桃尻酩奴 |
「ここがマスタングさんの家……」 大きな門の前でハボックはそう呟く。だが、実際には目の前には家なぞ見当たらずだだっ広い庭の中を突っ切る私道のはるか向こうに小さく見えているだけだった。ハボックは手にしたボストンを持ち直すと門の脇についたインターホンを押す。少しして聞こえた声にドキドキしながら来訪の意図を告げれば黒塗りの門扉がギィィィという音と共に開いた。ハボックは一瞬躊躇ったもののボストンを手に門をくぐる。少し歩けば門は開いた時と同じように軋みをあげながら閉まった。まるで帰る道を断ち切るように閉まったそれをハボックは目を見開いて見つめたが、正面に向き直るとグッと唇を噛み締め足を踏み出したのだった。 「俺が頼んだのはもっと小柄で可愛らしいメイドだったんだけどなぁ」 ハボックを前に執事のヒューズが言う。参ったな、とぼやくヒューズにハボックは恐縮したように身を縮めた。 「でもこの子にしようとお決めになったのはヒューズさんですわ」 そう秘書のホークアイに指摘されてヒューズは唇を突き出す。 「だってよ、名前見りゃだれだって女の子だと思うだろ?ジーン・ハボックだぜ?可愛い名前じゃないの」 「それは勝手な思い込みというものです。私はちゃんと確かめた方が宜しいのではと何度も申し上げました」 冷たい秘書の言葉にヒューズは眉毛を垂れた。二人のやり取りを聞いて益々恐縮するように身を縮めるハボックとガシガシと頭をかくヒューズを見て、ホークアイは一つため息をつくと言う。 「とりあえず会わせてみてはいかがですか?要はマスタング様が気に入ればよろしいのですから」 そう言われてヒューズはなるほどと頷くとハボックを見上げた。 「確かにそうだな。見てくれは悪くないし意外とロイも気に入るかもしれねぇ。そうと決まれば、ええと、ハボックだったな、急いでメイド服に着替えてくれ。ロイと顔合わせしよう」 「は、はいっ」 ボストンを胸に抱えてどうなる事かと案じていたハボックはホッと息を吐く。ヒューズが机の上のベルを手にとって振ると程なくして小柄で眼鏡をかけたメイドが現れた。 「お呼びですか?ヒューズさん」 「おう。コイツはジャン・ハボックって言うんだが、今日からこの家でロイ付きのメイドとして働く事になった。部屋に案内してメイド服を出してやってくれるか?」 「かしこまりました」 小柄なメイドはそう答えるとハボックを見てにっこりと笑う。 「じゃあ、こっちにどうぞ」 そう言って歩き出すメイドの後をハボックは慌てて追った。 「僕はケイン・フュリー」 「オレはジャン・ハボック」 お互いに「よろしく」と言いあってフュリーはハボックを見上げる。 「ご主人様付きのメイドかぁ。色々大変だとは思いますけど、頑張って下さいね」 ハボックはフュリーの言葉に頷きながら言った。 「ご主人様ってどんな人なのかな。大変ってそんなに気難しい人なわけ?」 そう聞かれてフュリーは「うーん」と顔を顰める。 「気難しいっていうか、人の好き嫌いの激しい人で、今までも何人も屋敷を叩きだされてるんですよ」 「えっ、そうなの?」 それを聞いてハボックは不安そうな顔をする。そもそも小柄で可愛らしいメイドを手配した筈が手違いでこんな馬鹿デカイなりの自分が来てしまって、顔を見た途端追い出されるのではないだろうか。ハボックが抱えたボストンをギュッと抱きしめた時、辿り着いた扉を前にフュリーが言った。 「ここがハボックさんの部屋。二人部屋だけど今は人が少ないから一人で使えますよ。クローゼットの中にメイド服がかかってるからそれに着替えたら詰め所の方へ来て下さい」 「うん、ありがとう」 ハボックは礼を言うと立ち去るフュリーを見送って扉に手をかけた。中に入るとボストンを部屋の隅に置きホッと息をつく。