この想いの行きつく果て 第七章
「…っっ!!」
部下の声に一気に正気に戻ったロイが慌ててハボックから身を離そうとする。だが、ハボックはそんなロイの
体を引き寄せると一気に貫いた。
「―――ッッ!!!」
両手で口元を押さえて必死に声をこらえるロイをハボックは情け容赦なく突き上げる。逃れようと身を捩っても
容易く引き戻されて更に奥深くを犯された。
「大佐?」
返事をしないロイに訝しんだフュリーの声がする。ハボックは低い声でロイに言った。
「返事しないと、入ってきちまいますよ?」
オレは別に構いませんけど、と言うと同時にハボックはがつんとロイを突き上げる。びゅるりと熱を吐き出して
ロイは荒い息を零した。
「大佐?」
焦れたようなフュリーの声にロイは唇を震わせると必死に言葉を吐き出した。
「い、今、ハボックと…う、ちあわせちゅう…なんだ…。少し…待ってくれない、かっ」
ロイが喋る間にもハボックはロイを突き上げ続ける。零れそうになる悲鳴を必死にこらえるロイにハボックは
楽しそうに笑った。
「えと、でもこれ、ホントに急ぎなんで、できれば…」
困ったように言うフュリーの言葉にハボックは面白そうにロイに言う。
「いいじゃないっスか、入ってもらえば。」
「ハボックっ」
ハボックを詰る声が悲鳴混じりになってしまうのをどうすることも出来ない。ハボックを咥えるそこがイヤらしく
蠢いてハボックを奥に誘い込もうとするのを、ロイは絶望に似た想いを抱きながら感じていた。
「ハボ…っ、おねが…」
肩越しに涙に濡れた瞳を向けて囁くロイにハボックはワザとらしくため息をつく。
「フュリー、5分で済むから待っててくれ。」
「…判りました。」
ハボックの声にフュリーがため息混じりに答えて扉から離れる気配がした。その途端、ハボックの熱がロイを
突き上げる。
「ひ…っ!」
ガンガンと情け容赦なく突き上げられて、ロイは涙を零しながら喘いだ。もう、声を抑えることもままならなく
なっていく。
「うっ…ふぅっ…んっ…んんんっっ」
びゅくびゅくと熱を吐き出すロイの中にハボックも熱を叩きつけた。体の奥深くを焼かれて、ロイの意識が霞んで
いく。力なく机にすがるロイの中からずるりと自身を抜き出すと、ハボックは手早く衣服を整えた。
「早くズボンはかないと、フュリー来ちゃいますよ。」
冷たく言われてロイは力の入らない体を必死に起こすとのろのろとズボンを履いた。ロイが軍靴に脚を入れている
間にハボックは机の下に目をやって目を眇めた。
「どうするんスか、コレ。」
ロイの吐き出した熱で汚れた床にハボックはロイを突き飛ばすとその黒髪を床に押し付ける。
「舐め取って下さい。」
「ハボ…っ」
「早く。」
冷たく言い放たれてロイは仕方なしに舌を伸ばした。なんとかあらかた舐め取ったのを見て、ハボックはロイの
髪を掴むとその体を引き上げた。熱に汚れた口元を乱暴に拭ってやるとロイを椅子に座らせる。そうしてハボック
は扉を開くとフュリーを呼んだ。
「待たせたな、フュリー。」
ハボックの声にフュリーは慌てて執務室に入ってくるとロイに向かって書類を差し出す。
「大佐っ、この書類なんですけど…。」
言いかけたフュリーはロイの顔を見て息を飲む。椅子に沈み込んだロイは目元を染めて荒い息を零していた。
「あの、大佐…?」
様子のおかしいロイに心配して声をかけるフュリーにハボックが言った。
「熱っぽいんだよ。その書類書いたら帰らせるから。」
「あ、じゃあ急ぎます。」
ハボックは手を伸ばすとロイの前の書類を取り上げて目を通す。そうしてロイの前に差し出すと言った。
「大佐、サインして。」
ロイは言われるままにペンを取ると震える手でサインをしたためる。ロイが書いた途端ハボックは書類を取ると
フュリーに渡した。
「これでいいだろ。」
「はい。有難うございます。それじゃ、大佐、お大事にっ!」
フュリーはそう言うと執務室を飛び出していく。バタンと扉が閉じられるとハボックはロイの顎を掴んで笑った。
「やっぱアンタって淫乱っスね。」
ハボックの言葉にロイは揺れる視線を向ける。
「フュリーに声かけられてから、オレのことぎゅうぎゅう締め上げて、感じまくって…。いっそのことフュリーに
見てもらえばよかったっスね。」
「ハボ…」
じわりと涙を浮かべるロイの唇にハボックは自分のそれを寄せる。
「またここで抱いてあげますよ…。」
そう言って噛み付くように口付けられて、ロイの瞳からポロリと涙が零れた。
「ハボ…どこ?」
ロイはハボックの姿を探す。もう、ロイはハボックを欲しがる気持ちを止める事が出来なかった。そこがどこで
