| 罠 |
| 「指導教官?」 「はい、セントラルの方から一人、護衛官の研修に来るのですが、その指導教官をハボック少尉にやって貰おうかと考えているのですが」 ロイはホークアイの言葉に考え込んだ。確かにハボックの護衛としての腕前は超一流だ。小隊を率いる隊長としての器にも申し分ない。しかし、指導者としてはどうなのだろうか。むしろこのホークアイの方が向いているような気もするが。 だが、副官としての立場を考えると、ホークアイよりはハボックのほうが適任と言うことになるのだろう。 「期間はどのくらいだ?」 「2週間の予定です」 2週間。短いようで意外と長く感じる長さだ。この期間、ハボックは自分の下を離れ教官として研修としてやってきたヤツの面倒を見ることになるわけだ。正直、ハボックのことに関しては思い切り心の狭い人間と化してしまう自分としてはハボックをたとえ2週間と言えど、他の男の側で過ごさせるなどとても耐えられるものではなかったが、断る正当な理由も見当たらない状況においてはこの提案を蹴るわけにも行かず、ロイは渋々ながらもハボックを指導教官として任命する書類にサインしたのだった。 「J.ロートン・コリンズ准尉であります。よろしくお願いします」 ロイは目の前に立つ背の高い男を見つめた。長身のハボックよりも更に数センチ高い大男だ。濃い茶色の髪に緑色の瞳で女性にもてそうな風貌をしている。書類によれば銃の腕も体術もかなりのものだという。もっともそうでなければ護衛官候補などにはならないだろうが。 「東方司令部司令官のロイ・マスタング大佐だ」 「お噂は予々うかがっております。イシュヴァール戦線の英雄、焔の錬金術師、ですよね」 ご機嫌をとるような猫なで声で言われてロイの眉がぴくりと跳ね上がる。と、同時に体から発せられる不機嫌なオーラに後ろに控えていたハボックは苦笑を浮かべた。おべっかはロイの一番軽蔑する類のものだ。会った早々このような事を口にするようではこの先2週間が思いやられる。しかもその2週間、自分がほぼ全面的に面倒をみることになるのだから笑い事では済まされない。2週間もの間、ロイの側から離れていなければいけないということだけでも苦痛なのにそれ以上面倒ごとを抱えるのはゴメンだった。ロイは尚も何か言い募ろうとするコリンズを制して指先の動きだけでハボックを呼んだ。呼ばれて一歩前へ出たハボックをコリンズに紹介する。 「2週間の間、君の指導教官をするジャン・ハボック少尉だ。護衛官として実務面での指導が中心となる。何か判らないことがあれば彼に聞くように」 「Yes, sir!」 コリンズは敬礼するとハボックに視線を移し、上から下までじろじろと見つめた。値踏みをする様な視線に不快感を感じてハボックは僅かに眉を顰める。 「さがってよし」 不機嫌を包み込んだ声音で告げるロイに敬礼を返し、ハボックはコリンズを連れて執務室を出た。 「2週間、よろしくお願いします」 執務室を出るとコリンズが即座に言ってきた。ハボックはちらりと見上げると「ああ」とだけ返し、司令室の外へとコリンズを促した。 「護衛官として、基本的なことは習ってきたんだろ?」 そう問いかけるハボックにコリンズが答えた。 「はい。一応、半年かけてやってきました」 「だったら、今日はどの程度実践で使えるのか、オレを護衛対象として実際にやってもらおう。それを見た上で今後の方針を決める」 「Yes, sir」 午前中半日かけて護衛官としてのコリンズの腕前を確認したところ、なかなかに文句のつけようがなかった。車の乗降時、部屋の出入りの際、市街での移動、また、小隊の連中を使った模擬の護衛訓練でも申し分のない動きを見せるコリンズに、正直ハボックは驚きを隠せなかった。 (今更ここで研修なんて受ける必要、ないんじゃないのか?) ハボックはそう思いながらも、午後、司令室の一角で細かな注意点をコリンズに指導していく。