野良犬の純情 中編
家の中に入ると、大佐はコートを脱いでキッチンへと入っていく。コーヒーをセットして湯を落とし始めると、リビング
に突っ立ったままのオレのところへ来た。
「今日はどうかしたのか?」
「…え?」
「あんまり楽しんでいるようには見えなかった。」
大佐にそう言われてオレは目を瞠る。誰にも気づかせない自信はあったのに。
「私で役に立つことなら相談にのるが。」
そう言うと、大佐はオレの目をじっと見た。オレは唇を噛み締めると大佐から目を逸らす。大佐はため息をつくと
そっと言った。
「私ではダメか…。」
ほんの少し淋しそうに呟くその声に慌てて視線を戻す。
「すまない、ムリに聞きだそうというつもりじゃないんだ。」
大佐はそう言うとキッチンへ戻ろうとした。咄嗟にその腕を掴んでしまって驚いてオレを見上げてくる黒い瞳に
心臓が跳ねた。ダメなんて、そんなことあるわけない。むしろ、アンタでなきゃダメなのに。
「ハボック?」
何も言わず腕を握り締めて食い入るように見つめたまま身動きしないオレに、大佐が不安そうに声をかける。
その瞳に一瞬、怯えたような光が見えた時、オレの中でなにかがブツリと音を立てて千切れた。ぐいと腕を引くと
大佐の細い体をオレの腕の中に閉じ込める。そうして噛み付くように口付けた。
「…っ?!」
ひゅっと息を飲む唇を強引に割って口中に舌を差し入れる。逃げる舌を絡め取ってぎゅっと吸い上げればオレの腕
を掴む指が震えた。甘い口中を思うままに舌でかき回していたら、突然鋭い痛みが走った。咄嗟に唇を離して口元
を拭い、噛みつかれたのだと気づく。一瞬怯んだ隙にオレを突き飛ばして逃げようとする大佐の肩を掴んで床に
引き摺り倒した。ダンッともつれ合って倒れた細い体を組み敷くと、オレは軍服の上着に手をかけた。ボタンが上手く
外れなくていくつか千切れ飛んだけど、そんなこと気にしている余裕はなかった。前をくつろげ現れたシャツを左右に
強引に引き裂く。その時まで無言で抵抗を続けていた大佐が、ついに悲鳴を上げた。
「やめろっ、ハボックっっ!!」
そう叫んで暴れる脚の間に体をねじ挿れて身動きできないように封じ込める。我武者羅に暴れる体を押さえつけて
もう一度その唇に触れようとした瞬間、思い切り頬を叩かれた。走る痛みにカッとなって、力任せに大佐の頬を張る。
「ぃっ…!」
床に叩きつけられるようになって一瞬力が抜けたところで、強引に唇を塞いだ。
「んっ…んんっ」
首を振ってなんとか逃れようとするのを押さえつけて、たっぷりと堪能したその口内は思っていた以上に甘く、オレの
心を震わせた。長い口付けを終えて唇を離せば、大佐が荒い息を吐く。オレは唇を大佐の口元から喉に滑らせ、
鎖骨の窪みに舌を這わせた。綺麗に浮かび上がったそれを丹念に舐めると、大佐の体がぴくりと震える。そこから
更に舌を滑らせて、シャツの間から覗く薄紅い飾りに舌を這わせると大佐が悲鳴のような声をあげた。
「ひゃあっ」
びくんと跳ね上がる体を押さえ込んで舌と唇で思うまま愛撫する。もう片方は指で押しつぶすように捏ねると、びくびく
と大佐の体が震えた。
「やめっ…やめてっ!!」
叫んでオレを引き離そうとするが、思い切り吸い上げればオレの髪に絡めた指から力が抜ける。むしろ甘えて縋る
ような仕草にオレは興奮して大佐の肌にむしゃぶりついた。
「やだぁっ!」
必死に体を捩って逃れようとするのに神経を逆撫でされて、硬く立ち上がった乳首に思い切り歯を立てる。
「ひっ…」
痛みに胸を仰け反らせる様が、まるでもっとと強請っているように見えて、オレは舌と指先で大佐の乳首を散々に
攻め立てた。
「いやっ…ハボックっ…やめ…っ」
