無邪気な彼氏


「たいさあ、ピクニックシート、どこっスかあ?」
「…そんなものがこの家にあると思うのか?」
 車にお弁当やらコーヒーのポットやらを詰め込みながら聞くハボックにロイは顔を顰めて答えた。
「ないんスか?…まあ、いいか。最近雨も降ってないから、下、濡れてないだろうし。ダイニングのクロス、持っていってもいいっスか?弁当の下にひくのに」
「何でも好きにしてくれ」
 そう言うロイに急いで家の中へと入っていくハボックの背をみやって、ロイはため息をつく。久しぶりに休日が重なった日。ロイはハボックの要望で車で一時間ほどのところにある公園にピクニックに行く事になっていた。
(大の男が2人してピクニック…)
 ロイはため息をついて空を見上げる。目にした空は綺麗に晴れ渡って憎らしいほどのピクニック日和だ。ハボックの料理は美味い。おいしい空気の下で食べたらより一層美味いだろう。だが、しかし。

 実は、ハボックとロイはいわゆる恋人同士という関係だ。生まれてこの方女性にしか興味がなかったはずのロイが、どういうわけか惚れに惚れこんでようやく口説き落としたのが部下であり、自分より頭ひとつ大きい、どこからどう見ても男のハボックだった。勿論ロイも自分の気持ちに気づいた当初はショックだった。今の今までヘテロだと信じていた自分が、よりによってどうしてハボックなのだと随分悩みもした。だが、必死に自分についてこようとする健気さが、照れて笑うその姿がどうにも可愛くて仕方がなく、もともと恋愛に関しては奔放なロイの事、一度認めてしまえばあとはひたすら突き進み、ハボックにも頷かせてしまったのだった。それが今から1ヶ月ほど前のこと。それ以来、ロイはハボックを本当に自分のものにすべく、あの手この手を尽くしてきた。しかし、今までに出来た事といえば、軽く触れるだけのキスのみ。ハボックときたらこれだけアプローチしていると言うのに、まるで気づく素振りもなく、暖簾に腕押し、あっけらかんとしているのだ。その大らかなところに惚れたと言えばそうなのだが、しかし、こうなるとそうも言ってはいられない。名うての女タラシだった自分が1ヶ月もの間相手に指1本触れられないとは、ロイにしてみればこんなショックなことはなかった。いくら相手が男でこれまでとは勝手が違うとはいえ、自分で自分が許せない。今日だってせっかく休みが重なったのだ。健康的にピクニックも悪くはないが、ロイにしてみれば、あんなこともこんなこともしてみたいというのが本音だった。

「たいさっ、お待たせしました」
 クロスを持って戻ってきたハボックに、にっこり微笑まれてロイは不覚にもドキリとした。
「行きましょうか」
 運転席に座ったハボックに促されるようにロイは助手席に滑り込む。クンと走り出す車に、ロイはフッと息を漏らした。

 1時間ほどしてついた公園は風もなく、もう12月も近いというのに小春日和でぽかぽかと暖かかった。弁当の入ったバッグを脱ぎ捨てたジャンパーと共に適当な木陰に置くと、ハボックは散歩と称して公園の中を歩き出す。仕方なしにそれについて行くロイの視線の先に小さい遊具広場が目にはいった。ロイが気づいたと同時にハボックも気づいたようで、そこに向かって走り出す。ジャングルジムまで辿りつくとハボックは早速そこに登り始めた。てっぺんまで上ると両手を離して立ち上がり、ようやくジャングルジムの所にたどり着いたロイを見下ろした。
「たいさぁ、みてみて」
 得意そうに笑う顔を、ロイはうっとりと見上げる。背後の空と同じ水色の瞳が楽しそうに細められるのを見て、ロイはあの瞳を快楽にゆがませてみたいと思った。そんなロイの気持ちを知ってか知らずか、ハボックはジャングルジムから下りると、すぐ隣に会ったアーチ状のはしごに手をかけた。本来、ぶら下がって腕の力だけで渡る筈のはしごは、ハボックが掴まると、ぶら下がるどころか頭がつっかえてしまう。ハボックは楽しそうにくくっと笑うと、ロイを振り返った。
