| 睡眠欲 |
| 「ブレダ、何も聞かずに今夜泊めてくれない?」 「はあ?」 ひどく憔悴しきった顔でハボックが言った。ブレダは子供の頃からよく知る長身の友人を見上げる。いつも澄んだ青空のような光を湛える瞳は眠たそうにぼんやりと膜が張って、咥えた煙草も垂れ下がっていかにも元気がない。 (今度は何だよ) ブレダは眉を顰めて考えた。この気のいい友人はどうも子供のころからトラブルに巻き込まれてばかりいる。それも男絡みの人間関係だ。いわゆる惚れただのなんだのってやつ。本人は全くその気がないのに、なぜかやたらと男に懐かれ、しかもそれに本人が気がつかなかったりするから問題が大きくなるのだ。その度に尻拭いをしてやるのはなぜか自分で、バカみたいだとは思うのだが何となくほっとけなくてついつい世話を焼いてしまう。ブレダ自身は姉との二人兄弟なのだが、自分よりデカイこの男がブレダには弟のように思えて仕方がないのだった。 「なあ、ダメか?」 デカイ図体を縮めて不安そうに聞いてくるハボックにため息をついてブレダは答えた。 「ま、いいけどよ」 そういえばハボックがホッと安心したような表情を浮かべる。何も聞かずにとは言ったけれど、一晩あれば理由を尋ねる機会もあるだろうとその時のブレダは思っていた。 「ベッドは一個っきゃないからな。お前はソファ使えよ」 「ん、なんでもいい」 ブレダはハボックと共にアパートに帰ってくるとそういった。上着を脱いでハンガーにかけると後ろから付いてきたはずのハボックに声をかける。 「なぁ、メシどうす…」 振り向いたブレダは目を丸くした。一緒に部屋に入ってきたハボックはソファに凭れかかる様にして既に寝息を立てていた。 「おい…」 取敢えず揺すってみるが全く起きる気配がない。 「どうしたんだよ、一体」 こんなハボックは初めて見る。ブレダはため息をついたがハボックが上着も脱がずに爆睡しているのを見て眉を顰めた。 「おい、上着くらい脱がないと、皺になるぞ」 そう言ったところで答えが返るはずもなく、ブレダはもう一度ため息をつくとソファを抱え込むように眠っているハボックの体をぐいと反してボタンをはずしだした。前を開いて袖を抜こうとしたブレダは、ハボックのTシャツの襟元を見てギクリとする。そこから覗いている朱色はどう見てもキスマークだ。ブレダは思わずTシャツの襟元をそっと伸ばすと中を覗き込んだ。そして拙いものでも見たように慌てて襟を元に戻す。ちらりと見たハボックの肌には数え切れないほどの朱色が散っていた。 「相手は誰だよ」 思わず呟いて死んだように眠り込むハボックを見下ろす。誰かと付き合っているなんて話は聞いていない。判りやすいハボックは彼女が出来ようものなら誰から見てもはっきりそうと判る。だが、今回はまるでそんな感じはしなかった。 ブレダがどうしたものかと悩んでいたその時。 ドン―――っ! 何かが吹き飛ぶ音がしてブレダは慌てて玄関に走った。ひしゃげた扉の向こうに立っていたのは見間違えるはずもない、黒髪の上司。飛び出してきたブレダににっこり微笑みかけるとロイは穏やかな声で言った。 「ブレダ少尉、ハボック少尉はどこだね?」 にこやかに尋ねるロイを見てブレダは竦み上がる。 (こ、こえ〜っ、目が笑ってねぇ…っ) ブレダはごくりと唾を飲み込むと無言で部屋の中を指差した。ロイはつかつかと中へ入っていくとソファで眠り込むハボックを見下ろした。上着の前を乱して眠り込むハボックの姿にロイの眉がピクリと跳ね上がる。 「ハボックに何をした?」 低く聞かれてブレダは飛び上がった。 