peeper --- already


「大佐っ、もういい加減に起きてくださいよ!中尉、カンカンですよっ」
「んー、あともう少し…」
雲隠れしていたロイを資料室の奥で見つけたハボックは呆れたため息をついた。資料室の奥のそのまた片隅の、
ひんやりと静まり返って殆んど誰も寄り付かない一角は、昼寝には最適の場所だった。ロイはそこにこっそりブランケット
まで持ち込んで、完璧に昼寝の場所として整えている。最初にここで眠るロイを見つけたときには、信じられない思い
でいっぱいだったが、誰も来ないこの場所は二人で過ごすのにも悪くない事に気づいたハボックは、自分でも更に
クッションなど持ち込んだりしてますますロイをここへ懐かせる結果となっているのであった。もっとも、おかげでロイを
探す手間が減ったというメリットとぐっすり寝込んで起こすのが大変になったというデメリットがついてきたのではあるが。
「もう、あと5分ですからね。ここ、煙草吸えないんスからそれ以上はダメっスよ。」
二人でいちゃいちゃするには最適だが、いかんせん場所が場所だけに煙草を吸えないのが、ハボックにとっては
どうしても許せない欠点だ。ハボックは膝枕したロイの黒髪を梳いて、時間が過ぎるのを待つ事にした。ロイは猫よろしく
体を丸めると気持ちよさそうにハボックの膝に頬を擦り付けて目を閉じている。ハボックはそんなロイにくすりと笑みを
零すと、優しく髪を梳いた。
静かに時が流れてそろそろロイを起こさなければと思ったちょうどその時、小さな話し声と靴音がして、ハボックは身を
硬くした。そのハボックの僅かな変化にロイがぱちりと目を開ける。
「なんだ?」
小声で問うロイにハボックは「しっ」と囁いた。ハボック達が気配をひそめていると、書架をはさんでほんのすぐそこに
声の主達はやってきて足を止めた。
「なあ、仕事もしないでこんなところにいたら…」
「何言ってるんだよ、一体何日会えなかったと思ってるんだ。」
声の様子からそこにいるのは若い二人の男だということが判った。ハボックは手を伸ばすと、目の前の本を一冊、そっと
抜き出す。ちょうど背中合わせになっている書架の本の隙間から僅かに男達の様子が窺えた。
「お前は平気だったのかよ、俺は会いたくて仕方がなかったんだぞ。」
「それは僕だって…」
途絶えた言葉とぴちゃりとなる音で、二人がキスを交わしているのだと知れる。ハボックとロイは思わず顔を見合わせた。
「な、いいだろ…?」
「でも…」
「これ以上我慢してたら仕事が手につかねぇよ。」
僅かな押し問答の末、聞こえた衣擦れの音にロイはハボックの耳を掴むと囁いた。
(おいっ、拙いんじゃないのかっ?)
(そりゃそうっスけど…)
そうこうする内に、喘ぎ声が響いてきてハボック達はますます身を硬くした。
(今、出て行けます?)
ハボックが情けない顔でそう囁けばロイが目を吊り上げる。
(なんで、とっとと出て行かなかったんだっ!)
(出られるタイミングがありましたっ?!)
(だからってこれじゃ…)
…出歯亀…。
二人の脳裏を同じ言葉が掠める。
(私には他人の濡れ場を覗く趣味はないぞっ)
(オレにだってありませんよっ)
「あっ…」
唐突に聞こえた声に二人はぎょっとした。どうするんだと問うロイの視線にハボックは情けない顔で囁いた。
(とりあえずこのままじっとしてるしか…)
「なんだよ、お前もシタかったんじゃないか…、もうトロトロだぜ…」
((!!))
その言葉に続いた擦るような水音が一体何を意味するのか判ってしまうだけに、ますます居た堪れなくなってしまう。
「すげぇ、ここ、ヒクヒクしてる…」
「ば、ばかっ」
(な、な、な、なんで実況中継なんかするんだっ)
(そりゃ、相手の反応が楽しいからじゃないっスか?)
身に覚えのあるハボックは、そう言う男の心理がわからないでもない。だが、今ここでそれを言うのはカンベンして
ほしかった。何故なら…。
(たいさ、どうしよう…)
(どうするって、お前がじっとしてるしかないって…)
(そうじゃなくって…)
ハボックはそう言うとロイの体をクッションに押し倒した。
(シタくなっちゃいました…)
「ばっ…」
思わず大声を上げそうになるロイの口を慌ててハボックは手で塞いだ。
(ダメっスよ、大きな声だしちゃ。)
(お前がヘンなこと言い出すからだろうがっ)
(そんなこと言って…)
とハボックの手がロイの脚の間を掠めた。
(硬くなってますよ、ココ…)