「ねえ、これ、なんて言うんでしたっけ?」
「くもばしごだろ」
「ガキの頃は飛び上がっても掴まれない高さだったのになぁ」
 懐かしそうにはしごの横棒を撫でるハボックは妙に儚く見える。思わず手を伸ばしてその腕に手を置いたロイを、ハボックは不思議そうに見つめた。
「なんスか?」
 見下ろしてくる空色の瞳を涙で濡らしてやりたい衝動を押さえて、ロイはハボックの腕から手を離した。
「いや、なんでも」
 言葉を濁すロイを、ハボックは暫く見つめていたが、不意にきょろきょろと辺りを見回した。
「どうした?」
「あ、いや、なんか鳴き声が…」
 そう言ってすたすたと歩き出すハボックを、ロイは慌てて追いかけた。辺りを見回しながら池のほとりまで歩いてくると確かにどこからかぎゃあぎゃあと鳴く声がする。
「あ、あそこ」
 そう言ってハボックが指差す方を見れば、池の上に張り出した枝の端っこで、一匹の子猫がぎゃあぎゃあと鳴いているのだった。
「なんだ、一体?」
 眉を顰めるロイにハボックは微かに笑うと、木に向かって歩き出す。
「下りれないんスよ、きっと」
 そう言ってハボックはたどり着いた木の枝を見上げた。
「猫だろう?下りれないなんて事はないんじゃないか?」
「見たところ、子猫っスからね。行ったはいいけど動けなくなったんだと思いますよ」
 ハボックはそう言うと、よっと声をかけて枝にぶら下がった。懸垂の要領で自分の体を引き上げると枝の上に上る。
「おい、枝が折れるぞ」
「大丈夫っスよ。結構太いっスから」
 心配するロイを尻目にハボックは枝をそろそろと歩き出した。上の枝につかまり横向きである程度の所まで行くと、体を低くして子猫に向かって手を伸ばした。
「ほら、こっちに来い」
 だが、猫はぎゃあぎゃあと鳴くばかりでちっとも埒が明かない。ハボックは仕方なしにゆっくりともう少し先に進んだ。その手が子猫に届くか届くまいかという瞬間。
「ふみゃあっ」
 突然子猫がハボックの手に飛びついてきた。
「えっ?!」
 急な事にハボックは枝の上でバランスを崩す。その上、子猫がハボックの腕を伝って顔によじ登ってきたから堪らない。
「うわっ!ちょ…っ」
 ぐらり、と。
 ハボックの体が傾いたかと思うとそのまま枝から落ちてしまった。
「うわあっ」
「ハボックっ!」
 バッシャーーーーンッッ!!
 派手な水しぶきと共にハボックの体が池の中へと落ちる。慌てて池の淵に駆け寄ったロイの前で、ぶくぶくと泡が上ったと思うと、ザバッとハボックが顔を出した。
「ぷはっ」
「大丈夫かっ?!」
 ハボックは腕の中にしっかり抱きかかえた子猫を見るとくすくすと笑い出した。
「ははっ、お互いびしょびしょだな」
 そう言うと、ざばざばと水をかき分けてロイの方へと歩いてくる。ロイが差し出す手に首を傾げると「濡れますよ」と言うハボックにロイは苛々と手を伸ばした。
「すんません」
 ハボックはそう言うとロイの手に掴まって池から上がった。その途端、ハボックの腕から抜け出した子猫はダッシュで走り去ってしまう。
「おお、恩知らず」
 ハボックは楽しそうに言うと思いっきりクシャミをした。
「全く、なにやってるんだ、泳ぐにはいくらなんでも…」
 子猫を見送っていたロイは、小言を言いつつ大きなクシャミをしたハボックを振り返り、そのまま絶句してしまった。頭からぽたぽたと零れる滴がハボックの滑らかな頬を伝い、首筋を辿って流れていく。濡れてべったりと張り付いたシャツはハボックの均整の取れた体の線をくっきりと浮かび上がらせているばかりか、半ば透けてその胸元の飾りを浮き上がらせていた。
(う、わ…)
 目を瞠ったロイは慌てて緩む口元を手で覆い隠した。ずくんと、中心に熱が集まってくるのを感じて、慌てて目を逸らそうと思うが、張り付いたように視線が逸らせない。
「たいさ?」
