You are my sunshine.
 
 
外では風が唸りを上げて吹き荒れている。ビュウウウ、ビョオオオッと吹き荒れるそれはかなり大きい部類に入るこの
家ですら包み込み、巻き込み、バラバラに打ち砕いてしまいそうだ。風に煽られた雨が時折下ろしたままのシャッターに
打ちつけ、シャアアアッッと耳障りな音を立てる。シャッターのない、小さな窓では打ち付けた雨が滝のようになって
ガラスを流れ落ちていた。
「……。」
ソファーに座って本を読んでいたロイは下ろしていた脚をソファーの上に引き上げ、膝を抱え込む。雨と風に閉じ込めら
れた家はシャッターが下りていることも相まって、薄暗く陰気に沈んで見えた。
「嫌な雨だ…。」
憎々しげにそう呟けば、風が一層高い唸り声をあげ、雨が激しく打ちつける。まるでロイが言ったことに対して人間なんて
ちっぽけなものなど敵いやしないのだとあざ笑っているように感じられた。
吹き荒れる風と打ちつける雨。
部屋はますます陰気に沈み、ひんやりと湿気を帯びた空気は肌に纏わりついて不快感を煽る。
「くそ…」
忌々しげに舌打ちしたロイが、いっそ雲に向かって焔でもぶつけてやろうかと思ったとき。
ガチャガチャと鍵を開ける音がして玄関が開いたと思うと、ドタドタと中に入ってくる足音がした。
「ただいまっ、ああもうっ、びちょびちょっスよ!」
合羽から水を垂れ流しながら部屋に入ってきたハボックが大声でそういう。被っていたフードを下ろし、合羽を脱ぎ捨て
れば灯りを弾いた金髪がキラリと光り、ロイよりも体温の高いその体から零れる熱で部屋が暖かくなったように思えた。
ハボックは手についた雨粒を振り落とすと合羽の中に大事に包んで持ってきた袋をロイに差しだす。
「はい、どうぞ。」
そう言われて受け取った袋の中を覗けば中には可愛らしい菓子の包み。
「食いたかったんでしょ?アンタの月一のお楽しみっスもんね。」
そういえば朝食を食べながら、今日はせっかくの月に一度の特別菓子の販売日なのにこんな天気じゃ買いに行けや
しないと文句を言ったことを思い出す。菓子から目をあげてハボックを見れば空色の瞳がにっこりと微笑んだ。
「ちょっと着替えてきますね。そしたらお茶淹れたげますから。」
そう言ってドタドタとハボックが出ていった後には、さっきまでとはうって変わって明るく暖かい部屋が残されて。
ロイは空色の瞳を思い浮かべるとうっとりと笑ったのだった。


2008/4/18
 
これを書いた日は丁度凄い嵐で、風の音が物凄かったんですよ。雨も勿論ですが、とにかく風の唸り声が凄くて。家の中は薄暗いし、そうしたら思わずそんな中、
一人ハボックの帰りを待つロイの姿が浮かんでしまいました(笑)