対に許さないからな」
 そう言いきるとロイは抽送を激しくする。がくがくと揺さぶられるままにハボックは熱を吐き出し続けた。ついにロイがハボックの最奥へその想いの丈を注ぎ込むと同時にハボックは意識を手放した。

 ぐったりと横たわるハボックに口づけてロイはハボックの衣服を整えてやる。自分のコートをその体にかけてやるとロイは指揮を取るべく執務室を後にした。


2006/7/19


ロイハボonlyと仰るRORO様から「ジャクロイすばらしかったです!ぜひ、リバも」とのコメントを頂きました。最初は「リバ?リバって…ロイジャク??うっわぁ、絶対無理!書けない!」と思ったのですが、「要するにロイハボのジャク版よねっ」とチャレンジしましたところ、ロイジャクと言うよりやっぱりロイハボになってしまいました。しかも、かなりロイがエゲツナイ…。RORO 様、こんなのになってしまいましたがいかがでしょうか(汗)