 ハボックは食い入るように見つめてくるロイに不思議そうに首を傾げた。そんなハボックの様子に頭の中でプツッと何かが切れる音がしたような気がして、ロイはハボックの腕を掴むとずんずんと歩き出した。
「あの、たいさ?」
 ロイの背中に漲って見えるものがなんなのか、全く見当がつかないハボックはロイに引き摺られるようにして手を引かれるままに歩いていく。ロイは遊具広場の横の繁みの中をかき分けるように入っていくと、木々に囲まれた中にぽっかりとできた狭い空間にハボックを突き倒した。
「え?あのっ?」
 自分を見下ろしてくるロイの視線の意味がハボックには全く判らない。微かに吹いた風にぶるりと体を震わせると、ハボックは大きなクシャミをした。
「寒いのか?」
 掠れた声で聞いてくるロイにハボックは後ろに手をついたままロイを見上げて答えた。
「そりゃ、パンツまでびしょびしょですもん」
 困ったように笑う顔にロイは体の中をどくんと血が流れるのを感じる。ハボックの体の脇に跪くと、ロイはハボックのシャツに手をかけた。
「温めてやる…」
「え?」
 そう言ってボタンを外し始めるロイの意図を、この期に及んでもまだ理解できないハボックは大人しくされるままになっている。だが、流石にズボンに手をかけられると、慌てて身を捩った。
「ちょっ…。なにするんスかっ?」
「寒いんだろう?」
「寒いっスけど…」
「濡れた服を脱がなきゃ温めてやれないだろう」
「え、いや、だけど…っ」
 確かに濡れた服を着ていてはいつまでたっても寒いままだ。それは判る。だがどうしてロイにズボンを剥がれなくてはならないのだ。混乱するハボックは抵抗する間もなくロイに下着ごとズボンを剥ぎ取られてしまった。羽織っただけのシャツと相まってひどく淫猥なその姿は、先ほどまでの健康的なハボックを見ていただけ、そのギャップの大きさに、ロイの僅かばかり残っていた理性は完璧に吹き飛んでしまう。ロイはハボックに覆いかぶさると半ば強引にその唇を塞いだ。
「んっ、んんっっ」
 今までの羽が触れるような優しいキスと違う、貪るような激しいキスにハボックは動揺した。ロイの舌が口中を舐めまわし、舌を絡めてきつく吸い上げる。あまりに深く合わさる唇に、ハボックは唾液を飲み込むことすら出来ず、その唇の端から銀色の糸となってハボックの肩口に垂れていった。目の前が紅く霞んで、ハボックの体から力が抜けていく。ようやくロイが唇を離したときにはハボックはくったりと草の上にしどけなく横たわっていた。
「た、いさ…」
 空色の瞳をうっすらと涙で滲ませ、混乱しきった表情で見上げてくるハボックの姿は、妙に無防備で幼くみえる。ロイはそんなハボックをメチャクチャに啼かせてやりたくてハボックの首筋に舌を這わせ始めた。体の線にそってゆっくりと舌を滑らせ時折きつく吸い上げる。そのたびにびくんと震える体が愛しくて、ロイはハボックの体をくまなく愛していった。
「あっ…ふ、ぅんっ…」
 ロイの唇が立ち止まる度、そこから湧き上がる快感に、ハボックの心はますます混乱していった。こんなところでこんな風に乱されていく自分が信じられない。だが、それを振り払うだけの力が今の自分にはないのだ。
「あ…う…は、ああ…っ」
 その時、ロイの舌がハボックの胸の頂にたどり着き、舌先でぐりゅっと刺激され、ハボックの体を電気のような快感が走り抜けた。
「ひゃああっ」
 大きく跳ね上がる体を押さえ込んでロイは舌と指でハボックの乳首を愛撫する。弄られるソコから湧き上がる快感にハボックは甘い喘ぎを洩らした。
「う、ふぅ…ん…んあっ…ああんっ」
 無意識に零れるはしたない声にハボックは耳を塞ぎたくなった。実際には右手の人差し指をぐっと噛み締めて、漏れる声を必死に耐えようとする。ぎりぎりと歯をたてたそこからうっすらと血が滲んでいることに気がついたロイは、慌ててハボックの口から指を引き抜いた。
「あっ、いやっ」
「バカっ、トリガーが引けなくなるぞ」
「あ、だってっ」
