in the linen room



「よくやってくれたな、ハボック」
 そう言って笑う黒曜石の瞳にハボックは顔を輝かせる。
「はい、大佐…っ」
 1週間続いたテロリストの掃討戦。ハボック率いる小隊は大活躍だった。ロイの緻密な計画を寸分違わず実行し、特に最後の2日間は不眠不休の大仕事をこなした。だがそれも今朝でようやく終わりを迎え、ロイは自分の指示通りに小隊を率いて任務を果たしてくれたハボックに労いの言葉をかける。ハボックはその言葉に溜まった疲れも吹き飛ぶような気がした。
(へへ、大佐に褒められちゃった…)
 自分の努力を認めてもらえるのはいつだって嬉しいのは当たり前だが、ハボックにとってロイの言葉はまた格別だった。何故ならハボックにとってロイは敬愛する上司であると同時にほのかな恋心を抱いている相手でもあったからだ。もっともその気持ちはまだハボックにとっても目覚めたばかりの可愛らしいものでしかなく、恐らくはこれからゆっくりと育ち花開いて行く筈のものであった。
「疲れたろう。本当ならすぐにも家に帰って休めと言ってやりたいところだが、そうもいかなくてな」
 もう一踏ん張り頼むぞ、と言われてハボックはにっこりと笑う。
「オレならまだまだ大丈夫っス。任せて下さい」
 そう言うハボックの髪をロイはくしゃりとかき混ぜた。
「頼もしいな。だが、とりあえずは一息入れてこい」
 下がってよし、と言われてハボックは敬礼すると執務室を出て行く。ロイはその背中を目を細めて見送るとハボックの髪をかき混ぜた手を見つめた。
「なんとも可愛いものだな…」
 自分を見つめる澄んだ空色の瞳を思い浮かべてロイはうっとりと笑う。あの瞳を涙で濡らし快楽に歪ませたらどれ程美しいことだろう。ロイは自分に向けられるハボックの好意に気付いていたしそれを嬉しくも思っていた。ハボックに自分の想いを伝えてその手をとることは簡単だったがロイはそうしようとは思わなかった。ロイが望んでいたのは単なる恋愛の相手ではなかった。そんなものは今までに腐るほどいたがロイがハボックに望んでいたのはそんなものではなく。
(私はハボックを支配したい…心も体も支配してアイツの全てを私の物にしたい…)
 ロイはそう考えて黒曜石の瞳に昏い焔を灯す。薄っすらと微笑むとハボックの後を追って執務室を出た。

「ふあ…」
 ハボックは小隊の詰め所に向かって歩きながら大きな欠伸をする。ロイにはああ言ったもののやはりこの1週間は若いハボックにとっても相当にきついものであり、とりあえず目途がついたと思った途端急速に疲れを感じ始めていた。
「やっぱ疲れたかも…」
 丸2日の徹夜での作戦行動はその作戦中は気が張っていて疲れも感じなかったが、一度気が緩んでしまうとその疲れは並大抵のものではなく、ハボックは自然と下りてくる瞼をゴシゴシとこする。
「ねむ…」
 そう呟いてからハボックはブンブンと首を振った。
「ああもう、こんなこと言ってちゃダメだろ、オレ!もう一踏ん張り頼むって言われたじゃん」
 ハボックはそう言うと頬を両手でパチパチと叩く。もう一度頭を振って歩き出そうとした時、ふと視線を上げた先に見えた扉の文字にハボックは僅かに目を瞠った。
「リネン室…」
 そこは司令部の仮眠室用のシーツやら枕カバーやらを備蓄している部屋で、本来ならハボックには関係のない場所だった。だが、急激な睡魔に襲われつつある体には酷く魅力的な場所に思えて、ハボックはゆっくりと扉に近づいていく。そっと扉を押し開けばひんやりとした部屋の棚には清潔なリネン類が積み上げられていた。ハボックは吸い寄せられるように部屋の中央にある一山に近づくと寄りかかるようにして頬を載せる。
「ちょっとだけ…眠るわけじゃないから…」
 言い訳するように呟いたハボックは、だが次の瞬間サラリとしたシーツの感触に引き寄せられるように眠りに落ちていったのだった。

 ハボックの後を追ったロイはその背の高い後姿がリネン室の中に消えるのを見て目を細める。少し待ってからそっと扉を開けて入ればハボックが棚にもたれかかる様にして眠っているのが見えた。ロイはハボックに近づくとその髪を撫でる。薄く開いた唇に己のそれを重ねれば深い呼吸が答えた。ロイはハボックの軍服のボタンを手早く外すと上着を落とす。ハボックのポケットからナイフを取り出してハボックのTシャツの裾に差し入れるとピーッと切り開いていった。