大佐は嫌がって必死にもがいたが、オレは大佐の中心が熱をもって立ち上がっているのに気がついた。
「嫌じゃないでしょ、ココ、こんなになってますよ…?」
そう言って大佐自身をぎゅっと握り締める。そこはすっかり硬くなって、先走りの蜜をとろりと垂らしていた。
「こんな、トロトロ…」
「言うなっ!」
大佐は叫んで腕で顔を覆ってしまう。頬を染めて震える大佐が可愛くて、オレは握った大佐自身をじゅぶじゅぶと
扱いた。
「ひっ…やっ…やだっ」
悲鳴を上げて逃れようと腰を振る様はむしろ行為を強請るみたいだ。オレはズボンを下着ごと剥ぎ取ると、大佐の
脚を大きく開き、立ち上がって蜜を零すそれを口中にくわえ込んだ。
「ああっっ!!」
びくんと震えてオレの髪を鷲掴む。じゅぶじゅぶと唇ですりあげ、双球を指で揉みしだいた。括れを舌先でなぞり
つるんとした先に開いた小さな穴を舌先でぐにぐにと押し開けばオレの髪を掴んだ指が震えて、まるで自身にオレ
を押さえつけるような動きになる。喉の奥まで迎え入れてぎゅっと締め付けながら吸い上げると大佐は堪えきれず
に熱を吐き出した。
「あああっっ!!」
口中に吐き出された生暖かい液体をごくりと飲み干す。僅かに青臭い臭いを放つそれは、オレにとっては酷く甘い
ものに感じた。はあはあと荒い息を零す大佐の脚の付け根をぐいと開けば、奥まった蕾がオレの目の前に露わに
なる。小さくすぼまったそれがやけに愛しく感じてオレは舌先をそこへねじ込んだ。
「ひゃあっっ!!」
逃げようとする体にそれを許さず更に奥へと舌を差し入れる。ひくつく襞に舌を這わせると、大佐の唇からすすり泣く
ような声が零れた。たっぷりと唾液を注ぎ込んだそこへ、指を1本差し入れる。ずぶりと押し込めば大佐の体が
途端に強張った。
「いっ…」
だが、それに構わずオレは沈めた指を乱暴にかき回す。次第に解れてきたそこへ1本、また1本と指を増やした。
「ひ…あ…」
目を見開いて小刻みに体を震わせる大佐は妙に幼くて、オレの心をかき乱す。気持ちよくなって欲しくて、かき回した
指が奥まったしこりを押し当てた時、大佐の体が大きく跳ねた。
「ひぃぃっ」
とろんと蜜を零す自身にココが大佐のいいところだと知れる。
「ココ、気持ちいいんだ…」
そう言えばいやいやと言うように首を振った。だが、そこを中心にかき回せば零れる蜜の量が増え、蕾をしとどに
濡らしていった。息を弾ませる大佐の様子を見ているうち、オレ自身ももう、我慢が出来なくなってくる。オレは
指を引き抜くと滾る自身を取り出し、大佐の蕾にぴたりと押し当てた。びくりと震えて次の瞬間、大佐は物凄い
勢いで暴れる。大佐が振り回した手がオレの頬を引っ掻き小さな痛みが走った。
「っ!」
カチンときて、思い切り大佐の頬を平手で殴る。2度3度殴ると抵抗の消えた体を抱えなおし、オレは一気に大佐
の中に押し入っていった。
「ッ!ア…アア―――ッッ!!」
狭くて熱い器官を強引に押し開いていくのはたまらない快感だった。逃げを打つ体を引き戻し、がつんと奥を突き
上げる。めいっぱい大佐の脚を押し開いて引き裂くように根元までねじ入れた。
「ひあっ…ああっ」
見開いた黒い瞳から涙が零れ落ち、大佐の指がオレの肩に食い込んだ。入り口まで引き戻して強引に突き入れる
とオレを包む熱い襞が絡みついてくる。オレは大佐の脚を抱え上げると繋がる部分を覗き込んだ。狭い入り口を
いっぱいに開いてオレを受け入れてるソコは、オレが動く度オレの形のままに押し開かれていく。紅い襞が捲れ
上がってオレを咥え込んでいるさまは、例えようもなくイヤらしかった。
「あっ…んああっ…い、や…ハボ…やめ…」