とさりとベッドに腰を下ろしたハボックはふるふると頭を振った。 「休んでる場合じゃない、早く着替えなくっちゃ」 そう呟くと立ち上がりクローゼットに近づく。扉を開けて中からメイド服一式を取り出した。着ていた服を脱ぎ捨て、メイド服に手を伸ばしたハボックは一瞬その手を止める。だが、意を決して手早く身につけてしまうと鏡の前に立った。 「……短い」 大柄なハボックには明らかにお仕着せのメイド服は小さかった。濃紺のブラウスに同色のスカート、白いフリルつきのエプロンはとても可愛らしいが、腰をかがめればすぐに尻が見えてしまいそうだ。長い脚はバラの花の地模様の入った黒いレースのストッキングに包まれ、そのストッキングはと言えば黒地に白のレースの縁取りがついたガーターベルトで吊るされていた。 「もう少し大きいのないのかな…」 心もとない格好に短いスカートの裾を引っ張りながらハボックは呟く。だが、クローゼットにはそれ以外のメイド服は見当たらず、ハボックはため息をついた。 「仕方ない、後で大きいのに代えてもらおう」 そう言うと頭にレースのカチューシャをつけて部屋を出る。急いで詰め所へと行けばヒューズが来ていた。 「おお、似合うじゃねぇか」 ヒューズはハボックを見た途端目を輝かせて言う。ハボックは恥ずかしげに裾を引っ張ると言った。 「でも、これ、ちょっと短いんスけど。もうちょっとサイズ大きいのに代えてもらえないっスか?」 「ワリィがそれ以上大きいサイズはねぇなぁ」 ヒューズはそう言うと詰め所の中にいたメイドたちにハボックを紹介する。それからハボックを促すと言った。 「よし、ロイに会いに行くぞ」 そう言ってスタスタと歩き出すヒューズをハボックは慌てて追う。ヒューズの顔を覗き込むようにして聞いた。 「あのっ、ご主人様って結構人の好き嫌いのある人だって……オレみたいのが行ってもだめなんじゃないっスか?」 「んー、まあそうだけどよ」 ヒューズはそう言ってハボックを頭のてっぺんからつま先までジロジロと見る。 「意外といけるかもしれねぇ」 「でも…」 心配そうにハボックが言った時、ヒューズが大きな扉の前で立ち止まった。コンコンと扉をノックすると声をかける。 「ロイ?」 「……ヒューズか」 中から聞こえた気だるそうな声にヒューズは扉を開けた。ハボックを置いて中へと入ると言う。 「ロイ、お前つきのメイドを新しく雇ったんだ」 「またか?どうせろくでもないヤツだろう?雇うだけムダだと言ってるのに」 中から聞こえる不満そうな声にハボックは手を握り締めた。 (ご主人さまってどんな人なんだろう。なんかすっごく気難しそうな感じだけど…) ドキドキとしながら待っていると入るようにと促すヒューズの声がする。ハボックはゴクリと唾を飲み込むと部屋の中へと入った。 「しっ、失礼しますッ」 俯き加減で中へと入ればヒューズがハボックを紹介した。 「新しくお前つきのメイドになったジャン・ハボックだ。ハボック、コイツがこの家の当主のロイだよ」 「ハボックですっ、宜しくお願いしますッ」 深々と頭を下げたハボックは恐る恐る顔を上げる。そうして目の前の椅子に座る男に視線を向けた途端、金縛りに会ったように動けなくなった。 「あ……」 (この人がご主人さま…) 艶やかな黒髪に縁取られた白い面はとても秀麗で、そしてハボックを見つめる双眸は輝く黒曜石だ。強い光を湛えるそれは事のほか美しく、ハボックは吸い寄せられるようにその瞳を見たきり逸らせなくなってしまう。呆然と立ち尽くすハボックをロイはじっと見つめていたが椅子から立ち上がるとゆっくりと近づいた。ハボックの顎を掴むとその瞳を覗き込む。 「綺麗な瞳だ」 「あ……」 まっすぐに見つめてくる黒曜石にハボックの心臓がバクバクと音を立てる。