並んで座るコリンズは膝を摺り寄せるようにハボックに体を寄せて熱心にその言葉を聴いていた。 「だから、こういった場合は…」 紙に書いた略図を指差して説明するハボックの顔に額が付かんばかりにコリンズが顔を寄せて紙を覗き込む。流石にハボックが身を起こしてコリンズから遠ざかろうと視線を上げた先にこちらを見つめるロイの姿が飛び込んできた。無表情なその顔の中で、黒曜石の瞳だけが怒りの焔を浮かべてこちらを見ている。 (やべぇ、何か怒ってる…) 何か拙い事をしただろうかと慌てて思考をめぐらすハボックは説明する言葉が途切れているのも気づかなかった。 「少尉、どうかされましたか?」 コリンズに声を掛けられてハッとする。 「えっ?あ、いや、ゴメン。ちょっとぼうっとしちゃって…」 慌ててロイから視線を戻したハボックはしどろもどろになって答えた。コリンズは肩越しに振り返ってロイがこちらを見ているのを確認する。ニッと笑うコリンズにロイは眉を顰めて執務室へと入っていった。 「マスタング大佐が見てましたね」 「あ、ああ、そうだな」 「なんか怒ってませんでしたか?」 「そうか?あの人は気分屋だからな」 「…ふぅん…」 その話題からいかにも抜け出したいという雰囲気のハボックを見つめたコリンズが冷たく笑ったのを、テーブルの書類に目を落としていたハボックは気がつかなかった。 そのまま5日ほどは何事もなく過ぎていった。コリンズは優秀な生徒でハボックが教えることをどんどん飲み込んで行く。人柄も屈託なく明るい性格で、ハボックとは存外気があった。勤務時間を終えても、どうせ一人だからと言うコリンズに付き合って、ハボックはここのところ毎晩コリンズと呑みに出かけていた。 (大佐、ちゃんとメシ食ってるかな) 放っておくときちんと食事を取らないロイのことが気にならないと言えばウソになる。それに、コリンズの面倒を見る間は普段の仕事から遠ざかっているため、ロイと接する機会が少ないのも辛かった。 (会いたいな、今日は早めに切り上げて家に行っちゃおうかな) コリンズと呑みながらハボックの意識は、今ここにいないロイのほうへと向かっていた。なので、突然コリンズに話しかけられてギョッとする。 「ハボック少尉」 「あ、ああ、な、何?」 コリンズはハボックをじっと見つめていたが顔を寄せると低い声で囁いた。 「ねぇ、アンタとマスタング大佐って付き合ってんだろ?」 ギクリとしてハボックはコリンズを見つめる。 「なに、馬鹿なことを…」 「オレがアンタに触れたりするとさ、すごい顔して睨んでくるんだぜ。『オレのものに触るな』ってカンジでさ」 「そんなことは…」 「それにオレ、見たんだよ。この間、会議室のパーティションの影でキスしてたろ」 昨日、たまたますれ違ったロイにパーティションの影に引っ張り込まれてキスしたのだった。まさか見られていたとは。 「やっぱさ、拙いんじゃないの?大佐ともあろう人がさ。上、狙ってんだろ、あの人?それが自分の部下、しかも男とそういう関係にあるってのがバレると」 「何が言いたいんだ…?」 ハボックは目を細めてコリンズを睨みつけた。だが、コリンズは一向に気にしないようににやりと笑う。 「オレがしゃべったら困るだろ?」 「お前ごときがしゃべった所で誰も信用しないだろう」 「信用するかしないかの問題じゃない。そういう噂が出ることが問題なんだ。あの人の足を引っ張りたいヤツはいくらでもいるだろうからな。そういうヤツらが飛びついてくるだろうってことさ」 ハボックはニヤニヤと笑うコリンズを見つめた。 「…どうしたいんだ?」 険しい表情を浮かべるハボックにコリンズはくくっと笑った。 「大したことじゃないぜ」 そこで言葉を区切ってハボックのほうに顔を寄せて囁いた。 「アンタを抱かせろよ」 「…?!」 「簡単だろ?