そう言われて、ロイの顔が真っ赤になる。ハボックは書架の本を間をあけてもう2冊ほど抜き取った。すると向こうで
絡み合う二人の体が見えるようになる。
(アイツら、何やってるんでしょうね…)
(何って…)
ハボックの言葉に思わずロイは書架の向こうを覗き見てしまった。男の指が相手の双丘の間に埋め込まれているのが
見えて、咄嗟に目を逸らす。逸らした視線の先で自分を見つめるハボックの青い瞳と目が合って、ロイは息を飲んだ。
(おんなじこと、してあげる…)
ハボックの言葉にロイは目を見開いた。ハボックの手がズボンのボタンを外し、ロイの下肢をむき出しにしていくのも
体が凍りついたように動くことが出来ない。ハボックは自分の指を口に含んで唾液を塗すと、ロイの脚を開かせて
その奥まった蕾へと差し入れた。
(―――っっ)
くちゅりとなる音にロイの体がびくんと震える。そのままぐちゅぐちゅとかき回されて、ロイの唇から熱い吐息が零れた。
(声、だしちゃダメっスよ)
ハボックの言葉にびくんとロイが震える。唇を噛み締めて腰を浮かすロイの蕾をハボックは楽しげにかき回した。
「あっ、イヤだっ」
向こう側から声がして微かな悲鳴のような喘ぎが聞こえる。本の隙間から覗く光景を見たくなくて、ロイはぎゅっと
目を瞑った。
(ね、しゃぶってますよ…?)
ハボックが耳元で囁く。ロイが拒むより早くハボックの唇がロイ自身を含み、ロイは上がりかけた悲鳴を必死に抑えた。
じゅぶじゅぶとロイ自身を弄る水音が響く。ロイは浅い呼吸を繰り返しながらなんとか射精感を抑えようとした。
(たいさ、みて…)
促す言葉に思わず目を開けたロイは、次の瞬間ひどく後悔した。書架の向こうに後ろを指でかき回されながら自身を
咥え込まれる男の姿が見える。自分も同じ事をされているのだと思うと、かあっと頭に血が上った。見知らぬ男の姿
が自分自身の姿を重なり、ロイの熱が瞬く間に高まる。
「もう、でちゃうっ」
悲鳴のようなその声が聞こえた瞬間、ロイはハボックの口中へと熱を放っていた。ハボックが飲み干す音を聞きながら
ロイははあはあと荒い息を零した。
「ダメだ、もう、我慢できないっ」
「あ、まって…っ」
ガタンと大きな音が響いて、書架の本が倒れる。ますます大きくなった隙間から絡まる二人の下肢がバッチリ見えて
しまった。その淫猥さに流石にハボックもロイも息をのんだその時、ずぶずぶと体を繋げる二人の姿が目に飛び込んで
くる。自分もあんな風にハボックに犯されるのだと、ロイの体をゾクリとしたものが走り抜けた。思わず上げた視線の先
に、欲情に濡れた青い瞳をみつけてロイは目を見開いた。何も言わずにハボックがロイの脚を抱え上げる。ハボック
の熱い塊りが蕾に押し入ってきた瞬間、ロイは熱を迸らせていた。それと同時にハボックの唇が下りてきて、上がり
かけたロイの悲鳴を塞ぐ。ずぶずぶと根元まで押し入られてロイの体がびくびくと震えた。最奥まで突き入れたかと
思うと、ずるりと入り口まで引き抜かれ、また一気に貫かれる。乱暴な抽送に体の内側が抉り取られるようで、ロイは
ハボックの口中に悲鳴を零しながら喘いだ。ぐちゅぐちゅと響く水音は彼らのものなのか自分達のそれなのか、耳の
中を卑猥な音に犯されてロイは身悶えた。
「あんっ、あっ、もっとぉ…」
聞こえてくるあられもない声に、ロイの体がぴくんと震える。ハボックはそんなロイを楽しそうに見下ろすとその耳元に
囁いた。
(もっと…?)
真っ赤になって睨みつけてくるロイの脚をさらに高く抱え上げると一層激しくロイを責め立てた。腰を回すようにして
突き上げ、小刻みに腰を揺らす。ロイの背が反り返り、ハボックの背を抱く指に力が入った。
「すげぇ、イイっ」
「あっ、ああっ」
パン、パンと肉を打つ音が響き、荒い息遣いが零れる。ハボックはロイの体を強引に反すとその腰を高く抱え上げた。
ロイ自身に手を回すとぐちぐちと扱きながら激しく抜きさしを繰り返す。ロイは上がりそうになる声をブランケットを噛み
締めて必死にこらえた。
(気持ちイイ?たいさ…)
ハボックの声が荒い息遣いと共にロイの耳をくすぐり、ロイはゾクリと身を震わせる。弄られる自身と乱暴に押し開かれる
蕾と、何もかもが体をぐずぐずに溶かしてしまいそうなほど悦くて、ロイはがくがくと頷いた。
(あ…もっと…っ)
先ほど耳にした声と全く同じ言葉を自分が口にしたことなどまるで気づかずに、ロイは腰をくねらせる。そんなロイを
嬉しそうに見つめながら、ハボックはロイの最奥へ熱を放った。

