sweet nothings 2
「ジャン。」
「あー、はいはい、どうぞ。」
ハボックはテーブルの上の塩をロイに取ってやる。ロイは微かに笑ってそれを受け取ると皿の上の卵にかけた。
「ジャン。」
「ああ、ちょっとカップ、こっちに置いて下さいよ。届かないんで。」
そう言われてロイが自分のカップを差し出すと、ハボックはそこへコーヒーのおかわりを注いでやった。ロイの隣に座って
嫌そうに二人のやり取りを見ているヒューズに向かって、ハボックは手にしたコーヒーのポットを掲げる。
「中佐もおかわり、いかがです?」
「あー、いや、そうだな、貰うわ。」
答えたヒューズのカップにコーヒーを注ぐと、ハボックは更に問う。
「パンのおかわりは?」
「いやもう、結構。」
イーストシティに出張で来ていたヒューズが、ロイの家に泊まった翌日。3人はそろって朝食の席を囲んでいた。料理の
得意なハボックのおかげで朝から美味しそうな料理が湯気を上げており、なかなかに食欲をそそる。だが、正直ヒューズ
は自分がいるのにも係わらず、朝っぱらからラブラブな空気を醸し出す二人に、ホテルに泊まった方がよかったと、内心
ゲンナリしている所だった。
「ジャン、今日は午前中司令部に行くんだろう?」
「ええ、中佐を送りがてら行って、2、3書類を書いたら帰ってきますよ。ロイは非番でしたよね。」
「ああ、悪いが持って行って貰いたい書類があるんだが。」
「いいっスよ。中尉に渡しとけばいいんですか?」
「そうだ。今、持ってくる。」
後でもいいですよ、と言うハボックに、後だと忘れると答えてロイは席を立った。そんなロイの背中を見送って、ヒューズ
はうんざりしたため息をついた。
「なあ、ロイのやつ、今日は随分堂々とお前さんのことファーストネームで呼んでないか?」
「バレちゃいましたからね。今更隠す必要もないってことだと思いますよ。」
いかにも嫌そうな顔をするヒューズにくすりと笑いながらハボックが答えた。
「元々、人前でもオレのこと、ずっとそう呼びたがってましたから。」
これ幸いってことじゃないっスか、とのんびり言うハボックにヒューズはげっそりとした顔を向けた。
「お前さんもファーストネームで呼びたいのか?」
「あー、オレは…」
聞かれてハボックは微かに赤くなりながらぽりぽりと頭をかいた。
「呼ばないと拗ねるんで。」
へぇ、と言う顔をするヒューズにハボックは慌てて言葉を続けた。
「だって、今更恥ずかしいじゃないっスか。ずっと大佐って呼んでたのに。」
赤くなってそう言うハボックを見て、ヒューズはぼそっと呟いた。
「俺のことはファーストネームで呼ばねぇのによ。」
そう言われてハボックはきょとんとする。
「そう言えば中佐は『ロイ』って呼ぶのに大佐は『マース』って呼びませんね。」
「くそう、そんなにお前さんは特別かよ。」
ヒューズのその言葉にハボックは目を瞠ってそれから盛大に真っ赤になった。
「おい、ジャンに何をした。」
その時書斎から戻ってきたロイがヒューズを険しい目つきで見つめて言う。
「ああ、ちょっとキスをひとつな。」
「なっ…」
「してませんよっっ!」
さらりと言ってのけるヒューズにロイは言葉に詰まり、ハボックは慌てて否定する。
「中佐、ヘンなこと言わんでくださいよっ」
ニヤニヤ笑うヒューズにハボックは心底嫌そうに言った。
「で、書類ってこれですか?」
いかにも話題をそらそうという感じでハボックはロイから書類を受け取る。ロイは何か言いたそうにしたが、ああ、とだけ
言うに留めた。
「そろそろ行かないと拙いんじゃないのか?」
ロイにそう言われてハボックはちらりと時計を見る。
「げっ、もうこんな時間じゃないっスか!」
そう言って慌ててテーブルの上を片付けると汚れた食器をシンクに放り込んだ。
「帰ってきたらやりますんで、そのままにしておいて下さい。中佐、行きますよっ」
ハボックはそう言うとバタバタと玄関へ走っていく。
「んじゃ、ロイ。またな。」
「ああ、気をつけてな。」