「ん…」
 ハボックがむずかるように眉を寄せるのを見てロイはハボックの耳元に唇を寄せる。
「大丈夫だ、ハボック…」
 そう囁いて優しく髪を撫でれば安心しきった吐息を零して眠りに戻っていくハボックにロイはうっとりと笑った。Tシャツを切り裂いて脱がしてしまうと手近のシーツを取り手にしたナイフで細く切り裂く。ハボックの手を背に回すと後ろ手に縛り上げた。棚の上からシーツをよけるとハボックの体を引き上げる。素肌に触れる冷たい棚の感触にハボックの睫が震えゆっくりと空色の瞳が覗いた。
「え…た、いさ…?」
 何をされているのか理解できず不思議そうにロイを見上げるハボックにロイは優しく笑う。体を起こそうとしたハボックは俯せで棚に上体を預けたその背を軽く押さえつけられてようやく縛られている事に気がついた。
「た、たいさっ?!」
「じっとしているんだ、ハボック」
 ロイはそう言うとまだ事態を飲み込めず反応できないハボックの軍靴を脱がす。ロイの手がズボンにかかって初めてハボックは身を捩った。
「何するんスかっ、たいさっ?!」
「じっとしていろと言ったろう?」
「な、に…ヤダッ!」
 グイと下着ごとズボンを引き摺り下ろされてハボックがもがく。だが、後ろ手に縛られた状態で棚に押さえつけられた体はろくに抵抗などできなかった。瞬く間にズボンを剥ぎ取ってしまうとロイはハボックの右足首に裂いたシーツを幾重にも巻きつける。縛ったシーツの紐をグッと引けば片脚立ちの不安定な体勢にハボックは望まずともその胸を棚に預ける形になった。




「ヒッ!」
 ロイは引いたシーツの紐の端をハボックが体を預ける棚の向かいにある棚の支柱の棒に縛り付ける。そうすればハボックは棚に上体を倒して片脚を引き上げられた不安定な体勢で固定されてしまった。
「ヤダァッ!」
 片脚を引き上げられたことで望まずとも脚を開かされ、自身を晒す己のポーズにハボックは羞恥で顔を紅くする。突然のことに混乱した頭でハボックはロイに聞いた。
「なん、で…っ?!」
 ロイが自分にこんなことをする理由が全く判らない。混乱に見開く空色の瞳にロイはうっとりと笑うとその頬に指を滑らせた。
「お前を私のものにするためだよ、ハボック」
「オレを…?」
「そうだ。お前の身も心も全てを私のものにしてやる」
 そう言って昏く笑うロイをハボックは信じられないものを見るように見つめる。敬愛し、恋心すら抱く相手の突然の仕打ちにハボックは恐怖と混乱で頭を振った。
「やめて…やめてください、たいさ…」
 震える声でそう言うハボックには答えずロイは薄く笑う。ロイはハボックの顎を掴むとその空色の瞳を覗きこんで言った。
「私のものだ、ハボック…」
 その昏い熱の篭った声にハボックはゾクリと背筋を震わせる。「嫌だ」と言うより早く唇を塞がれ、歯列を割って侵入してきた舌に口内を蹂躙されてハボックは身を強張らせた。きつく舌を絡め取られて低く呻く。離れたロイの唇が項に強く押し付けられてハボックは悲鳴を上げた。
「ヒ…ッ」
 ロイは項から耳の付け根、肩へと唇を滑らせながら時折きつく吸い上げる。吸い上げた後には綺麗な朱色が白い肌に刻まれていった。肩甲骨に沿って舌を這わせ、ロイはハボックを抱きこむように背後から手を回すとぷくりと硬く尖り始めた胸の頂を指で摘む。くりくりとこねればハボックが悲鳴のような喘ぎを零した。
「ヒャアッ…や、ヤダッ…!」
 ハボックは逃れようと必死に身を捩るが後ろ手に縛られた上に圧し掛かるように押さえつけられた体はびくともしない。なにより大きく開かれた下肢がどうにも不安定でとても体を起こすことなど出来なかった。ロイはハボックの乳首を執拗に攻める。思いもしないところから湧き上がる快感にハボックは嫌々と首を振った。
「や…だっ…いやぁ…っ」
 拒絶の言葉はだが、甘く濡れていてロイは薄っすらと笑う。勃ちあがり始めたハボックの中心を目にすると言った。
「そうだ、忘れるところだったよ。お前の為にせっかく用意しておいたのに」
