落葉


「うわっ…」
 外へ出た途端ビュウッと吹き抜ける風にハボックは顔を腕で覆う。腕を下ろして前を見れば青い空に黄色や紅の葉が舞い踊っていた。
「……すげぇ」
 真っ青な空をバックに一面に舞い踊る落ち葉はまるで葉っぱの雨のようだ。風の動きに合わせて上へ下へと降り注ぐのを見ているうち、ハボックは何だかウキウキと楽しくなってきた。
「すげぇ、なんか、すっげぇ」
 そう言いながら落ち葉の雨の中を歩いていく。青い空に舞い散る紅や黄色を見ていると風の冷たさなんてどこかへ行ってしまったようだ。
 ステップを踏むような足取りで公園につけばそこはもっと凄い落ち葉の雨で。
 ハボックは両手を空に広げると落ち葉と一緒にくるくると回った。


「ねぇっ、大佐ッ、今日は凄かったんスよッ!!」
 リビングに入るなり大声でそう言うハボックにロイは驚いて本から顔を上げる。興奮に頬を染めているハボックの頭を見て目を丸くした。
「お前、髪の毛が鳥の巣だぞ」
 ロイのお気に入りの綺麗な金髪は風に吹かれてあちこち跳ねまくっている。その上髪の上には落ち葉が幾つも絡んでいるのだ。
「鳥の巣?ああ、落ち葉!」
 ハボックはロイの視線を辿って己の髪を触ると、かさりと鳴った落ち葉を手に取る。その落ち葉を振りながら言った。
「今日、風が強かったっしょ?そうしたら落ち葉が物凄い勢いで散ってて、まるで落ち葉のシャワーみたいで凄かったんスよ!」
 こーんな感じ、とハボックは頭から取った落ち葉をぱぁっと撒く。それがひらひらと舞い降りてくるのを見ながら言った。
「本当に凄かったんスよ?真っ青な空の中、黄色や紅の落ち葉が無数に舞い散って。そん中歩いてたらすっごい楽しくて!」
 ハボックはそんな話をしながら嬉しそうに笑う。ロイはそういうハボックを見ながら自分とはどうしてこんなに違うのだろうと考えた。
(私だったらそんな強い風の中ではただただ寒いと俯いて歩くだけだろうに)
 青い空の落ち葉を見上げる事などせず、精々明日はさぞ掃除が大変だろうと考えながら一刻も早く家につくことだけを考えて歩くだろうに。
 小春日和の暖かい陽だまりのような笑顔を浮かべるハボックに。
「ああ、ハボック。私はお前が好きだよ」
 笑いながらそう告げれば。
 一瞬ポカンとしたハボックの顔がみるみる内に紅葉のように紅く染まった。


2008/11/19


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


もういい加減雨ネタもないしなぁ、と思いながら歩いておりました風の強い日のこと、空を見上げたら空一面落葉が舞っていて、それはそれは凄かったんですよ!「うわぁ」と思ったと同時にハボだったら喜ぶだろうなぁと思いまして。そんなわけで落葉の雨に興奮するハボック。ちょっと子供っぽいですかね(笑)