カアアッと紅くなるハボックにロイはニッと笑うと言った。 「いいだろう、せっかく来たんだ。暫くの間使ってみるのも悪くない」 「お、気に入ったか?」 パッと顔を輝かせてヒューズは言うとハボックを見上げる。 「よし、それじゃ後はロイの言う事をきいてな。頼んだぞ」 それだけ言うとヒューズはさっさと行ってしまった。後に残されたハボックはドキドキと高鳴る心臓を抱えながらどうしたものかとロイの様子を伺う。ロイは椅子に座るとハボックに言った。 「とりあえず紅茶を淹れてくれるか?」 「は、はいっ」 答えてパタパタと茶の支度を始めるハボックをロイはうっとりと笑いながら見つめていたのだった。 「ご主人さま、お茶の用意が出来ました」 ハボックはそう言うとロイの前にカップを差し出す。ソーサーごとそれを受け取ったロイは香りを楽しむようにカップを口元に近づけるとひと口飲んだ。 (お気に召さなかったらどうしよう……) ドキドキと高鳴る胸を押さえてハボックはロイの様子を伺い見る。ロイは少ししてにっこりと笑うと言った。 「うん、合格だ」 「あ、ありがとうございますっ」 ロイの言葉にハボックはパッと顔を明るくする。嬉しそうに頬を赤らめる仕草にロイは目を細めた。 (今まではろくでもないメイドばかりだったが、今回のはなかなか可愛いじゃないか) そう思いながらじっと見つめ続ければハボックの頬の赤みが増す。困ったように視線を彷徨わせてハボックが言った。 「あのっ、他にご用はございませんか?」 「…いや、今のところはもう十分だ。さがっていいよ」 「はいっ、それではまた何かございましたらおよびくださいませっ」 ハボックはそう言って頭を下げると部屋を出て行く。 「ふふ…これから楽しくなりそうだ……」 パタンと閉じた扉を見つめて、ロイはそう呟いたのだった。 「おはようございます、ご主人さま。今日もいいお天気っスよ」 ハボックはそう言うと大きな窓のカーテンを開ける。ロイは気だるげにベッドに身を起こすと朝の光に煌めく金色の髪を見つめた。 「先にお飲み物をお持ちしましょうか、それともお着替えを?」 「そうだな、先に冷たいものをくれ」 「かしこまりました」 ハボックはそう答えると部屋の隅のテーブルに置いたグラスを取る。部屋に来る時に持ってきた水差しから冷たい水を注ぐとロイに差し出した。 「どうぞ、ご主人さま」 「ああ、ありがとう」 ロイは礼を言ってグラスを受け取ると口をつける。その間にロイの着替えの支度を整えるハボックの後姿をじっと見つめた。短いスカートはまっすぐに立っている時はともかく、ほんの少し身を屈めただけで形のよい尻が覗いてしまう。ガーターベルトと下着をつけたそれはハボックが動く度ぷりぷりと揺れて、熟れた果実のように見えた。 「ご主人さま、お着替えの支度が整ったっス」 そう言ってにっこりと笑うハボックにグラスを返すとロイはベッドから下りる。そうすればハボックはロイのパジャマに手をかけ手早く脱がしていった。 (ご主人さまって着やせして見えるんだ……) ほっそりした印象とはうって変わって服を脱いだロイの体は鍛えられ、軟弱な印象はない。 (カッコイイ……) 筋肉のついた綺麗な体にハボックは頬を薄っすらと染めながら主人の着替えを済ませた。 「食事が済んだら出かける。車を用意するように伝えておいてくれ」 「かしこまりました」 答えて部屋を出て行くハボックの短いスカートに包まれた尻をロイは見つめてうっそりと笑ったのだった。 ハボックがロイの屋敷に来て1週間ほどが過ぎた。 「よお、頑張ってるじゃないの」 両手に大きな花瓶を抱えて廊下を歩いていたハボックにヒューズが声をかける。ハボックは色鮮やかな薔薇の間からヒューズを見返すと笑った。 