雪がとけたら。
 
 
「あれ、雪っスよ。大佐。」
並んで歩いていたハボックが空を見上げてそう言う。薄っすらと霞がかかったような空からはひらひらと白いものが
舞い落ちてきていた。
「この冬最後の雪かもな。」
ロイも見上げて手のひらを差し出す。ひらひらと舞い落ちた雪は手のひらの熱でスゥッと消えた。
「ねぇ、大佐。雪が融けたら何になるか知ってます?」
突然そんな事を言うハボックにロイは顔を顰める。
「お前、私を馬鹿にしてるのか?」
そう言って睨みつければハボックが困ったように笑った。
「別に馬鹿にしてるわけじゃないっスよ。」
ハボックはそう言うと空を見上げる。
「オレ、ガキのころ、テストでその問題出た時に答えの欄に“春”って書いたんスよね。」
そんなハボックの言葉にロイは思わず目を瞠った。
「みんな笑ったけど、でも先生だけは笑わないでいてくれて、“いい答えだね”ってハナマルくれたんスよ。」
その先生、大好きだったなぁと呟くハボックをロイは眩しいものを見るように見つめる。
雪が融けたら春になる。
そんな風に答えるハボックだからこそ自分は好きになったのかもしれない。
「そう言えばその先生、大佐に少し似てましたよ。」
そう言って笑うハボックをロイはそっと引き寄せたのだった。


2008/2/28
 
今時こんな答えを書いたら先生の方に笑われそうだなぁ、なんて思ってしまってちょっぴり悲しかったり。
ハボならきっときらきらと目を輝かせてこう答えてくれるだろうと思います(笑)