 声を抑える術を封じられてハボックはいやいやと首を振る。ロイの指が胸の頂から離れて、ホッと息をついたのもつの間、中心をきゅっと握られて声もなく体を跳ね上げた。
「…っっ!!」
 やわやわと袋を弄られ、棹を擦り上げられて、これまでの間接的なソコへの刺激とは比べ物にならない程の快感にハボックはびくびくと体を震わせる。そそりたったソコから零れる蜜を辿るようにロイの指がハボックの中心をなぞり、脚の間を通って奥まった蕾へとたどり着いた。零れた蜜を塗りこめるようにひくつく蕾をそっと撫でると、次の瞬間、ロイはハボックの蕾へ指をつぷりと差し入れた。
「ひっ」
 差し込んだ指をぐるりとかき回すように中で蠢かす。狭い蕾は入り込んできた指をきゅうきゅうと締め付けて、ロイはすぐにでも自身で貫いてやりたい衝動を必死に抑えて、ぐちぐちとかき回した。
「うふ…ん…ぅ…やあ…っ」
 ぼろぼろと涙を零しながら身悶えるハボックを見つめながらロイは沈める指の数を増やしていく。3本目の指が中で動き回るだけの余裕ができたのを確認すると、ロイはハボックのソコから一度指を引き抜いた。
「ふああっ」
 抜かれる衝撃にハボックの中心からとろりと蜜が糸を引いて垂れる。ぴくぴくと震えるその先端を指先で押しつぶす様に刺激すると、ハボックの唇から耐え切れない喘ぎが上がった。
「ハボック…」
 ロイはハボックの脚を抱え上げて滾る己を押し当てながらハボックの耳元に囁く。ぴくっと震えて空色の瞳がロイを見つめるのに微笑むと、ロイはゆっくりとハボックの中へ体を沈めていった。
「い…っ」
 熱い塊りがみちみちと割り開くようにしてハボックの中へと侵入してくる。そのあまりの圧迫感と引き裂かれていく痛みにハボックは目を見開いて喉を反らした。
「ひ…やめ…」
 強張って閉じようとするソコに、ロイは顔を顰める。
「ハボック…力を抜け…」
「い、やあ…っ」
 ロイの肩に爪を立て、目を見開いて喉を仰け反らせるハボックは、その瞳にロイの姿を映し出してはいるものの、実際には何も見てはいなかった。ロイは軽く舌打ちすると、ハボックの中心に手を這わせる。ぴくんと震える体に、ロイはハボックの顔を覗き込むと囁きかけた。
「ハボック…大丈夫…私だ…怖くないから」
 何度もその耳元に囁きかける内にハボックの視線がロイに向けられる。ロイはハボックの頬を優しく撫でるとそっと口付けた。
「ハボック…私を信じて…力を抜いて…」
「あ…たい、さ…?」
「すぐ、悦くしてやる…」
 自分を見つめてくる熱い視線にハボックの体から僅かに力が抜ける。ロイはなんとか根元まで自身をハボックの中へ埋めるとハボックに優しく口付けた。
「愛しているよ、ハボック…」
「たいさ…」
 そう囁いてロイは慣らす様にハボックを揺すりあげた。ハボックの唇から熱い吐息が零れるのを確かめると、ゆっくりと抽送を始める。ずりゅっずりゅっと繋がった部分から水音が上がって、ハボックはソコから湧き上がる今までに感じた事のない目も眩むような快感に空色の瞳を見開いた。
「ハボック…」
「あ…あんっ…ああっ」
 自分の中をロイの熱い塊りが押し開き、熱い襞を擦りあげる。そんなところを貫かれて犯されることをこれほど快感に感じるなんて、ハボックは信じられずにふるふると首を振った。その仕草にロイは微かに眉を顰めて尋ねる。
「イヤなのか…」
 傷ついたようなロイの声音にハボックはロイの体にしがみ付いた。
「ちが…あ…だって…っ」
「だって、なんだ?」
 そうささやき会う間にもロイの塊りがハボックを突き上げる。ぞくぞくとこみ上げる射精感にハボックは唇を震わせて答えた。
「や…なん、でっ…ん…き、もち…イイっ」
 悲鳴のように零れた言葉にロイの動きが一瞬止まり、次の瞬間ぐぅっとハボックの中で嵩を増した。
「ひ…や…なんで…おっき、く…っ」
 押し開かれる苦しさにハボックが悲鳴を上げる。
「お前が私を悦ばせるからだ…っ」