「はいっ」 満面の笑顔にヒューズは一瞬クラリとする。マジマジとハボックを見つめると言った。 「へぇ、コイツは掘り出し物だったかもしれねぇな」 「え?」 キョトンとするハボックの顎を指先でついと持ち上げるとヒューズは言う。 「まあ、なんにせよ、ロイの事頼むわ」 「え、ええ、勿論っス。頑張りますっ」 ハボックはそう答えるとパタパタとロイの部屋へと行ってしまった。 「…ホント、ロイの事頼むわ」 ヒューズはハボックの背を見送って薄っすらと笑ったのだった。 「ご主人さま、こちらで宜しいですか?」 ハボックは部屋の隅に花瓶を飾るとロイに聞く。ロイはふむと頷くと言った。 「うん……まあ、いいだろう、そこで」 そう言うとゆっくりと近づき薔薇の香りを嗅ぐ。花の間に手を差し入れて顔に花びらを寄せるようにしながら香りを楽しんでいたロイが突然声を上げた。 「あっ、つう…っ」 小さく叫んで引き寄せた指からは血が滲んでいる。それを見たハボックは驚いて駆け寄った。 「刺がっ?…あ、申し訳ございませんっ」 薔薇を活けるときに刺はすべて取り除いたつもりだった。だが主人の指に滲む血にハボックは自分のミスに気付いて真っ青になる。 (ど、どうしようっ、ご主人さまの指を傷つけてしまった…っ) 青くなりながらも早く手当をしなければと部屋を飛び出そうとしたハボックをロイが呼び止めた。 「今すぐ救急箱を持ってまいりますっ」 そう叫ぶハボックにロイは傷ついて指を差し出す。ハッとするハボックにロイが言った。 「救急箱はいらん。お前が舐めて治せ」 「…え?」 「聞こえなかったのか?」 苛々と言われてハボックは飛び上がると差し出されたロイの手を取る。ごくりと唾を飲み込むと血の滲む指に舌を這わせた。 「ん……」 瞳を伏せてハボックはぴちゃぴちゃとロイの指を舐める。舌先を刺激する鉄のような香りがなくなるまで、必死に舐め続けているとロイが言った。 「もういいだろう」 そう言われてハボックはロイの手を離すともう一度深々と頭を下げる。 「申し訳ございませんでした、ご主人さまっ。もう二度とこんなことがないように気をつけますっ」 泣きそうな顔でそう告げるハボックをロイはじっと見つめていたがやがて低い声で言った。 「二度とこのようなことがないように。次は容赦しないぞ」 「はいっ、申し訳ありませんっ」 ハボックは頭を下げるとしょんぼりとうな垂れる。 (このままご主人さま付きのメイドから外されちゃったらどうしよう……) 気難しい主人のこと、もしかしたらと不安になったハボックの瞳に涙が滲んだ。そんなハボックにロイはハボックの唾液に濡れた指を伸ばすとその顎を持ち上げる。 「なんだ、泣いているのか?」 「ご、ご主人さま…」 改めてそう聞かれれば涙がこみ上げてきた。空色の瞳からポロリと涙を零すハボックにロイは苦笑する。 「仕方のないヤツめ」 ロイはそう言うとグイとハボックを引き寄せ唇を合わせた。 「っ?!」 ビクッと震えて逃げようとする体を引き寄せるとロイは深く口付ける。 「んっ…んんっ…ぅふう……っ」 強引に入り込んできた舌にきつく己のそれを絡め取られてハボックはもがいた。だが、そうすればする程強く抱き締められ深く唇が合わさる。散々に口内を嬲られたハボックの膝がガクッとくず折れて漸くロイは唇を離した。 「ご主人さま……」 くたりと力の抜けた体を抱き締めながらロイはハボックの耳元に囁く。 「今夜私の部屋に来なさい、いいな、ハボック」 「は……い」 ハボックはぞくんと身を震わせると小さな声で頷いたのだった。 仕事をすべて済ませたハボックは主人の部屋の前に立つ。どうしようかと散々迷った末、遠慮がちに扉を叩いた。 「入りなさい」 その声にハボックはそっと扉を押し開くと部屋の中へと入る。