 ロイはそう言うと一度体を起こし胸のポケットを探る。中から金色のリングを取り出すと言った。
「どうだ、綺麗なリングだろう?わざわざ特注で作らせたんだ」
 そう言いながらロイはハボックの目の前にリングをかざす。金色に輝くリングには内側に幾つもの突起が突き出ていた。ロイはリングに1つキスを落とすとハボック自身に指を這わせる。
「ふふ…もう涎を垂らし始めてるじゃないか。よほど胸を弄られるのが好きらしい」
「あ…ちが…っ」
 必死に首を振るハボックに構わずロイはハボック自身を取ると手にしたリングを熱を孕み始めたそれに嵌めてしまう。きっちりと嵌め込まれたそれにロイは目を細めて笑った。
「思ったとおりだ。とてもよく似合うよ、ハボック」
 ぴったりと自身に嵌め込まれたリングの感触にハボックはゾッとする。これ以上熱を持てばリングは容赦なくハボック自身を縛めることは容易に察せられた。
「イヤだっ…外してっ…はずしてください、たいさ…っっ」
 必死にそう訴えるハボックの様子にロイはクツクツと笑う。蜜を零す先端の穴を指先でくりくりとこねるとハボックの耳元に囁いた。
「可愛いな、ハボック…」
 囁きと共にロイは舌先を耳の中に差し入れる。くちゅくちゅと這い回るそれに背筋を甘い痺れが走り、ハボックの唇から甘い吐息が零れた。這い回る舌先に、胸の頂をこね回す指にハボックは喘ぎその中心には熱が集まっていく。ゆっくりと締め付けられていくそれにハボックはヒクリと喉を鳴らした。
「ア…ふ…」
 恐怖と快感に薄っすらと水の膜を張る空色の瞳にロイはうっとりと笑う。やがて張力いっぱいいっぱいになったそこからほろりと涙が零れると同時にハボックは震える声でロイに尋ねた。
「ど…して…? どうして…こ…なこと、するんスか…? どうして…っ?」
 ハボックにはこうなっても尚ロイがこんなことをするのが信じられなかった。自分が知っているロイはこんなことをするような男ではなく、ハボックはどうしてもその理由が知りたくて尋ねたがロイはただ昏い瞳で笑うだけだった。そう尋ねる間にも中心にはドクドクと熱が集まり、嵌められたリングがギチギチと食い込み内側に突き出た突起がハボックを苛む。ハボックは緩く首を振りながらしゃくりあげた。
「ヤダ…やだぁ…っ、外して…っ、外してくださ…っ」
 後ろでに縛められた手が爪が食い込むほど握り締められる。ロイはハボックの肩に歯を立てながら一方の手でハボックの胸を、もう一方の手でハボックの中心を嬲る。ハボックは大きく口を開き荒い呼吸を吐き出していたが、目を見開くと胸を仰け反らせるようにして体を硬直させた。
「ヒ…ア…イ、く…っ」
 そう吐き出すように呟いた次の瞬間ハボックの体がピクピクと震える。ハボックの中心からはじんわりと白濁が滲んだが実際には熱は吐き出されることはなく、ハボックの身の内で暴れまわった。
「ヒィィッッ…!!」
 生理的な欲求に反して熱を吐き出すことを赦されず、ハボックは己の身を焼く痛みに悲鳴を上げる。ビクビクと震える体を抱きしめて、ロイははボックの頬にキスを落とした。
「ハボック…」
 ハボックの首筋をぞろりと舌で舐め上げるとロイは再びハボックの中心を嬲り始める。綺麗に筋肉のついた背に数え切れない程の朱色を散らし、背骨に沿って何度も舌を這わせ脇腹の皮膚の薄い箇所に歯を立てれば、ハボックの中心は瞬く間に腹に着くほどそそり立っていった。
「ひぅ…痛ぁ…あ、ひ…」
 ギチギチと締め付けるリングにハボックは浅い息を吐きながら涙を零す。こみ上げる射精感に必死に首を振った。
「いやだ…いや…た、いさ…助け…っ」
 先ほどの身の内を焼く痛みを思い起こして、ハボックは必死にロイに助けを乞う。だが、ロイは微笑むばかりで更にハボックを攻め立てた。
「ヒ…い、や…っ、やめて…ヤダッ…イきたくない…っ」
 苦痛の記憶にハボックの全身が恐怖に震える。何度も浅い呼吸を繰り返すハボックに、ロイは容赦なく愛撫の手を強めた。
「あ、あ、あ…」
 せり上がって来るような射精感。普通であれば快楽と開放感を与えてくれる筈のそれは、今のハボックには恐怖の対象でしかなく。
「い、や…っ、大…さっ…たすけ…てっ」