いつも大佐にヤラセてることと同じ事をオレにさせろよ」 コリンズの言葉にハボックは大きな音を立てて椅子から立ち上がった。空色の瞳が怒りを湛えて冷たく光っている。 「…ムリにとは言わないぜ。ただ、面白い話を聞きたいって連中はごまんといるからさ、セントラルに戻ってなんかの拍子に口が滑るともかぎらないしな」 無言で睨みつけてくるハボックにコリンズはいやらしい笑みを浮かべると胸ポケットから紙片を取り出してテーブルに置いた。 「一日やるよ。その気になったら明日の19時、そこに来な」 コリンズは立ち上がるとハボックの肩を叩いて店を出て行った。取り残されたハボックは唇をかみ締めてテーブルの上の紙片を見つめていた。 アパートに戻ったハボックはソファに座り込んで頭を抱えていた。高みを目指すと言ったロイ。例えどんな小さなことであれ足をひっぱるネタを探しているヤツらはそれこそ山といる。ロイの足枷にだけはなりたくなかった。自分のこの身くらいどうってことないではないか。ほんの少し我慢すればよいのだ。ハボックは握り締めた手を開くと、その中の紙片に書かれた店の名を見つめた。 ハボックの様子がおかしい。このところ朝から晩までコリンズに付きっきりのハボックだったが、今朝はひどく沈み込んでこちらをみようともしない。それに何かにつけてこちらに挑戦的な視線を投げてきていたあのコリンズが、今日はやけに勝ち誇ったような笑みを浮かべているのも気になる。ロイは電話の受話器をとるとある番号をまわした。2コールで相手が出る。 「私だ。頼みたいことがある」 そう言ってロイは受話器の向こうの相手に説明を始めた。 仕事を終えたハボックはひどく重い足取りで司令部の建物を後にした。昨夜あれから随分と悩んだが、結局他に解決策は思い浮かばなかった。唯一つ確かなのはロイの足を引っ張るまねだけはしたくないということだけだ。物思いにふけっていたハボックは、自分の後をつける影があることに気がつかなかった。 のろのろと重い足を引きずりながらハボックはコリンズに指定された店の前に着いた。店の名を確認すると中へと入っていく。店内を見回してまだコリンズが来ていないのを確かめるとカウンタに座って酒を注文した。出てきた酒に手を付けるでもなく、ハボックはぎゅっと手を握り締めてカウンタの上を見つめていた。 『東10番街のfennelと言う名の店です。2階と3階が宿屋になっていて、まぁ、いかがわしい類の連中が出入りするあまり評判の良くない店ですよ』 ロイは電話の相手が説明するのを聞いていた。 「で、ハボックは今、一人なのか?」 『ええ、まだ相手はきてないようですね。どうします?相手が来るのを待ちますか?』 「私はすぐそちらに向かう。君はそのまま相手が来るのを確認して、もし、部屋に入るようであればその番号を言付けておいてくれないか。そうしたらもう、帰ってくれてかまわない。金はいつもの口座に入金しておく。それとくれぐれもこのことは…」 『誰にもいいませんよ。アンタみたいな上客はいませんからね。言われたとおりにしときます』 「…頼む」 ロイは受話器を置くと上着を手に立ち上がった。電話の相手は街の情報屋と呼ばれる男だ。存外口が堅く、信用がおけるので、ロイは部下達を使えない場合にこの男を使っているのだった。ロイは様子のおかしいハボックとコリンズのことが気になり、あらかじめハボックの後を情報屋につけさせたのだった。ロイは険しい表情を浮かべたまま足早に司令部の建物を後にした。 「よう、やっぱり来たのか」 男の声にハボックは顔を上げた。コリンズがニヤニヤとハボックを見下ろしている。 「上に部屋をとってるんだ。そっちでゆっくり話そうぜ」 そう言って2階への階段に向かうコリンズの後にハボックはついて行った。 部屋に入るとそこには部屋の大部分を占める大きなベッドと申し訳程度のテーブルと椅子が置いてあった。