ロイに言葉をかけてヒューズは玄関へ行こうとしたが、そこへ先に出たはずのハボックが戻ってきた。
「あれ、少尉。忘れも…」
「行ってきます、ロイ。」
そう言ってハボックはロイに軽く口付けるとまたバタバタと玄関へ走っていく。忘れ物かとハボックに聞きかけたまま
二人の様子に固まってしまったヒューズは、次の瞬間がっくりと肩を落とした。
「ヒューズ。」
少し目元を染めて言うロイにヒューズはひらひらと手を振った。
「ああもう、好きにしてくれ。泊まった俺がばかでした。」
そんなヒューズの様子にロイが苦笑する。
「今度セントラルに来たら、俺とグレイシアのアツアツぶりをたっぷり見せてやるからな。」
そう言ってニヤリと笑うヒューズにロイも笑い返した。
「中佐!早く!」
車を回してきたハボックが玄関から怒鳴るのにヒューズは慌ててロイの家を後にした。
「なあ、少尉。」
後ろに座ってくれというハボックの言葉を無視して助手席に座り込んだヒューズが問いかけた。
「なんスか?」
「やっぱお前さんがロイを抱くんだろ?」
突然の質問にハボックは思わずブレーキを踏み込んで、後ろの車からクラクションを鳴らされてしまう。
「ア、アンタね。なに突然言い出すんですかっ」
真っ赤な顔をして睨みつけてくるハボックにヒューズは平然として言ってのけた。
「いや、なんかあのロイが『ジャン』とか呼びながらお前さんに押し倒されてるのを想像すると…」
「想像せんでくださいっっ」
噛み付かんばかりにして怒鳴るハボックにニヤニヤと笑ってヒューズは続けた。
「なんとなく娘を嫁に出した父親な気分なわけよ、俺としちゃ。」
「なんスか、それ。」
ムスッとして答えるハボックにヒューズは笑った。
「ま、ロイのこと頼むわ。」
そんなヒューズをハボックはちらりと見ると微かに笑って、アクセルを踏み込んだ。
ヒューズを司令部に送り届け、ロイから預かった書類をホークアイに渡して、急ぎの書類を2、3片付けるとハボックは
大急ぎで家に戻った。熱い日差しの照りつける中、小走りに家に戻ったハボックは玄関を開けて入るとリビングへと
向かう。
「ロイ?」
上着をソファーへ投げるとロイの姿を探すがどこにも見当たらない。どこへ行ったのだろうと中庭へ続く扉を開けると
水が零れる音がする。ハボックがゆっくりと植木の向こうへ回ると、そこではロイがホースで水を撒いていた。
「ロイ。」
「あ、おかえり、ジャン。」
「何やってるんです?」
「あんまり暑いんでな。水でもいじれば涼しくなるかと思って。」
そう言ってロイはホースの先を押しつぶして空へと向ける。するとホースから水が細かい飛沫となって降り注いだ。
「あ、気持ちいいっスね。」
そういうハボックに何となく得意げになったロイがホースを引こうと手繰り寄せた時、ついうっかりホースの先を自分へと
むけてしまった。
「うっわっ」
盛大に水を浴びてロイが叫ぶ。
「何やってるんですか!」
ハボックが慌てて元の蛇口を捻って水を止めるがロイはすっかり濡れ鼠と化していた。
「まったくもう―――」
しょうがないんだからと、言葉を続けようとしたハボックはロイの姿を見て絶句してしまった。すっかり水を吸ってしまった
シャツはべったりと肌に張り付いて、むしろ裸でいるより際どい感じがする。濡れた髪から零れた滴が頬を伝って項へと
流れていく様や艶やかに黒く輝く瞳を見るにつけ、ハボックの心臓は不規則に飛び跳ねてしまった。
「ああもう、びちょびちょだ。」
ロイは言うと手にしたホースをハボックに押し付けて家に入ろうとする。ハボックは咄嗟にロイの腕を掴むと自分の胸元
へ引き寄せた。
「ジャン?」
驚いて見上げるロイの唇を乱暴に塞ぐ。目を見開いてハボックを押し返そうとするロイの抵抗を封じ込めて、ハボックは
更に深く口付けるとロイの舌を絡めとりきつく吸い上げた。そのまま差し入れた舌でロイの口内を弄ると、ロイの唇から
熱い吐息が零れた。
「ふ…んん…」
僅かに唇を離して吐息と共に「ロイ」と口中へと吹き込めば、ロイの体がびくりと震える。シャツの上から体を弄ってくる