書架の向こうにいた二人が身繕いをして立ち去るのを待つ間も、ハボックはロイの中に自身を埋めたままでいた。
時折思い起こしたように腰を揺すってやれば、ロイはブランケットに顔を埋めて耐えている。漸く人の気配が消えて、
ロイは肩越しにハボックを振り向くと震える声で言った。
「いい加減、抜けっ…!」
そう呟くロイの声はまだ酷く濡れて熱が籠っている。ハボックはロイの腰を抱えなおすと揺すり上げた。
「あっ…」
途端、ロイの唇から声が漏れるのを聞いて、ハボックはうっすらと笑った。
「な…っお前、何を…」
「だって、たいさの声、ちゃんと聞けてないし。」
「バカ言うなっ!大体、お前、よくもこんな…っ」
「気持ちよかったデショ。」
「…っ」
「たいさの声、聞かせて…」
そう言うとハボックはロイをぐっと突き上げた。
「あっあっ」
ロイの唇から耐え切れずに声が零れるのに嬉しそうに笑うと、ハボックはロイの片脚を持ち上げて腰を揺すった。
「ひっ…あっ…ああっ」
「つながってるトコ、よく見えますよ…」
「…っっ」
「すげぇ、ガッチリ咥え込んでイヤラシイ…」
「バカっ、見るなっ」
「あ…っ、また締まった…」
イヤラシイなぁと、耳元で囁かれてロイの瞳からぽろりと涙が零れる。
「ねぇ、あいつらの見るばっかりじゃなくて、アンタのこんな姿、見せ付けてやりたかったっス…」
「な…」
「は…も、そんなに締め付けたら動けないっスよ…」
くすくすと笑うハボックにロイはいたたまれず、泣き出した。
「バカっ、も…お前なんてキライだ…っ」
ポロポロと涙を零すロイにゾクリとしたものを感じながら、それでも流石にかわいそうになって、ハボックは抱え上げた
ロイの脚を下ろすとその目尻に口付けた。
「好きっスよ、たいさ…だいすき…」
そう言って、腰を打ち付けてロイを追い上げていく。
「あっあ…ハボっ」
「たいさ…かわいい…」
「あんっ…あ…あああっっ」
瞬く間に追い上げられて白濁を迸らせるロイの中へ、ハボックも熱い想いを吐き出していった。

「きっと中尉…かんかんっスよね…」
身繕いをしながらハボックが呟く。
「お前のせいだからな。お前がいい訳しろよ。」
ロイの言葉にハボックが情けない顔をする。
「共犯者ってことで…」
「誰が共犯者だ。私は被害者だ。」
「えーっ、たいさだって気持ちイイって言って…」
その途端、分厚い本でしこたま頭を殴られてハボックは頭を抱えた。
「…ってぇっっ…酷いっスよ、たいさ…」
「うるさいっ、お前が悪いんだろっ」
ロイはそう言うと、ふらりと立ち上がり覚束ない足取りで歩き出す。
「あ、たいさ、待ってくださいよ。」
「ふんっ、知るかっ」
「たいさぁ」
慌てて追うハボックをロイはちらりと見るとハボックが隣に立つまでほんの少し歩みを緩める。二人が立ち去った後には
いつものひんやりと静まった空間が広がっていた。


2006/9/18


リクの「がっつりエロエロ」の方にばかり気持ちがいってしまって、ついうっかり書いてしまった「出来ちゃってる版」の出歯亀ハボロイです。いやもう、言い訳の
しようもございません〜(脱兎)…でも、絶対向こうからもみえてますよね、コレ…(汗)