切れ切れに喘ぎながらやめてくれと訴える姿は、オレを煽るだけでなんの制止にもなりはしない。オレは大佐の唇
を塞ぎながらさっき探し当てた大佐のいいところを重点的に突き上げてやった。びくんと震えてオレの腹に熱いもの
がかかる。大佐がイッたのだと気づいて、オレは何度も何度もソコをつきあげてやった。掠れた喘ぎ声を上げながら
何度も熱を吐き出す大佐が可愛くて、オレは大佐を抱きしめるとその最奥に熱い飛沫を叩きつけた。
ぐったりと気を失った体からそっと自身を引き抜けば、意識のないはずの体が僅かに震えた。狂おしいほどの激情
が通り過ぎて、冷めた目で見下ろした大佐の姿は酷い有様だった。軍服は無残に引き裂かれ、白い脚には2人が
吐き出した残漿がべっとりとこびり付いていた。そして何より感情の昂るままに殴りつけてしまった頬は涙に濡れて
紅く腫れあがっていた。オレはどうしていいのか判らず、暫くそのまま大佐の横に座り込んでいたが、やがてゆっくり
と立ち上がった。引き裂いた服をおざなりに身に纏わせ、大佐の体をソファーに横たえる。涙に濡れた頬を手の平
で何度も擦った。そんなことをしてもオレが大佐を傷つけて散々に泣かせた事実は消えるわけではないのに、それ
でもオレは何度も何度も大佐の頬を手の平で拭いた。どれだけ拭いてもいつまでも濡れているソコに、その頬を
伝わる涙が実は自分の瞳から零れているのだとようやく気づく。気づいて、そうして、もう何もかもなくしてしまった
のだと思った。こんなことをして、もうこれ以上大佐の側にいられるわけがない。部下としてこの人を守ることすら
出来なくなってしまったのだと、どうしてこんなことをしてしまったのかと、どうしようもない後悔の念に苛まれて。
それでも。
「アンタが好きなんだよ…っ」
オレは血を吐くようにそう呟くと意識のない大佐の体を抱きしめた。そうして、きっとこれが大佐に触れられる最後
だろうと、思い切り優しく口付ける。
「たいさ…。」
想いの丈を込めてその名を呼んで、オレは逃げるように大佐の家を後にした。
「あれ、今日、大佐お休みですか?」
フュリーが中尉に聞いている声が聞こえる。
「ええ、体調が優れないと連絡があって、休むそうよ。」
ほんの少し困ったように言う中尉に、オレは胸が痛んだ。
「二日酔いですかね。」
ファルマンがそう言えば
「ハボック、昨日大佐を送った時、どうだったよ?」
とブレダが聞いてくる。
「別に…普通だったと思うけど…。」
オレは書いていた書類から目を上げずにそう答えた。誰かの目を見たらオレが昨日大佐に働いた非道を洗いざらい
喋ってしまいそうで、オレは頑なに書類を見つめ続けていた。
「ハボック少尉。」
夕方、もう殆んど終業時間まぎわと言う時間になって、中尉がオレを呼んだ。何事かとオレの机の傍らに立つ中尉
を見上げればその鳶色の視線がまっすぐにオレをみつめてくる。何も言わないオレに中尉は軽く首を傾げたが、
口を開いて言った。
「この書類、明日の朝一番で大佐のサインが必要なの。申し訳ないのだけれど大佐の家に行ってサインをもらって
きてくれるかしら。大佐が明日出勤されるのなら大佐に持って来てもらえばいいし、明日もまだムリそうなら、
悪いけど受け取ってきて欲しいの。」
そう言って差し出された書類をオレはじっと見つめる。もしできるならフュリーとかに頼んでもらえないだろうか。そう
思いはしたがそれを口に出来る筈もなく。
「少尉?」
「…判りました。」
呟くように答えると、オレは書類を手にしたのだった。
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