「何もしてませんっ!」 じろりとロイに睨まれてブレダは上ずった声で叫んだ。 「家に来た途端にそこで眠り込んじまったんですよ!上着が皺になるといけないと思って…それだけですってば!!」 何もしていないのに燃やされてはかなわない。ブレダは必死に言い募った。 「ほんっとに何もしてないっすよ!ホントですって!!」 ロイは暫くブレダを見つめていたが「まぁいい」というと、ハボックの肩に手をかけて揺さぶった。 「ハボック、起きろ。帰るぞ」 ロイに何度か揺すられてハボックはうっすらと目を開けた。ぼんやりと見上げている相手がロイだと気づいてがばりと飛び起きる。 「た、たいさっ?!」 「さっさと立て。帰るぞ」 ロイに引っ張り上げられてハボックはよろめいてロイの胸元に倒れこむ。顔を上げたハボックが肩越しにブレダに縋るような視線を投げたのに、ブレダはぶんぶんと首を振った。 (ムリっ!っつうか、オレを巻き込むんじゃねぇよっ!!) ロイは引きずるようにしてハボックを引っ立てると部屋を出て行く。 「邪魔したな」 ニヤリと笑うロイにブレダは思わず後ずさる。 「って、もしかして相手って…大佐…?」 ブレダは呆然と二人が出て行った扉を見つめるのだった。 「大佐、腕離して下さい」 ぐいぐいと引っ張られるように歩いていたハボックはロイにそう訴えた。ロイはじろりとハボックを見上げると更に乱暴に腕を引く。 「また逃げられたらかなわんからな」 「逃げるって…。別に逃げたわけじゃないっスよ」 睨みつけるだけで腕を離してくれないロイにため息をついてハボックは半ば引きずられるようにして家に帰ってきた。乱暴にベッドの上に突き飛ばされて体を起こそうとした所を膝で乗り上げられてベッドに押し付けられる。 「説明してもらおうか」 黒い瞳に怒りの焔を湛えてロイが言う。ハボックは極まり悪そうに視線を泳がせると小さな声で言った。 「別に説明するほどのことじゃ…」 「何故ブレダ少尉の家に?」 「え、そりゃ寝に行ったんスけど」 「ブレダ少尉と寝るために行ったのか?!」 突然怒鳴ったロイをハボックはびっくりして見上げる。それからロイの言った言葉の意味を理解して慌てて叫んだ。 「違いますよっ!ブレダとどうこうとかじゃなくて、ただ眠かったから寝かせてもらいに行っただけっスよっ!!」 「眠いなら家で寝ればいいだろうが」 そう言って睨みつけてくるロイをハボックは恨めしげに見上げた。 「寝かせてくれないくせに…」 「なんだと?」 低く問い返してくるロイに眠さのあまり思考回路がぷっつんしているハボックは言い返した。 「大佐、ちっとも寝かせてくれないじゃないですか!昨日だって一昨日だって、もうやめてくれって言ってるのにいつまでも離してくれなくて、おかげでこの3日でオレの睡眠時間2時間っスよ!!正直仕事になりませんっ!」 ハボックの剣幕にロイは目を丸くした。 「大佐はしょっちゅうサボって昼寝しに行ってるからいいっスけどね、オレはそういうわけに行かないんですっ! 書類読んだって全然頭に入ってこないし、訓練だって集中できないし、毎日眠くてぶっ倒れそうなんです!」 このまんまじゃ護衛の仕事にだって差し支えますなどと喚き続けるハボックをロイはまじまじと見つめた。怒りにきらきらと光った瞳はいつにもましてとても綺麗でロイは思わずその唇を自分のそれで塞いだ。 「うっ、んんっっ」 入り込んできた舌先が遠慮もなくハボックの口中を嘗め回す。ハボックはあまりの息苦しさにうっすらと涙を浮かべてロイを押し返そうとした。だが逆にその腕を頭上で一まとめに押さえ込まれて身動きが出来なくなる。