 ブルブルと唇を震わせてハボックは必死に耐える。だがそんなハボックを嘲笑うようにロイは射精を促すようにハボック自身の先端をグリグリと攻めた。
「ヒッ…アッアアア―――ッッ!!」
 ハボックの唇から高い悲鳴が上がり、背が仰け反る。じわりと白濁の滲む中心をロイの手に握られてハボックは痙攣する様に全身を震わせた。
「ヒィィィッッ!!」
 空色の瞳を剥いてハボックは歯を食いしばる。瞳からは幾筋も涙を零し、唇の端からは涎を垂れ流して身悶えるハボックをロイは楽しそうに見下ろした。全身を自身の熱で焼かれてハボックは息も絶え絶えに荒い息を吐き出す。ぐったりと棚に体を預けるハボックの背に優しく口付けるとロイは一度ハボックから身を起こした。上着を脱ぎ捨てシャツも脱いでしまうと改めてハボックに近づく。跪くとハボックの白い双丘を両手で押し開いた。ひくつく蕾を目の前にしてロイは微笑んで舌を這わせる。ぬめりと思いもよらぬところを這い回る舌先にハボックは身を強張らせた。
「やめてっ…も、やだぁっ!」
 羞恥に顔を紅く染め、ハボックは嗚咽を零す。ロイはそんなハボックの声を心地よく聞きながら、指で押し開いた蕾へと舌を差し入れた。
「ひゃっ?!」
 濡れた軟体動物のようなそれがハボックの蕾を這い回る。遠慮なく蕾を出入りするそれをおぞましく感じると同時に、湧き上がってくるえも言われぬ感触にハボックは緩く首を振った。
「ア…アア…」
 認めたくはなかったがそれは確かに快感と呼ばれるもので、ハボックの唇からは熱く濡れたため息が零れる。ロイはその声を楽しみながらハボックの蕾にたっぷりと唾液を流し込んでいたが、顔を上げると濡れそぼった蕾にゆっくりと指を突き入れていった。
「あ、あ、あ」
 柔らかい肉を押し開いて潜り込んでくる指にハボックは目を見開く。グチとかき回されてハボックの喉がヒクリと鳴った。
「ヒ…イァッ」
 自分ですら弄ったことのない箇所を長い指でかき回されてハボックは違和感に唇を震わせる。指がスムーズに動くようになると、ロイは更にもう一本指を差し入れた。二本の指で蕾を開くようにグチグチとかき混ぜる。更にもう一本指を差し挿れて、ロイはハボックの蕾をかき回し押し開き思うままに割り開いた。
「アアッ…アッアッ」
 普段はきつく閉ざしている蕾はロイの指で花開くように押し開かれ中の紅い肉を覗かせている。ロイは舐めるように戦慄く蕾を見つめていたが、乱暴に指を引き抜くとズボンの前を寛げガチガチに育ちきった自身を取り出した。ピタリと押し付けられた硬い感触にハボックは閉じていた瞳を開くと肩越しにロイを見上げる。涙に濡れた瞳で怯えたように自分を見つめるハボックにロイは優しく笑いかけた。
「力を抜いているんだ」
 そう言って押し付けられる熱にハボックは小さく首を振る。
「いや…やめて、たいさ…」
 だが、ハボックの哀願もロイを煽る役にしかたたず、ロイはハボックの腰を抱えると解した蕾へと己を沈めていった。ズブズブと押し入ってくる塊は指などとは比べ物にならぬほど熱く巨大で、ハボックは圧迫感にまともに息をつくこともできない。強張る体はロイの侵入を拒み、空色の瞳からは止めどなく涙が零れ落ちた。
「ア…ヒ…」
 小刻みに体を震わせるハボックにロイは囁く。
「力を抜け、ハボック」
 ロイの言葉にもハボックは小さく首を振るばかりで、ロイはチッと舌を鳴らすとリングに縛められたハボックの中心へと手を這わせた。
「あ…」
 ぞくりと背筋を駆け抜ける快感にハボックの体から力が抜ける。それを見逃さずロイは一気に体を進めた。
「アアアアアッッ!!」
 巨大な牡に貫かれてハボックの喉から悲鳴が上がる。ロイは構わずハボックの体を押さえ込むと乱暴に抜きさしを始めた。一気に最奥をつくと、次には入口ギリギリまで引き抜く。そのたび熱い粘膜を擦り上げられてハボックの唇から熱い吐息が零れる。ロイがある一点を掠めたとき、ハボックの体が大きく跳ね上がった。
「ヒアッ?!」
 脳天を突き抜けるほどのそれが快感だと認識したのは数瞬あとのことで、ハボックは信じられないとばかりに目を瞠った。
「ここがイイらしいな」