ハボックが部屋に入ると、コリンズは部屋の鍵を閉めた。カチリと言う音が妙に大きく耳に響く。 「ここに来たってことはオレの提案を受けるってことだと思っていいんだな」 コリンズは薄く笑うとハボックの顎を捉えていった。ハボックはコリンズの目を見ずに頷く。 「誰にも言わないと…」 「ああ、約束してやるよ」 コリンズはくくっと喉の奥で嗤った。 「最初に見た時から抱いてみたいと思ってたんだ」 そう言ってハボックの背を引き寄せると唇を合わせてきた。舌で歯列をこじ開けハボックの口中へと侵入すると思うままその中を蹂躙する。 「んんっ」 口中を嘗め回す舌の感触にハボックの背筋を悪寒が走りぬけた。あまりの気持ち悪さに眦に薄っすらと涙が滲む。何とかその腕から抜け出そうと、コリンズを押し返そうとするが、逆に足を引っ掛けられてコリンズ共々ベッドへと倒れこんだ。 「うあっ」 ベッドへと沈み込んだハボックの両腕を片手で頭上にまとめ上げると、コリンズはハボックの上着のボタンを外し、Tシャツの中へと手を滑り込ませた。乳首を探り当てると指の腹でぐりぐりと捏ね上げる。 「くぅっ…」 喉を仰け反らせるハボックを楽しげに見下ろすとシャツを捲り上げてもう片方の乳首に唇を這わせる。ぷくりと赤く色づいたそこを執拗に責めたてるとハボックの体がびくびくと震えた。 「いつも可愛がってもらってるみたいだな」 嗤いを含んだ声にハボックが自分を組み敷く男を睨み上げた。だが、次の瞬間ズボンのベルトに手をかけられてハボックの唇から悲鳴に近い声が上がった。 「やめろっ!」 「…いいのかよ、そんなこと言って。オレは別に構わないけどな」 冷たい笑いを浮かべて言い放つコリンズにハボックは絶句した。ハボックの体から力が抜けたのを見ると腕を押さえ込んでいた手を離し、ハボックのズボンを下着ごと剥ぎ取ってしまう。ハボックは声にならない悲鳴を上げて、腕で自分の顔を覆った。コリンズは唇を舐めるとハボックの中心に手を這わせる。びくんと大きく震えたハボックに満足気な笑みを向けるとゆっくりと扱きだした。 「…っ、ふ…っ」 唇を噛み締めてハボックは瞳を閉じた。ロイでない男の手に追い上げられていくことに堪らない恐怖と嫌悪を感じながらも、体はそれを快感と受け止めていくことにハボックは深く絶望した。ぐちゅぐちゅと刷り上げられて射精感が強まっていく。ハボックの瞳から涙が零れ出た瞬間、追い上げられたハボックはコリンズの手の中へ熱を放っていた。 「…っ、た、いさ…っ」 絶望に染まった呟きがハボックの唇から零れる。コリンズがそんなハボックの様子に楽しげに嗤った瞬間、部屋の鍵が吹き飛んで荒々しく扉が開いた。驚いたコリンズが体を起こした時、コリンズの右腕を焔が覆った。 「ぎゃああっっ!!」 コリンズはベッドから転げ落ちると腕を抱えて転げまわる。ハボックが首を回して扉の方を見ると、ロイがゆっくりと部屋の中へ入ってくるところだった。ロイはコリンズを冷たく見下ろしてもう一度指を擦り合わせる。するとコリンズの腕を包んでいた焔が一瞬で消えた。 「次は消し炭にしてやる」 ロイの唇から怒りのこもった低い囁きが零れた。その眼光に射抜かれてコリンズは腕を抱えたまま凍りついた。その側につかつかと歩み寄ると、ロイはコリンズを見下ろして言った。 「2度と私達に手を出してみろ。容赦しない」 がくがくと頷くコリンズにロイは顎で扉を指した。 「出て行け」 よろめくようにコリンズが出て行った後、ロイは扉を閉めてベッドの上のハボックと向き合った。ハボックは何も言えずにただロイを見上げる。ロイの右手がハボックの頬を思い切り殴った。その反動でベッドに倒れこんだハボックの上に乗り上げると、その首に両手をかけてぐいぐいと締め上げる。ハボックは咄嗟にロイの手に自分の手をかけたが、すぐに両脇にだらりと腕を下ろした。