sweet kiss


執務室の扉をあけて顔をのぞかせたロイは部屋の中を見回して眉を顰めた。
「ハボック少尉はどうした?」
「あれ?さっきまでいたんですけど。」
書類を書いていたフュリーが部屋の中を見渡して言う。
「探してきましょうか?」
「いや、いい。」
ロイはフュリーに答えると司令室を出て行った。
(どこに行ったんだ?)
今日は朝からずっと外に出ずっぱりでさっきやっと帰ってきたと思ったのに、またどこかへ消えてしまったハボックに
ロイは多少苛々としながらその姿を探していた。特に用事があるわけではないのだが、顔くらい見せればいいのに
と勝手なことを考えてその姿を探す。通りすがりの士官にハボックを見なかったかと尋ねると屋上に行ったようだと
言われ、眉を顰めて階段を見上げた。
(屋上なんかで何を…)
足早に階段を上がるとロイは屋上へ続く扉を開ける。綺麗な青空に少しずつオレンジの光が混じって、今日もそろそろ
一日が終わることを告げていた。ロイは屋上へ足を進めるとハボックの姿を探す。ぐるりと建物の角を曲がると長い脚が
見えて一瞬ぎょっとする。小走りに近づくとハボックが長い手足を投げ出して、建物の壁に寄りかかるようにして寝息を
立てていた。だらしなく手足を伸ばして眠るその姿は妙に幼い感じがしてロイは微笑んだ。そっと近寄るとそのそばに
しゃがんで顔を覗き込む。考えてみるとハボックの寝顔をみるのは滅多にないかもしれない。いつも眠る時は自分の方
が先に寝てしまうし、朝は気がつけばもう起きていて朝食の準備やら洗濯やらとこまごまと働いていることが多い。ロイ
はハボックの近くに顔を寄せるとまじまじとハボックを見つめた。金色の睫は意外に長いこととか、外回りの仕事が多い
わりに肌理の細かい肌をしているとか、いつも煙草を咥えている唇は実は薄紅色で綺麗だとか。普段はあまり気づかず
にいたことが判ってロイはなんとなく楽しかった。飽きずに眺めていたロイは突然伸びてきた腕に引き寄せられて
ぎょっとして身を硬くする。唇に濡れた感触が掠めて、キスされたのだと気づいた。目の前で面白そうな光を宿す青い瞳
に見つめられてロイはかあっと赤くなった。
「お前っ、起きて…っ」
「いやぁ、大佐からキスしてくれるのかと思ってずっと待ってたんスけど、なかなかしてくれないから」
くすくす笑うハボックの腕から逃れようと暴れるロイをハボックはやんわりとその腕の中に封じ込めた。
「大佐、今日は一日、ちゃんと仕事してました?」
子供に言うように言われてロイはムッとして答えた。
「当たり前だろう。」
「オレも一日頑張りましたよ。」
だからね、ご褒美くださいと言ってハボックは触れるだけのキスをする。羽が舞い降りるような優しい感触にロイの心臓
がとくりと鳴った。もっと濃厚なこともしているのになんでこんな子供だましのようなことにドキドキするのか判らずに、
ロイはそっと目を閉じて。
オレンジ色に染まる空気の中、何度も優しい口付けを交わした。


2006/8/4

「ハボロイSSを読んで思いました…いつもロイからちゅーしてません?トッ プの花火も旅もそうだったような…。なのでハボからロイにちゅーをするお話をリクさせてください!」というリクをいただきました。そ、そんなにいつもロイからちゅーしてたかしら(汗)エチの時以外の何でもないときにいつもロイからしてるのかなぁ。(←全然自覚なし)ともあれ、そんな訳で書いたのがコレでーす。も〜〜〜っ、ついうっかりロイからちゅーさせそうになっちゃいましたよ(苦笑) 
頑張ってハボにちゅーさせましたけどいかがなもんでしょう??