この作品は「強がりLv3」さまで掲載されています「Cantarella」(08/05/08掲載)の続編になります。

Cantarella 2     by 正義


Lucrezia」の世界の中心は「Cesare」だった
ソレは今でも変わりないのです――――――……
 
 
 
どうしよう大佐に「告白」と言う物をされてしまった。
大佐はどこをどう見ても「男」で、そして俺も「男」なんだ
 
なのに
なのに、大佐からの言葉は嫌ではなかっただから困っているんだ。

普段なら、上官であろうと、気持ち悪いと一蹴してしまえたのに
あの日から、大佐は何のアプローチもしてこない。
それは俺が「返事をするまで待って」と言ったから、と思いたい
あんな「告白」をして置いて大佐は、翌日にはいつもの調子で俺に接してきたからだ。
 
 
 
このまま有耶無耶にして、なかった事にしたいと願う俺と、そんなのは嫌だと思う俺がいる。
 
 

 
 
Cesare」は、どんな時も「Lucrezia」の傍にいてくれた
嬉しい時も、絶望の淵に立たされた時も、「Pedro」や「Alfonso」が去っていった時も―――――…
共に喜びを分かち合い、悲しみを乗り越えてくれた「Cesare」が大好きでした。
 
 
 
 
 
 
「ですから何度も言いますが、その件に付いてはお断りいたします」
「いやそう言ってもだねぇひと目会うだけでもいいから
 
訓練場へ行く途中、通りかかった会議室から、中央から来た将官と大佐の声が聞こえた。
大佐の不機嫌な声に、何と無く焦りを感じて、用もないのに身体が勝手に会議室のドアを開けてしまった。
 
「あっ……
 
ドアを開けて、思わず変な声を出して固まってしまった
俺は、このドアを開けて何がしたかったのか、ソレすらも考えていなかったんだ。
そんな俺に、今まで大佐になにやら詰め寄っていた将官が、顔を真っ赤にしながら怒鳴る。
 
「何だね君は!!部屋に入るときはノックぐらいせんか!!!
「っもっ申し訳ありません中尉に大佐をお呼びするようにと言われたモンですから」
 
とっさに思いついた言い訳を、しどろもどろしつつ口にした。
自分でも嘘だってバレバレだと思うそれが恥ずかしくて、自分でも気付かない内に、言い訳しながら俯き体を小さくしていた。
 
俺の馬鹿!!!
もう泣きそうだいっそ泣いてしまえたら楽なのかもしれない
 
「中尉が私を何の用件だ?」
「あっあのぉっその……
 
やばい、どうしよう何も考えてなかったからなんて言ったら良いのかわからない。
そんな俺に、大佐はフっと笑うと、助け舟を出してくれた。
 
「あぁすまないな少尉、あの件かね?私もすっかり失念していたよ」
「うぇっ!?はっはいっ!!
「そういうことですので少将、私はこれで失礼しますいくぞ少尉!」
「っ!yes'sir!!
 
暗に「部外者には極秘」の用件であるという事を滲ませて、大佐は俺を引きつれて会議室を後にした。
本当は後5分したら、俺の隊の訓練が始まるから訓練所に行かなきゃいけないんだけど
でも、あの少将の前であんな事を言ってしまったから、大佐の後に付いていかないと不自然だろうし
そう思って、大部屋に続く廊下を大佐と一緒に無言で歩いていた。
長く続く沈黙何か喋った方が良いのかオロオロしてる自分の気配を感じたらしい大佐が、沈黙を破るように口を開いた。
 
「助かったよハボック」
「え?」
「あのタヌキ親父、自分の娘との見合いをしつこく迫ってきてな」
「見合いですか?」

 
嫌だアンタは俺の―――――…
 

俺の俺のなんなのだ!?別に俺は、大佐と付き合っている訳ではないのに。
まだ答えを出してはいないではないか、なのに何でこんなに胸が苦しいんだろう
 
「どうしたハボック!?
「え――――…?」
 
気が付けば、俺の目からは涙が溢れていた。
ボロボロと女の子みたいに―――…

なんて情けないんだろう
大佐が困った顔をしている、違うのに大佐を困らせたい訳じゃないのに。
 
「嫌です
「ハボック?」
「嫌です大佐がお見合いなんて……
 
そうだ解らなかったんじゃないんだ気付きたくなかったんだ。
俺も大佐が好きなんだ
 
 
 
 
 
だったら「Cesare」の懐へ飛び込めばいい
 
 
 
 
 
駄目それは大佐には大きな障害になるんだ!!
大佐は上を目指す人、だから不安の芽は摘み取らなければならない

なのに……
 
「俺も貴方を
 
 
 
 
 
 
あぁ「Cesare」、「Lucrezia」も貴方を愛しています
でもそれは禁忌、決して許されるはずの無い関係なのに
Cesare」に愛されている事をこんなにも悦んでいる「Lucrezia」がいるのです――――…
 
 
 
 
 
 
皆まで言うなとばかりに、大佐は俺にキスをしてきた。
その激しさに、うだうだと悩んでいた俺の頭は麻痺してしまう。
本当に、何を悩んでいたんだろう答えなんて考えても、一つしかなかったではないか……
 
そう最初から「Lucrezia=俺)」は貴方のモノなのだから……
 
 
 
 
 
 
 
 
 
やっと手に入れた
愛おしい「Lucrezia
誰の目の触れぬよう、鳥籠に閉じ込めてしまおうか。
それとも、「Cantarella=毒薬)」に漬けて、お前の美しい碧眼が、私しか映さないようにしてしまおうか。
 
 
 
 
彼の甘く柔らかい唇を貪り、「Cesare=私)」の心は仄暗い歓喜に打ち震えた。
 

 
 
もう、逃がさない―――――…

 
 
 
 
 

END


*****************************************************************************


強がりLv3」の正義様から頂きました!以前、サイトに掲載されていた「Cantarella」を読んで、思わず「続きを読みた〜〜いっ!」と叫びましたところ、なんと22万打のお祝いにこの「Cantarella2」を送ってきてくださいました!!うっそー!書いて頂けるだけで嬉しいのにお祝いだなんて…!嬉しいです〜〜vいやんもう、大佐の手に堕ちるハボがもう、萌え萌えで〜vメチャクチャかわいいですっ!!こんなハボが拝めるなんて、読みたいと言ってよかった…!
ちなみに「Cantarella」につきましては正義様が説明をサイトの方に載せていらしたのですが、今回「2」を掲載するにあたりその説明文の引用をご許可いただきましたので、以下ご紹介いたします。
題名に使った「Cantarella(カンタレラ)」はボルジア家秘伝の万能毒薬
「Cesare(チェーザレ・ボルジア)」絶世の美男子と言われた、希代のカリスマ軍司令官(大佐っぽいと思って…)嫉妬深いのかなんなのか、父とあんま仲良くなかったり、実の弟殺人疑惑とか、妹(ルクレツィア)の恋人一人旦那二人(内一人は未遂に終わるが)殺した〜とか…
「Lucrezia(ルクレツィア・ボルジア)」チェーザレの妹で父や兄と近親相姦だったのではと言う疑惑もあったりなかったり…慈善的な人物で、(侍女達への手当ての事に付いてケチな舅とバトったり…)使用人とか領民たちからも慕われていたらしいよ(ハボみたいと…思って……)兄妹の不毛な近親相姦の愛と、男同士の報われない愛を混合してみたら萌かも…と思っての犯行です…。
そんなわけでちゃっかりしっかりお祝い名目でステキなお話をゲットしてしまいましたっvv
正義さま、ホントにありがとうございますっ!!