脚を組んで椅子に腰掛けるロイの前に立つと言った。 「あの…お呼びですか、ご主人さま…」 そうお伺いをたてればロイがハボックをじっと見つめる。なかなか口を開かないロイにどうしたらいいか判らずハボックは俯いた。 「ハボック」 「はいっ」 暫くしてかかった声にハボックはパッと顔をあげる。途端に自分を見つめる強い視線に絡め取られて身動きが出来なくなった。 「お前は私付きのメイドだ。そうだな、ハボック」 「は、はい…」 ロイに聞かれてハボックはやっとの思いでそう答える。ロイはそんなハボックに薄っすらと笑うと言った。 「メイドの仕事は色々だ。着替えや入浴の世話、食事の世話。だが一番大事なのはそんなことじゃない」 そう言われてもハボックは意味が判らず首を傾げる。幼い表情を浮かべるハボックにロイは言った。 「私の相手をすることだよ、ハボック」 その言葉にハボックはキョトンとする。だが次の瞬間目を大きく見開くと声を上げた。 「えっ、ええっ?!ごっ、ご主人さまのお相手っっ?!」 「そうだ」 「で、でもっ」 うろたえるハボックの腕を掴むとロイはグイと引き寄せる。大きく見開いた空色の瞳を見上げると言った。 「お前に“でも”だの“嫌”だの言う権利はない。言っていいのは“はい”だけだ。いいな」 「あ……」 「返事は、ハボック?」 掴んだ腕をグッと握られてハボックはビクリと体を震わせる。だが、その黒い瞳を見つめると答えた。 「は、い…ご主人さま」 「よし。ではまず口で私を満足させてみなさい」 そう言われて息を飲むハボックにロイが苛々と言う。 「返事」 「はいっ、ご主人さまっ」 ハボックは飛び上がって答えるとロイの前に跪いた。ゴクリと唾を飲み込むとボトムの前を緩める。勢いよく飛び出してきたロイの牡におずおずと舌を絡めた。 「ん……」 ぴちゃぴちゃと音を立てて舌を這わせると次に口中に含む。だが、男のモノなど咥えた経験のないハボックはムッと押し寄せる牡の匂いに嘔吐きそうになった。 「んうっ……ぐうっっ……」 それでもなんとか奉仕しようとするハボックの髪を鷲掴むとロイは強引に抜きさしする。 「んぐぅっっ……ンンッッ」 涙を滲ませながらもハボックは必死にロイのものに舌を絡めた。やがてググッと嵩を増したロイがハボックの喉奥に熱を叩きつける。ハボックはなんとかそれを飲み込むとゲホゲホと咳き込んだ。ロイは立ち上がると蹲って咳き込むハボックの腕を掴み、背後のキャビネットの上に引き上げる。「何を?」と見返してくる空色の瞳に言った。 「下着を脱ぎなさい」 「は、い。ご主人さま」 ハボックは躊躇いながらもそう答えると下着を脱ぎ捨てる。短いスカートを引っ張って必死に隠そうとするハボックにロイは言った。 「ハボック、お前、自分で処理したことはあるか?」 「えっ、はい……あります、けど…」 聞かれてハボックは正直に答えながら頬を染める。だが、続くロイの言葉にハボックの顔が火を噴いたように真っ赤になった。 「やって見せなさい」 「ええっ?で、でもっ」 「返事は“はい”だけだと言った筈だ」 苛ついた声でそう言われてハボックは目を見開いた。それでもおずおずと脚を開くとそっと自身に指を絡める。ゆっくりと扱き出せば徐々に形を変えていくそれに痛いほどの視線を感じて、ハボックは嫌々と首を振った。 「あ…見ないで下さい、ご主人さま…っ」 誰かに自慰を見せるなど、今まで考えたこともない行為にハボックは羞恥に駆られてそう囁く。だが、見られていると思えばむしろ体は昂ってハボックは瞬く間に登りつめていった。 「ああ…っ…あんっ…ハアッ……アッ、イくっ……イっちゃうッ、ご主人さまぁッ」 ハボックはそう叫ぶと同時にびゅくびゅくと熱を吐き出してしまう。