ハボックの手にロイは身を硬くして逃れようともがいた。
「やだっ、ジャンっ」
こんなところで、と身を捩るロイにハボックは薄く笑って愛撫を続ける。
「誰も来ませんよ。」
「でもっ」
「じゃあ、ちょっと触るだけならいいっスか?」
耳元で囁くハボックの声にロイの背筋をぞくりとしたものが駆け上がる。咄嗟に答えられないロイの沈黙を了承と受け
取ってハボックはキスをしながら囁いた。
「ロイのこと、気持ちよくしてあげるから…」
そう言うとハボックはロイのズボンを寛げてしまう。あっと思う間もなく下肢を剥き出しにされると、逃げる間もなくハボック
の口中へと自身を含まれていた。
「あっああっ」
じゅぶじゅぶと唇で擦られちろちろと先端を舐められる。零れてきた蜜を後ろへと塗りこめたハボックはロイ自身を舌と
唇で追いたてながら、ゆっくりと蕾へと指を沈めていった。
「ひっ…ああっ…んあっ」
身を仰け反らせ、ハボックの髪を鷲づかみにしてロイは喘ぐ。強烈な快感に目が眩んで立っているのもやっとだった。
ぐいと指で奥を突かれ、じゅるりときつく吸い上げられる。こみ上げる強い射精感にロイはいやいやと首を振った。
「やめ…も、でちゃう…っ」
「出していいですよ、ロイ」
咥えたまま囁かれてぞくりと震えたところを更にきつく吸い上げられて、ロイは溜まらずハボックの口内へと熱を吐き
出した。
「あ、あっ、ジャ…ンっ」
びくびくと何度か体を震わせて熱をすっかり吐き出すと、ロイは自分の腰ほどの高さにあるハボックの頭を描き抱いて
必死に身を支えた。口内に吐き出されたものをすべて飲み干すとハボックは立ち上がってロイの体をそっと抱きしめた。
「気持ちよかった…?」
ハボックに問われて、ロイは真っ赤になってハボックの胸に顔を埋める。そんなロイの様子にハボックは微笑むと
ロイの蕾へと指を這わせた。
「ね、ロイのここにオレの入れたいんスけど」
くちゅりと入り口を刺激されてロイの体がびくりと跳ねる。ねぇ、と囁かれてロイは泣きそうに呟いた。
「こ、ここじゃイヤだ…」
そんなロイにハボックはくすりと笑うとひょいとロイの体を抱き上げた。
「ジャン…っ」
「ここじゃイヤなんでしょう?」
そう言って緩く笑うハボックにロイは何も言えずにぎゅっと目を閉じた。
「あっ…んあっ…」
カーテンを引いてもまだ薄っすらと明るいベッドの上でロイは四つにはわされて尻だけを高く掲げられ、ハボックにその
奥まった部分を舌と指で解されていた。既にハボックの長い指が3本、狭い蕾に差し入れられて、流し込まれた唾液とで
ぐちゅぐちゅとかき乱されている。
「んっ…くぅ…っ」
ハボックの指が動き回るたび駆け上がる快感を、ロイはシーツに顔を埋めて必死に耐えていた。とろとろと蜜を零す中心
はハボックの大きな掌にくるまれて、その溢れる蜜を塗りたくられている。
「あっ…やぁっ…ジャンっ…もう、やだ…っ」
このひと月で後ろで感じることをすっかり覚えこまされた体は、ハボックが与える快感を貧欲に貪り、ロイは無意識に
腰を揺らめかせてその零れる言葉とは裏腹にハボックの指を更に飲み込もうとしていた。
「ヤダだなんて、こんなにぐちゃぐちゃにしてるくせに…」
ホントはもっとして欲しいんでしょう、と囁かれてロイの瞳から涙が零れる。ハボックの言葉を否定しきれない自分に
気がついて、恥ずかしくて息が止まりそうになった。ぐちゅぐちゅと楽しげにロイの後ろをかき回していたハボックは
乱暴に指を引き抜くとロイの腰を抱え込み、熱く漲った自信を押し当てた。
「挿れますよ。」
ロイ、と囁く声に心臓がとくりと跳ねる。ロイはシーツに顔を埋めると次に来るはずの衝撃に唇を噛み締めた。
「あっあああっっっ」
ずんと押し入ってくる塊に噛み締めたはずの唇は容易く解かれて、ロイの口から高い悲鳴が上がる。一気に押し入って
くる熱にロイは身を仰け反らせて叫んだ。
「いやあああっっ」