ロイはTシャツの裾から掌を滑り込ませて、その鍛えられた体を撫で回した。 「ア、ンタっ、ひとの話、き、いて…っ」 身を捩って逃れようとするハボックの乳首をロイは容赦なく捏ね上げた。 「ひっ…、やぁ…っ」 そうしてシャツを捲り上げるともう一方のソレを唇と舌を使って愛撫する。軽く歯を立てるとびくびくと体を震わせてかぶりをふった。 「ゆっくり眠らせてやる」 そう耳元で囁いたロイをハボックが見つめる。 「たっぷり運動した後でな」 一瞬目を瞠ったハボックが、次の瞬間ロイの腕から逃れようと暴れだした。ロイは軍服の肩飾りの紐を引き抜くとハボックの両手をベッドヘッドへと縛り付けてしまった。信じられないものを見るように見上げてくるハボックに笑いかけるとロイはシャツを繰り上げて双の乳首に同時に愛撫を始めた。片方を指で強くこね回し、もう一方に舌と歯できつい愛撫を加える。びくびくと面白いように跳ね上がる体を押さえつけてロイは飽きることなくソコをもてあそび続けた。 「やっ、いた、い…っ、も、や、めて…っ」 いじりすぎて真っ赤になったソコは既に快感よりも痛みを感じるようで、ハボックは泣きながら身を捩った。ロイはそんなハボックの様子を満足げに見下ろすとハボックのズボンと下着を引き摺り下ろした。胸への愛撫ですっかり立ち上がったソコはとろとろと先走りの蜜を垂らしてイヤらしく震えている。 「なんだ、感じているんじゃないか」 ロイは意地悪く囁いて乳首を捻り上げた。 「い、たぁ…っ」 ハボックはあまりの行為に身を仰け反らせて喘ぐ。ハボックの中心からとろりと蜜が滴った。 「痛いのがいいなんて、なんてイヤらしい体だ」 なぁ、ハボックと囁くといやいやと首を振った。爪を立ててねじり上げるとうっすらと血が滲んだソレを、ねっとりと舐め上げる。 「ひあぁっっ」 ぽろぽろと涙を零しながら身悶えるハボックはとても淫猥だった。乳首を散々痛めつけられているにも係わらず、ハボックの中心は高々とそり上がったまま、絶え間なく蜜を零し続けている。 「ホントにイヤらしい体だ…」 ロイの言葉にハボックが必死に睨み返してきた。 「アンタが…っ」 「私が?」 ハボックの言葉にロイはイヤらしい笑みを浮かべた。 「こうされて感じる体にした…か?」 ハボックが息をのんで口をつぐむ。 「お前は私のものだ。たとえどんな理由でも他の男の所にいくなんて許さない」 ハボックはロイの言葉に目を瞠った。 「そんなつもりじゃ…っ」 ロイは尚も言い募ろうとするハボックの脚を大きく開かせると零れる蜜でしとどに濡れた蕾へと指を沈めた。 「あっ、やだっ」 ぐちゅぐちゅと乱暴にかき回されてハボックの体が跳ね上がる。奥まったしこりを突かれてハボックの口から悲鳴が零れた。 「ひぃっ、ひぁ…っ、や、ああっ」 膨れ上がったハボック自身がどくんと白い液体を吐き出した。 「んああああ―――っっ」 「堪え性がないな、ハボック」 呆れたように呟くロイの言葉にハボックがぼろぼろと涙を零した。ロイはそんなハボックの後ろをぐちゃぐちゃとかき回しつつ、熱を放ったばかりの中心を乱暴に扱く。あまりに強い刺激にハボックは続けざまに数度、イかされてしまう。 「ふぁっ、ああっ、たい、さっ、たいさぁ、」 ロイを呼び続けるハボックの顔を覗き込んでロイが答える。 「どうした、ハボック」 「も、ゆる、してっ、なんで、も、する、から…っ」 ハボックの言葉にロイがほくそ笑む。 「なんでも?」 がくがくと頷くハボックにロイは口付けるとベッドヘッドへ縛り付けたハボックの腕を解放した。