怒りを秘めたその黒い双眸の中に悲しみを見つけてハボックは小さく笑ってロイを見上げた。その途端、ロイの両手から力が抜けて、ハボックの肺の中に急激に空気が入ってくる。げほげほとむせるハボックの体をロイが掻き抱いてその唇を塞いだ。息苦しさに薄れる意識の中でハボックはうっとりとその口付けを甘いと感じていた。さっきコリンズにされたものとは全く違う、全身が熔けていくような錯覚を覚えるキスにハボックは夢中で縋っていった。暫くして唇を離したときにはハボックの体からはすっかり力が抜け落ちていた。ロイはハボックの髪をかき上げると、その耳元に囁いた。 「アイツに何をされた?どこに触れられた?全部言え」 ハボックはロイから目を逸らすと小さな声で答えた。 「む、ねを…」 「胸?ここか?」 ロイは言ってハボックの乳首を捏ね上げる。 「どうやって触れた?」 「あ…っ、ゆ、指と舌、で…っ」 その言葉にロイはハボックの乳首を舌で舐め上げ、指を使って捏ね回す。しつこいほどに弄られて赤くはれ上がったソコは快感よりも痛みを訴えていたが、それにもかかわらず、ハボックの中心は熱を集めてそそり立っていった。 「あ、は…っ、たい、さ…っ」 眦を赤く染めて身悶えるハボックに軽く口付けて、ロイは囁く。 「それから?」 「…っ」 唇を噛み締めて目を閉じるハボックの中心にロイは手を這わせた。 「イかされたのか?」 微かに頷くハボックにロイは舌打ちした。這わせた手でゆっくりとハボックの熱を高めていく。ハボックは小さく震えるとロイの首に腕を回してその体に縋りついた。ゆっくりとした動きが徐々に早まってハボックを追い上げていく。ロイの首に回したハボックの腕がびくびくと震えてその快感をロイに伝えてきた。 「あ、ああっ」 熱を吐き出す瞬間、ロイがハボックの唇を塞いだ。ハボックの腕がロイに必死に縋り付いてくるのを抱き返して、ロイはハボックに深く口付けた。長い口付けの後、ロイはハボックに訊く。 「他には?何を…」 その言葉にハボックは首を振った。 「これ以上 はなにも…っ、ホントに…っ」 信じてもらえなかったらと、ハボックの背筋を恐怖が這い上がる。そんなハボックの様子を見つめてロイは体を起こすとハボックの腕を引いてベッドに座らせた。不安を浮かべた瞳を向けてくるハボックの額に口付けて、ロイは囁いた。 「見せてみろ。アイツに何もされてないことを。自分で開いて私に見せるんだ」 ロイの言葉にハボックは目を瞠ったが、それでも何も言わずに足を開いた。唾を飲み込むと蕾に指を這わせ、そっと押し開く。ロイは開かれたソコに視線を這わせるとゆっくりと指を差し入れた。 「…っ」 ハボックが息を呑むのに構わず深く差し入れていく。潤いのない中を弄られて、引きつるような痛みを感じたが、ハボックは唇を噛み締めて耐えた。そんなハボックの様子をロイは黙って見つめていたが、指を引き抜くとその体を抱きしめた。 「訳を言え」 低く囁くロイの胸元に顔を埋めるとハボックは昨日の夜からの出来事を話した。黙って聞いていたロイは最後まで聞き終えるとため息をついてハボックの顎を掴むとその空色の瞳を覗きこんだ。 「全く、見くびられたものだな」 そう言って顎を掴む指に力を込める。 「それしきのことで私が足元をすくわれるとでも思っているのか?」 「たいさ…」 「くだらんことを考えた挙句、私を裏切るつもりだったのか?」 「裏切るだなんて、そんなっ」 「私以外の男に身を任せようなど、裏切り以外の何物でもないだろうが」 ハボックはロイの言葉に一瞬目を瞠ったが、視線を落として唇を噛み締めた。 「今度こんなことをしてみろ、お前を殺してやる」 そういわれて目を上げたハボックはロイの視線に絡め取られて身動きが取れなかった。そんなハボックに噛み付くようなキスをするとそのままハボックを押し倒す。舌を絡めて口内中を弄られ含みきれない唾液が唇の端から零れる。