「なんだかますます腫れ上がっているみたいだな」
「今日明日が一番腫れるだろうって言われました」
 ロイはベッドに腰掛けたハボックの前に立つと身を屈めてその目元に指を這わせた。傷口に触れられてびくりとハボックの体が揺れる。
「全く、こんな傷作ってくるなんて…」
ロイが腹立だしげに呟くのをきいてハボックが苦笑した。
「子供のおもちゃがあたっただけっスよ。目もなんともなかったし」
「なんともあったらタダじゃおかない」
「大佐、それ、文章ヘンです」
 ハボックは困ったように笑いながら、目もとから離れないロイの指をそっと取った。
「とにかく、もう大丈夫ですから」
そう言うハボックにロイは眉を顰めた。
「大佐」
 宥めるように言うハボックの両肩に手を置くとロイはその瞳を覗きこむようにして呟く。
「たとえどんなに小さな傷でも私の知らないところで作ってくるのはイヤなんだ」
 そうして手に力を込めればハボックの体はどさりと背後のベッドに倒れこんだ。自分の両脇に手を突いて覆いかぶさるロイを見上げてハボックは笑った。
「大佐、オレのこと幾つだと思ってるんです?」
 器用に片眉を上げるロイを見つめて
「子供じゃないんスから」
 そう言いながらくすくす笑うハボックにロイも小さく笑う。
「まぁな。子供にはこんなこと出来ないしな」
 そう言って笑うハボックの唇を塞いだ。
「ん…」
 舌を絡めて口中を弄りあう。互いの唾液が混ざり合って含みきれない分が唇の端から銀色の糸になって零れた。相手の衣服に手をやって脱がしあう。服を全部落としてしまうとロイは改めてハボックの顔を覗き込んだ。前髪を掻き上げて、赤黒く腫れあがった眦に舌を這わせる。びくっと体を震わせてハボックはロイを押しやった。
「痛いっスよ、たいさ…」
 顔を背けるハボックにロイはにやりと笑ってその項に歯を立てた。
「…っ」
 ちくりとする痛みにハボックは顔を顰めた。
「人が怪我してくると怒るくせに…」
「私がつける分にはいいんだ」
 しれっとして言うロイをハボックは軽く睨んだ。
「サイテー…」
「なんとでも」
 最低で結構、と囁いてロイはハボックの体を何度もきつく吸い上げる。僅かな痛みとともに疼くような快感を感じてハボックは身を捩った。鮮やかな朱がハボックの体に刻まれていく。
「たいさっ、あと、つけな、いで…っ」
 訓練やら外での仕事の後、司令部のシャワールームを使うことの多いハボックは痕をつけられるのを嫌がる。部下達からからかわれると居た堪れない気持ちになるからだ。それを知っていて、だが、ロイはいつもわざとハボックの肌に所有の印を刻んでいく。ハボックが自分のものであることを主張したいがために。
 綺麗な朱を刻みながら降りていったロイの唇がハボック自身に辿りつき、半ば立ち上がったソレにちゅっとキスを落とした。熱い口中に導いて強く弱く吸い上げれば忽ち硬度を増して先走りの蜜を零す。
「ふ…っ、う、んっ…」
 シーツを蹴るようにして脚を突っ張って、快感を逃がそうとするハボックの後ろにロイは手を回すとつぷりと指を差し込んだ。そのままぐちぐちとかき混ぜてやるとハボックの体が大きく跳ねた。
「い…っ、はぁっ…、たい、さ…っ」
 前と後ろを同時に攻められて、耐え切れない快感にハボックの瞳から涙が零れる。びくびくと震える内股をきつく抱えて押し開けば、その痛みすら快感に変えて、ハボックは腰を揺らめかせた。
「た…さっ、もっ…」
 我慢できないと訴えるハボックの様子にロイはうっとりと微笑んで、埋めた指を引き抜くとハボックの脚を抱え上げて自身をゆっくりとハボックの中へと進めていった。
「あ、あ、あ、たい、さぁ」
 割り開かれる感覚に耐え切れず、縋り付いて来るハボックを抱きしめるとロイはその唇を塞いだ。苦しい息を止められてハボックがロイの肩に爪を立てる。その痛みすら喜びに感じて、ロイは思い切りハボックの最奥へと己を打ちつけた。ハボックが上げた悲鳴を熱い吐息とともに飲み込んで、ロイはハボックの口中を蹂躙する。息苦しさにぼろぼろと涙を零しながらハボックは自分を貫く男に縋りついた。その顔を見たくて唇を離すとロイはハボックの髪を掻き揚げた。肌に触れた指の感触に引き瞑っていた目をあけてハボックがロイを見上げる。情欲に濡れた空色の瞳にハボックを犯すロイ自身が一際膨れ上がった。
「は…っ、やぁ、も、ムリ…っ」
 苦しがって逃れようと無意識にもがくハボックの体を押さえつけて、ロイは激しく腰を打ちつけた。
「ハボック…っ」
 名前を呼べばロイをくわえ込んだソコがぎゅっと引き締まってロイを呻かせる。
「たいさぁ…っ」
 激しい抽送に追い上げられてハボックはびゅくびゅくと白い液体を二人の腹の間に撒き散らした。それと同時に締め上げられたロイがハボックの中へ熱いものを迸らせた。
「くぁ…っ、熱…っ」
 身の内を濡らす熱にハボックが喉を仰け反らせて体を震わせる。ロイはそんなハボックを引き戻すと噛み付くように口付けた。
「ふっ…んく…っ」
 涙を零しながら必死に口付けに応えようとするハボックにロイは堪らない愛しさを感じて、そのことがまだハボックの中に穿ったままの自身を熱く滾らせていく。押し開かれる感触にハボックは耐え切れずに喘いだ。
「ああっ、た、いさ…っ、…ひっ」
 ロイはハボックの脚を掲げると、繋がったまま強引にその体を反した。後ろから深々と貫かれてハボックの唇から呻き声が漏れる。
「ア、ンタ…ひでぇ…っ」
 ハボックがシーツに顔を埋めて抗議するのにロイは苦笑するとハボックの中心へと指を絡ませた。
「んっ、はぁ…っ」
 与えられる快感に自分の体がどろどろと溶けて崩れていくような気がして、ハボックはシーツに顔を擦り付けた。
「ハボック…」
 肩口に落ちてくる熱い囁きに無意識に腰が揺れてしまう。そんなハボックの様子にロイはますます煽られて、より深くハボックの中を犯した。
「くぅ…っ、もうっ」
 勘弁してくれと、苦しい息の中訴えるハボックをロイは追い上げていく。
「あっ、やぁ…っ、たいさっ、たいさ…っ、…あああ―――っっ」
 背を仰け反らせて達したハボックに続いて、ロイもハボックの中へとその熱を吐き出していった。