ハアハアと荒い息を零しながら達した余韻にぼんやりとするハボックにだがロイは冷たく言った。 「誰がイっていいと言ったんだ?」 「あ……」 「主人の許可もなく勝手にイくなんて」 怒気を孕んだロイの声にハボックは目を見開く。小刻みに震えると胸元で手を握り締めロイに言った。 「も、申し訳ありません…っ」 青くなって震えるハボックを睨みつけてロイは立ち上がると乗馬用の鞭を取り出す。 「主人の許可なく勝手をすればどうなるか、きちんと躾ける必要がありそうだ」 ロイはそう言うとハボックに命じた。 「四つん這いになって尻を出せ」 「えっ?!」 「さっさとしないかっ」 ヒュンッと鞭を鳴らして言うロイにハボックはビクッと震えると四つん這いになって尻を突き出す。恥ずかしさと恐怖に震える白い尻をロイはそっと撫でた。 「綺麗な尻だ…」 小刻みに震えるハボックにロイはそう囁く。ロイはうっとりと笑ってそこに口付けると鞭を振り上げた。 |
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ピシィッッ!! 「ヒッ!!」 白い尻に鞭が高い音を立てて当たれば薄紅の筋が浮かぶ。ロイは続けざまにハボックの尻目がけて鞭を振り下ろした。 「ヒィッ!!痛いッ!!アッ、アアッ!!」 鞭が当たる度走る鋭い痛みにハボックが悲鳴を上げる。ハボックは涙を浮かべてロイを見上げると必死の思いで言った。 「ごめんなさい、もうしないっスッ!だから赦してッ、ご主人さまッッ」 肩越しに振り向いてそう懇願するハボックの姿にロイは目を細める。下肢を己の放った熱で汚し、白い尻に鞭の痕を浮かび上がらせるハボックは堪らなくいやらしかった。 「まだダメだ」 ロイは冷たくそう言うと続けざまに鞭を振り下ろす。 「ヒアッ!!…ヒイイッ!!アアッ、ご主人さまぁッ、ご主人さまぁッッ!!」 泣きながらロイを呼ぶハボックを容赦なく鞭打っていたロイは漸く手を下ろすと鞭を離した。すすり泣くハボックの顎を掴むと深く口付ける。 「んんっ……んふ……」 なされるまま口内を嬲られるハボックにロイは言った。 「お前が憎くてこんなことをするわけじゃない。お前に立派なメイドになって欲しいからこうするんだ。判るな、ハボック」 「………は、い…ご主人さま…」 ロイの言葉に頷くハボックにロイはうっそりと笑う。それからハボックの尻に手を這わせると言った。 「痛むか?」 「へ、平気っス…」 鞭打たれたそこは真っ赤に腫れ上がって酷い痛みを訴えたがハボックは健気にもそう答える。ロイは両手でハボックの尻を抱えると紅く腫れたそこに舌を這わせた。 「ヒッ…アッ!」 ロイの舌が触れるたび走り抜ける痛みにハボックは小さな悲鳴を上げる。だが、ギュッと手を握り締めるとその痛みに必死に耐えた。思うまま舌を這わせていたロイはハボックの双丘を割り開くとその奥で震えている蕾に舌を這わせる。ビクッと震えるハボックに構わず、指で広げると舌を差し入れぬらぬらと嘗め回したそこへ、指を入れるとグチグチとかき回した。 「ヒャッ……い、ヤッ…ヤダァ…ッ」 羞恥のあまり涙を零してそう訴えるハボックにロイは眉を顰めると紅く腫れた尻を叩く。短い悲鳴を上げるハボックにロイは言った。 「嫌はなしだと言った筈だ」 「アアッ…で、もっ……恥ずかしいッ」 そ う言って涙を零すハボックにロイは笑う。そうしてハボックの腰を抱えなおすと滾る自身を押し当てた。 「恥ずかしいなどと考える暇などなくしてやる」 そう言うと同時にずぶずぶとハボックの中へと己を沈めていく。 「ヒアアアッ!!アッ、アア――――ッッ!!」 強引に押し開かれてハボックは激痛に悲鳴を上げた。鞭打たれることなどとは比べ物にならない痛みにハボックは必死に赦しを乞う。 