ハボックは激しく貪るような口付けに眩暈を感じながらも必死にそれに答えようとした。ロイはハボックが身に着けていた上着とTシャツをむしり取るように脱がせると、乱暴に愛撫を施していく。そうしてハボックの体中に次々と所有の印を刻んでいった。ハボックはロイに与えられる痛みと快感に身を震わせながらもロイの衣服に手をかけると脱がせようとした。 「たいさ…、ア、ンタのこと、もっと…」 近くに感じさせてくれ、と強請るハボックにロイは自ら服を脱ぎ捨てると再びハボックに覆いかぶさっていった。直に素肌で触れ合ってハボックの心が満たされていく。ロイはハボック自身に指を這わせながらハボックの顔を覗き込んだ。指の動きに合わせてハボックの表情がうっとりと蕩けていく。溢れ出る蜜を後ろに塗りこめるとゆっくりと指を沈めていった。 「ぅんっ…はぁ、…たいさ、ぁ…」 ぐちゅぐちゅとかき回す動きに合わせてハボックの腰が揺らめく。耐え切れないようにロイの腰に猛ったものを摺り寄せてくるハボックにロイはうっすらと微笑んだ。 「ね、は、やく…っ、いれ、て…っ」 イヤらしく強請るハボックの姿にロイの熱も高まっていく。だが、ロイはハボックの蕾からあっさり指を抜き去るとハボックから身を離してベッドの上に座り込んだ。 「たい、さっ…」 ハボックが泣きそうに顔を歪めてロイを呼ぶ。その腕を引いてハボックの身を起こすと、ロイはその耳元に囁いた。 「私が欲しいなら自分で入れてみろ」 そう言われてハボックは目を瞠ったが、言われるままにベッドに座るロイの上に跨るとロイ自身を自分の蕾に宛がった。 「う、ん…っ」 指で蕾を割り開くとロイの先をゆっくりと沈めていく。 「はっ…、あ、ん…」 唇を震わせてなんとかロイを呑み込もうとするハボックを見つめるうち、ロイ自身が更に勢いを増し、迎え入れようとするハボックを呻かせた。 「あ、はぁ、は…っ」 「どうした、欲しいんじゃなかったのか?」 意地悪く囁くロイを軽く睨みつけてハボックは息を吐き出すと、一気に体を落とした。 「ひっ、あああ―――っ」 自重で強引にロイを迎え入れて、引き裂かれる痛みにハボックの意識が一瞬遠くなる。だが、迎え入れた途端、下から乱暴に突き上げられて再び意識を引き戻された。 「ひぁっ、ああっ、うぁ…っ」 強引に揺さぶられて快感と痛みとがごちゃ混ぜになってハボックを襲う。揺さぶられる動きに合わせてロイの腹の上で猛ったハボック自身が白濁した液を振りまきながら揺れる様を見て、ロイはうっとりと笑った。ハボックの頭に手を回し、悲鳴を上げる唇を塞ぐ。唇を塞がれて痛みを逃す術のなくなったハボックの瞳から止めどなく涙が溢れた。繰り返される突き上げにハボックが何度目かの射精を迎え、達する時の締め付けにロイ自身も追い上げられて、ロイはハボックの最奥へ、熱い想いを放っていった。 意識を手放してぐったりとベッドに横たわるハボックの頬をロイの長い指が撫でる。ロイはハボックの顔中に優しいキスを降らせてそっとその体を抱き寄せた。 「お前は私のものだ。誰にも渡さない…。」 そう囁いてハボックの唇に深く口付ける。その時、意識のないはずのハボックの腕がゆっくりとロイに回され縋り付いて来た。その仕草にロイは唇を震わせるとハボックの体を掻き抱いた。 2006/7/3 |
あー、う゛ーっ、オリキャラ警報発令中です〜〜っ。や、どうもオリキャラって難しいっスね…。うちのロイハボのロイは物凄い独占欲の塊の人なので、どんな理由であれハボックが他の男とどうこうなったらマジで殺しかねないと思ってます〜。しかし、最近ただのヘンタイエロオヤジ化したロイばっかり書いていたので、こんな話書いてたんだなぁとしみじみしたり…。それにしても、なんでわざわざセントラルから東方に研修にくるんだよと思わないでもありませんが、そういうとこには目つぶってくださいねっ |