 散々に愛された体はぐったりとベッドに沈みこんで指一本動かすのも儘ならない。ハボックはシーツに顔を埋めて自分の髪に指を絡めているロイを横目で見上げた。視線に気がついたロイがハボックの眦にキスを落とす。ハボックはうっすらと笑って唇の動きだけでロイを呼んだ。そんなハボックにどくりと鼓動を跳ね上げてロイは俯せたハボックの体を反した。
「あ…っ」
 行為の後のまだ敏感な体を擦られてハボックの唇から艶やかな吐息が漏れる。しっとりと汗を刷いた肌に指を滑らせ閉じられた奥へと差し入れていけば、くちゅりと濡れた音がしてロイの指をすんなりと飲み込んでいく。
「は、…も、ムリ…」
 力なく首を振るハボックの脚を開かせると、ロイは指をぬいてそそり立った自身をゆっくりと埋めていった。
「んっ…はぁ…っ」
ハボックの唇から感じ入った吐息が零れるのを聞いて、ロイは小さく笑った。
「ちっともムリじゃなさそうだが。」
 ロイの言葉にハボックが空色の瞳に強い光を湛えて睨みつけてきたが、揺すり上げられてたちまちその光が霧散する。
「ああ…っ、は…、も、う、やめ…っ」
「お前が誘ったんだろう…」
「そ、んな…っ」
 絶え間なく責め上げられてハボックの瞳から涙が零れた。唇を寄せてそれを舐め取るとすぐそばの傷にも舌を這わせる。痛みとともにゾクゾクする快感に囚われて、ハボックは息が止まりそうになった。
「も、やだぁ…っっ」
 がくがくと震える体を抱きしめて、ロイはハボックに溺れていった。


2006/6/20


す、すみません…ヤッてるだけっス。うちのロイは絶倫…。