長いこと固定されていた腕はずきずきと痛みハボックは思わず呻いた。 「ハボック」 腕を擦っているハボックにロイは静かに声をかけた。不安そうに見つめてくるハボックに口付けると服を脱ぐように言う。ハボックは言われるままにまだ身に着けたままだった上着とTシャツを脱ぎ去るとロイの前に立った。ロイはベッドの淵に腰掛けるとハボックを手招きする。 「私の服も脱がせて」 言われてハボックはロイの服を丁寧に脱がせていく。下肢を包む布を引き下ろせばロイの中心が高々と反り上がっているのを見て思わず目を逸らした。 「口でしてごらん」 そう言ってハボックの手を引き自分の前に跪かせる。ハボックはおずおずとロイのものを手に取るとゆっくりと咥えこんだ。 「んふっ…、ん、ぅん…っ」 ぴちゃぴちゃと音を立ててハボックは必死にロイのものをしゃぶり続ける。目を伏せて僅かに眉間に皺を寄せて必死にロイのものをしゃぶる姿はひどくイヤらしく、ロイはそんなハボックを見下ろしてひどく興奮する自分を覚えた。 「美味いか?」 ロイに囁かれてハボックはうっすらと目をあけてロイを見上げる。微かに頷いて更に深く咥えるとじゅぶじゅぶと音を立ててロイに奉仕し続けた。ハボックの痴態と口淫にロイはハボックの口の中へ熱い飛沫を叩き込んだ。ハボックの頭を押さえつけて全部飲み込むように仕向ける。ハボックは喉の奥に叩きつけられた液体を必死に飲み込んだ。 「あ、はぁっ…は…っ」 唇をはなして喘ぐハボックの体を引き上げると優しく口付ける。うっとりと凭れかかって来るハボックの髪を撫でるとハボックの蕾をさすっていった。 「自分でここへ入れるんだ」 ハボックは一瞬目を瞠ったが言われるままにロイの脚の上に跨った。すでに隆々とそそり立っているロイ自身を蕾に宛がう。 「はあ、は…あ…」 先の部分をほんの少し含んだだけで、ハボックは苦しげに息を漏らす。 「ハボック…」 先をうながされて、ハボックは必死に息を吐き出すとそろそろとロイの上へ体を落として行った。 「くっ…、んあ…っ」 震える双丘に手をかけるとロイは一気にハボックを自分の上に引き落とした。 「い、やああああっっ」 ハボックの唇から悲鳴が迸った。ロイはそのまま容赦なくハボックを突き上げる。 「うあっ、い、あ…っ、あは…っ、」 がくがくと体を揺さぶられてハボックが背を仰け反らせて喘ぐ。一際強く突き上げられて反り返ったハボック自身からびゅるびゅると白濁した液体が迸った。 「あ、たい、さっ、おねが…っ」 激しく揺さぶられながらハボックが息も絶え絶えに呟く。 「なんだ?」 「たいさ、の…っ、な、かに、だして…っ」 いやらしく強請るハボックに、ロイは意地悪く聞き返す。 「欲しいのか?」 そう聞かれてハボックは必死に頷いた。 「ほ、しいっ、はやくっ、おね、がい…っ」 身悶えるハボックに満足そうに笑うとロイはハボックを容赦なく突き上げた。 「ひぃっ、…あ、ああっ、すご…っ、イイ…っ」 ハボックが口走った瞬間熱い液体がハボックの中に吐き出された。 「ひあああああ―――っっ」 ハボックは背を仰け反らせ叫ぶとそのまま意識を手放した。 ぐったりと横たわるハボックの体を抱きしめてロイはやさしく微笑んだ。ゆっくりと金色に輝く頭をなでてやれば、意識のないままにロイの胸元に擦り寄ってくる。その額にそっとキスを降らせて、ロイはハボックと共に穏やかな眠りへと落ちて行った。 2006/7/6 |
とにかく眠たいハボの話。一番迷惑してるのはブレダっていう…。いつもとばっちりを食うのはブレダだというのはお約束で(笑) |