貫かれる衝撃にロイ自身が白くはじける。逃げを打つ体を引き戻して、ハボックは容赦なくロイを突き上げた。
「ひあっ…あ、あっ…ジャ…ンっ…ジャンっ」
身を仰け反らせて自分を呼ぶロイの肩口にハボックはきつく歯を立てる。血が滲むそこに舌を這わせるとロイの体が
大きく震えた。
「ジャン…っ、あ、も、くるし…っ」
激しく突き上げられて、ロイの瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちた。びゅるりと再び熱を放ったロイ自身に、ハボックは指を
絡めてその熱をせき止めてしまう。
「ああっ、そ、んなっ…」
苦しいと訴えるロイの中心をきつく戒めたまま、ハボックは抜き差しを激しくする。ぶるりと体を震わせると、ハボックは
ロイの最奥へと熱を叩きつけた。
「んあああああっっ」
熱い熱に身の内を焦がされてロイはぜいぜいと喘ぐ。早く自分の熱も解放したくて、ロイは中心を戒めるハボックの指を
剥がそうと必死にハボックの指を掴んだ。
「も、イかせてっ」
身悶えるロイからハボックはずるりと一度自身を引き抜いた。
「ひゃあああっっ」
ずるりと襞を擦られてロイの唇から嬌声があがる。ハボックはベッドの上に身を起こすとロイの体も引き起こし、自分の
上に跨がせると下から一気に貫いた。
「きゃああああっっ」
仰け反るロイの体を引き寄せてハボックは強引にその唇を塞いだ。ハボックに貫かれた衝撃で熱を吐き出したロイ自身
がハボックの腹に擦られてたちあがり、ゆらゆらと淫猥に揺れている。ハボックはくちくちとロイ自身を指で扱いた。
「あっあっ…ジャ…ン」
「ロイ…ロイ…っ」
がんがんと下から突き上げながらハボックはロイの体を抱きしめる。するとハボックの腹で自身を擦られて気持ちいい
のかロイの唇からは絶え入るような吐息が零れた。ぐちゅぐちゅとロイの狭い入り口をハボックの熱が出入りするたび、
ハボックがロイの中に放ったものがその隙間から白い泡となってにじみ出てくるのが酷く淫猥に見える。再び襲ってくる
強い射精感にロイはぽろぽろと涙を零した。
「やっ…もうっ…気が狂う…っ」
快感に体中が支配されてもう、ロイはなにがなんだか判らなかった。ただもう、ハボックに突き上げられるままに体を
揺らし、嬌声を上げ続けた。
「ひ…ジャンっ…ジャ…っ」
ロイの中心からもう何度目か判らない熱が吐き出され、その最奥を滾る熱で焼かれたときロイはハボックの名を呼び
ながら意識を手放した。
気がつくと辺りは薄闇に覆われ、汗と体液にまみれていた体は綺麗に清められていた。ロイがぴくりと体を震わせると
ハボックがそっとその瞳を覗きこんで、泣きすぎて紅く晴れ上がった目元にキスをする。
「ロイ…」
囁く声にロイはハボックの胸元にそっと頭を寄せた。すると背を撫でていたハボックの手がゆるりと滑り落ちてロイの
双丘の狭間へと潜り込む。
「…っ、ジャンっ」
散々受け入れさせられてじんわりと腫れるソコをくちゅりとかき混ぜられてロイの背筋を快感が走り抜けた。
「も、ムリ…っ」
これ以上したらどうなってしまうか判らない。怯えて首を振るロイの額にそっと口づけてハボックは囁いた。
「好きですよ、ロイ…」
だから、いいでしょう?と甘く問う声にロイは抗う術をなくしていく。ゆっくりと押し入ってくる熱い塊をロイは甘い吐息を
吐いて受け入れていった。
2006/8/10
「Hの時だけ…、なのも萌えな のですが、そうなるとヒューズにうっかりバレるという展開は大変淫らな話になってくるので…( 汗) 淫らなR20でも構わないので
今回限りなんて言わずにエロスなハボロイ書 いて下さい!楽しみにしてますvv」と言うコメントをいただきました。そう言われるとすぐ調子に乗ってしまうのが私の悪い所ですが〜。書いてみました、続き…。いやもう、恥ずかしいっっ!!やっぱり私には少し舌足らずに「ハボ」「たいさ」と呼び合う二人で十分でございます
です。てなわけで、今度こそファーストネームネタはオシマイってことでっ(脱兎)