「え…?」
 訳がわからないと目を見開くハボックをロイは容赦なく突き上げた。最奥を突かれてハボックは声もなく熱を迸らせる。だが、その余韻を味わう間もなくガンガンと突き上げられて、ハボックは瞬く内に追い上げられていった。
「ひあっ…ああっ…あんっ…やあっ」
 突き上げられるままに何度も白濁を吐き出させられて、ハボックは泣きじゃくる。あまりの快感に自分が酷く淫乱になったような気がして、ハボックはロイに赦しを乞うた。
「や…たいさっ…も、やだあ…っ」
 空色の瞳から涙の滴を撒き散らしながら身悶えるハボックに、ロイはぞくぞくと身を震わせる。いやだと啼きながらもロイ自身を包み込み離そうとしないしないソコに、ロイはうっすらと笑った。
「やだじゃないだろう…?お前のココはモットと言ってるぞ」
「…んなこと…っ」
 ぐんと突き上げられて、またハボックは熱を吐き出す。きつすぎる快感にハボックはもう、息も絶え絶えだった。涙に霞む目は、目の前のロイしか見えず、ずぶ濡れになって冷え切っていた筈の体は熱を持って寒さなど微塵も感じなかった。感じ過ぎる事が辛くて、でももっと突き上げて欲しくてハボックはロイにしがみ付く。
「あんっ…あ…たいさぁ…」
「なんだ…?」
「キモチい、い…ど、して…っ」
 必死にしがみ付いて来る体を抱きしめてロイは微笑んだ。
「どうして欲しい…?」
「もっと…もっと、おくっ…ついて…っ」
 ロイはハボックに強請られるままにハボックの最奥を突き上げてやる。感じる部分を突かれて、ハボックは唇を震わせて熱を吐き出した。
「あああっっ」
「んっ…ハボ…っ」
 イッた拍子にぐぅっと締め付けてくるソコに流石のロイもハボックの中へ熱を吐き出す。どくどくと注ぎ込まれる熱にハボックは目を見開いた。
「ああっ…なに…はいって…っ」
 体の最奥を焼く熱が、今まで知らなかった快感をハボックに与える。ハボックは無我夢中でロイにしがみ付くと自ら唇を重ねた。

 もうだいぶ冷たくなった風にぴくんと体を震わせたハボックをロイはそっと抱きしめると口付ける。散々に貪った体はまだ熱を帯びてロイの体に寄り添っていた。
「辛くないか?」
 激情のままにこんなところで行為に及んでしまった自分に、正直ロイは驚いていた。欲しいと思ってはいたが、ここまで切羽詰っていたのかと、まるで10代の子供のようなことをしてしまった自分に苦笑を禁じえない。だが、ずっと望んでいたハボックとのそれは、ロイの心を温かく満たしていた。
「辛くはないっスけど…」
「けど?」
「…恥ずかしいっス…」
 耳まで真っ赤になってロイの胸元に顔を埋めてそう呟くハボックが愛しくてしょうがない。
「それに…」
 小さな声で続けるハボックにロイは尋ねる視線を向けた。
「まだ入ってる気がする…」
 殆んど聞き取れないような声で告げられた言葉にロイは一瞬目を瞠ったが、次の瞬間くくっと笑った。
「わ、笑い事じゃないっスよっ」
 真っ赤になって文句を言うハボックをロイは笑いながら抱きしめる。
「すぐに慣れるさ」
「なっ…」
 絶句するハボックの空色の瞳を見つめてロイは囁いた。
「愛してるよ、ハボック」
 優しい声がハボックの心に染みこんで。ハボックはロイの胸に顔を寄せると「オレも」と呟く。ロイは幸せそうに微笑むとハボックをそっと抱きしめた。


2006/12/4


カナさまからの拍手リク「初物系でなかなかその気にならない相手にしびれを切らしてちょ っと強引にヤってしまったと言う話。もちろん最後は甘甘で」でした。ハボロイ版をお届けしてから随分時間が経ってしまったような…(汗)。お待たせしました、如何でしたでしょう。相変わらずロイが暴走して外でのお初になってしまいましたー。あれ、こんなつもりでは…おかしいな(滝汗)
そうそう、「くもばしご」っていうのは雲梯のことです。ふつうに雲梯っていうより、こういう言い回しの方が好きですv