 笑いを含んだロイの声が聞こえたかと思うと、何度もその一点を突かれる。ハボックは喉を仰け反らせて声にならない悲鳴を上げた。
「…っっ!!」
 次の瞬間一気に絶頂を迎えた体が何度目かの熱を吐き出そうとする。しかしリングで出口を堰き止められて、熱はハボックの体の中を暴れまわった。
「ヒ…ヒ…ィッ!!」
 目を剥いて体を震わせるハボックの耳元に唇を寄せるとロイは笑う。
「ふふ…可愛いよ、ハボック…」
 そう囁くと同時にロイはハボックをきつく突き上げた。短い悲鳴を上げてハボックは涙で霞む瞳でロイを見上げると呟いた。
「ど…して…?」
 敬愛し憧れ、恋しいと思っていた相手による理不尽な行為にハボックの心は切り裂かれる。すすり泣くハボックの涙に濡れた頬にロイは優しく口付けると言った。
「お前は私のものだ…」
 昏く囁く声が快楽と苦痛に支配されたハボックの心に染み入っていく。ロイは突き入れた自身でハボックを揺さぶりながら低く続けた。
「私のものだ、ハボック…このリング、お前が触れるのは赦さない。触れていいのは私だけだ…」
「アアッ…ヒゥッ…!!」
 囁きながらも激しく突き入れるロイの動きにハボックの唇から喘ぎが零れる。もう何度目かも判らぬ絶頂が近づいていることに気付いて、ハボックは泣きながらロイに強請った。
「はずして…も、ツライ…っ」
 これ以上身の内を焼かれたらきっと狂ってしまう。ポロポロと涙を零す空色の瞳をうっとりと見つめて、ロイは顔を近づけるとその瞳を舐めた。
「綺麗な瞳だ…」
「た、いさ…っ」
 限界を感じたハボックの声が切羽詰ってくる。泣きじゃくるハボックの体を押さえつけるとロイは乱暴に突き上げた。
「いやっ…たいさぁっっ!!」
 そう叫ぶと同時にハボックは綺麗に背を仰け反らせる。唇を大きく開き、全身を小刻みに震わせ、含んだロイをぎゅうと締め付けた。ロイは楽しそうにハボックを見つめていたがその締め付けに僅かに眉を寄せるとハボックの中へと熱を叩きつける。中を焼かれてビクビクと震えるハボックの前に手を回すとハボック自身を縛めるリングをパチンと取り外した。
「ヒッイアアアア――――ッッ!!」
 突然訪れた解放にハボックは高い悲鳴を上げながらびゅくびゅくと熱を吐き出す。だらだらといつまでも白濁を吐き出し続けるハボックをロイは熱を放って尚硬さを保っていた自身で容赦なく突き上げた。
「ヒッ…ヒアッ…アアッ!!」
 快感に震える体を攻め立てられてハボックは涙を零しながら悶える。
「いいな、ハボック…お前は私のものだ、忘れるな…」
 昏く囁く声を聞きながら、ハボックは快楽と苦痛に満ちた闇の中へとゆっくりと堕ちていった。


2008/5/8


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


先日「ファイアーズ・プラン」の古賀恭也さまと遊んでいただいた折、オネダリして書いて頂いたお宝絵です。
私のリクは「ロイハボ無理矢理系職場プレイinリネン室」、オプションで「四肢拘束」更に「イチモツも拘束」でした(笑)
そのリクに120%答えて描いてくださったのがこのステキ絵でありますvvいや〜〜んvもうっ!!涙に濡れたハボックが萌え萌えーーーッッ!!無体なことをされつつも「なんで?」と信じられない表情を浮かべるハボックがタマリマセンッ!!でもって、いつもなら描いて頂くばかりなのですが、今回はこのステキ絵にssをつけろという宿題を頂きまして…!ええっ?!このステキ絵をお題にss?!どうやって?…と思いつつ、恐れ多くも挿絵じゃんっ!!と狂喜乱舞しながら書かせていただきました。とてもあの絵から滲み出る萌えとエロスは表現しきれませんでしたが精一杯書いたつもりですー。最初に絵をリクした時に考えていたのより、ロイがずっと黒くなってしまったのですが、それはそれでヨシ!(おい)この後ハボックはじっくりたっぷり調教されちゃうんだと思いますvでへへvv
絵を描いて頂くだけでも幸せですのに思いがけずエロ錬成の機会まで頂いちゃいました。皆様にもこの絵の感動を少しでもお届けできればと思いますv
そして、恭也さま、いつもながらにステキな絵をありがとうございましたーっvv