「アアッ!赦してッ、ご主人さまぁッ!!」 ガツガツと突き上げながらロイは手を回してハボックの中心を嬲った。痛みと快楽に翻弄されて啼き叫ぶハボックにロイは囁く。 「お前は一生私のものだよ、ハボック。他の誰にも触らせない……」 「アッ…ンンッ……ご主人さまぁッ……イくッ、イかせてェッ」 嬲られて急速にこみ上げて来る射精感に、だが勝手にイっては赦さないと言われたハボックは必死に耐えながらロイに強請る。ロイはそんなハボックにうっとりと笑うとその首筋に口付けた。 「では、私に誓いのキスを」 そう言われてハボックは懸命に体を捻るとロイの頭を抱え込み唇を合わせる。 「んっ……んウーッ」 絡みつく熱い舌にロイは満足そうに笑うとハボックを追い上げる手の動きを早めた。 「アッアッアッ、ご主人さまッ!」 「いいぞ、イけ」 「アッアアア―――ッッ!!」 ロイの言葉と同時にハボックはびゅるりと熱を吐き出してしまう。それを追う様にロイもまたハボックの中に熱を叩きつけた。 「ひゃあんッ……熱いッ…ご主人さまッ、アツイッッ」 ハボックはそう叫ぶとロイに向かって手を伸ばす。ロイはそんなハボックに優しく笑うと繋がったままハボックの体を強引に反した。 「ヒウウッッ!!」 熱を放って尚まだ猛るロイの楔に熱い内壁をこすられてハボックは悲鳴と共にまた熱を吐き出す。快楽と苦痛がない交ぜになって、ハボックは泣きながらロイに縋りついた。 「ご主人さま、ご主人さまぁッ」 「ふふ、可愛いヤツ」 ロイは笑って言うとハボックに口付ける。夢中で応えてくるハボックを緩く突き上げると零れた悲鳴ごと唇を貪った。 「ご主人さまッ、好きッ」 そう言って縋りついてくる熱い体を、ロイは満足そうに抱き締めたのだった。 「あっ、申し訳ありませんっ」 うっかりと零してしまった茶を慌てて拭き取るハボックにロイはため息をつく。トントンと指でテーブルを叩くとハボックの名を呼んだ。 「ハボック」 そう言って軽く睨めばハボックは大きな体をすぼめてロイを見る。上目遣いに見つめてくる空色の瞳を可愛いと思いながらロイはハボックの顎をツと指で持ち上げた。 「仕置きが必要か?」 そう尋ねればハボックがカアアッと顔を赤らめる。棚から騎乗鞭を取り出すとロイの前に差し出した。 「……お仕置して欲しいっス…」 消え入りそうな声でそう告げるとベッドに上がり四つに這った。立ち上がったロイが鞭の先で短いスカートをまくればバタフライをあしらった黒いGストリングショーツに包まれた白い尻が現れる。 「ご主人さまぁ」 強請るように自分を呼ぶハボックにうっとりと笑うと、ロイは白い尻目がけて鞭を振り下ろしたのだった。 2008/08/04 |
以前お邪魔したロイハボ絵チャで拝見したメイドハボに萌え萌えして小話を錬成した事があったのですが、そんな絡みで桃尻なハボメイド話を書いたら「強がりLv3」の正義さまが挿絵をくださるってことになりましてvvステキ絵は随分と前に頂いていたのですが、私の方がさっぱり書きあがらず、やっと書いた話がこんなんっていうね…orz ホントは運転手のブレダとか庭師のファルマンとかいろいろ出したかったんですが、結局こんなヘンタイ話になってしまいました(汗) 正義さま、散々お待たせした挙句こんなしょうもない話で申し訳ないですーーッ!これにあんなステキ絵はあまりに勿体無いですが図々しくも間に挟ませていただきましたっ///もー、何度マウスをあの絵あわせた事か…でへへへvホントにホントにエロ可愛い桃尻ハボをありがとうございましたvでもってこんな話ですが正義さまに捧げさせていただきますーッ!楽しい機会をありがとうございましたvvまた何か萌え萌えな話がありましたら誘って下さいませーv |