あろうとハボックに抱いてくれと強請る。たとえ一時でもハボックの姿が見えないと、ロイはハボックが自分を
置いてどこかへ行ってしまったのではないかという恐怖に苛まれた。
(狂ってるんだ、私は…)
ふと、正気に戻ってロイはそう思う。だがもう、それもどうでも良いと思えた。ハボックだけが自分の全てで
他の事はどうでもよかった。ロイはハボックの姿を探して通りを彷徨う。まるで悪鬼のようなその形相に
かつてのロイの面影はどこにもなかった。角を曲がったその先でロイは求めるハボックの姿を見つける。
ホッとしたように微笑んだその顔がハボックが話しかける相手をみて凍りついた。ハボックが話しているその
相手は確か花屋の娘だ。赤みがかった髪を高く結い上げてハボックを見つめるその表情は女性らしい柔らかい
それで、ロイはその顔を見ているうち呼吸が上手く出来なくなっていった。
取られてしまうかもしれない。
――男のアンタと付き合わなくちゃいけないほど相手に不自由してない。
かつてハボックが言っていた事がロイの頭をよぎる。
――もともとアンタみたいなスレンダーなタイプより、こう、バーンと出るトコでたタイプの方が好みだし
楽しげに話す2人の様子にロイの目の前が真っ赤に染まっていった。
(イヤだ…私のものだ…)
ロイの唇から零れる呼吸が荒くなり、ロイの周りを取り巻く空気が熱を帯びた。
(渡したくない…誰にも…渡さない…っ)
その瞬間ロイの周りにゴオッと熱風が吹き上がり。
「キャアアア―――ッッ!!」
「なっ?!」
目の前の相手が突然焔に包まれた事でハボックは驚愕に目を見開いた。直前まで楽しげに話していた相手は
今、その赤い髪を焔に溶け込ませ、突然自分を襲った不幸に信じられないとばかりに目を見開いている。手を
助けを求めるように突き出されて、ハボックは思わず数歩後ずさった。肉の焦げる凄まじい臭いが辺りに立ち
込め、ハボックが見守る中で真っ黒に燃え尽きたそれはドウと地面に倒れこんだ。辺りを野次馬が取り巻き
大騒ぎになる中、ゆっくりと振り向いたハボックは喚きたてる人々の向こうで、黒髪の細い体が角を曲がって
消えるのを確かに見たのだった。
突然人が燃え上がる事件に、すぐ側にいたハボックも尋問を受けた。だが、ハボックに被害者を殺す理由が
なかったことと、身元がはっきりしていた事で早々に解放された。事件の特殊性からロイにも問い合わせる
声があったが、国家錬金術師であるロイがこんな事件に関与しているとは誰も疑ってはいなかった。
ハボックは司令室へ向かう廊下を足早に歩いていく。司令室に入り、更に奥の執務室の扉を目にしたハボック
は僅かに眉を寄せるとノックもせずにその扉を開いて中に滑り込み後ろ手に扉を閉めた。机で書き物をして
いたロイは顔も上げずに言った。
「どうした?」
その問いかけに答えず、ハボックはロイを見つめる。返らない答えにロイはゆっくりと視線を上げるとその
空色の瞳を見つめた。
「アンタ、あそこにいましたね?」
だがロイはハボックの質問には答えずうっすらと笑う。その黒い瞳に宿る狂気の光にハボックは暫く黙ったまま
ロイを見つめていたが、やがて俯くと小刻みに肩を揺らしだした。顔を上げたハボックはくすくすと笑いながら
ロイを引き寄せる。その白い頬に両手を添えるとロイの黒い瞳を覗きこんだ。
「可哀相に。アンタ、それほどオレが好きなの?」
言われてうっすらと頬を染めるとロイはハボックの背に手をまわす。ハボックの青い瞳を見上げてロイは囁く
ように言った。
「なんでもする…お前が望むなら…お前のためなら、なんでも。だから側にいて…私だけを見て…」
ハボックの背に回された手がほんのりと熱を帯びる。ハボックはうっすらと笑うとロイを抱きしめた。
「可哀相なたいさ…。いっスよ。アンタがオレを退屈させないでくれるなら、ね。」
ハボックの言葉にロイが嬉しそうに微笑む。2人の顔が近づき、誓いを立てるように唇を重ねていった。
2007/3/9
2007/4/3改訂
拍手リクで「優しいハボももちろん好きなんですけど、 ダークなハボにも惹かれます…。ぜひ黒ハボとロイのお話を読みたいです!キリリクの
お話がロイ←ハボだったのでロイ→ハボでハボロイ希望です!」でしたー。なんかもう、暴走列車になってしまって、最後もこんなの期待して
ないだろうと思いつつ…。きっとこの後もハボは女の子と遊んでは、ロイに焼餅焼かせてとんでもないことをやらかすのを見て楽しむんだろうなと。
で、「アンタがオレを退屈させるのが悪いんスよ」とか言って、ロイに無体を働きそうな気がします。そういう黒いハボックです(苦笑)
こんな黒ハボですがお楽しみ頂けたら嬉しいです。