悪戯


 ガタガタっとすごい音が響いて、リビングにいたロイは思わず立ち上がると玄関に様子を見に行った。するとそこではすっかり出来上がっていい気分になっているハボックが気持ちよさそうに床に懐いている。
「ハボック」
「あー、たいさぁ、いま、もどりましたぁ」
 眉を顰めてロイが声をかけるとハボックが実に楽しそうな声で答える。酒には滅法強いハボックがここまで酔うなんて珍しいこともあるものだとロイは思った。
「おい、大丈夫か?」
「ああもう、ぜんっぜんへいきっスよ〜」
 そう言って立ち上がるもののかなり危ない足元に、ロイはハボックに肩を貸した。
「珍しいな、お前がこんなに酔うなんて」
「なんか、飲んだことない珍しい酒が入ったって言うんでそれ頼んだら、これが美味くって…」
 ついつい過ごしてしまったのだと言う。とにかく寝室に連れて行こうとするとハボックが浴室の扉にしがみ付いた。
「風呂っ、風呂入りたいんスけど」
「お前、そんなに酔っ払った状態で入ったら湯船で溺れるぞ」
「だあいじょうぶっスよ〜。今日、暑かったから汗かいたし、風呂はいってきま〜す」
 そう言って浴室へと入っていくハボックをロイは心配げに見送った。そのままそこで待っていると暫くしてシャワーの音が聞こえてくる。時々止まりながらも続いたシャワーの音が途絶えて、だが待てど暮らせどハボックは出てこない。ロイはいい加減心配になってそっと浴室の扉を開けた。すると。
 ロイが見たのは湯船の中で転寝するハボックがずぶずぶと湯の中に沈んでいく所だった。
「…っっ!」
 濡れるのも構わず咄嗟に飛び込むとハボックを湯船から引きずり出す。ハボックはくたんとロイの肩口に懐いてすうすうと寝息を立てていた。
「なんで、シャワーだけにしておかないんだっ!」
 このバカ犬っっっと怒鳴った所で既に夢の国の住人となっているハボックには届きはしない。
(下手したら夢の国じゃなくて天国の住人になっているだろうがっ)
 ロイはハボック体をタオルで包むと抱きかかえて2階の寝室へと運んだ。ハボックをベッドに下ろし、ブランケットをかけてやると濡れたシャツを脱ぎ、新しいものに着替える。まったくとんでもない犬だとぶつぶつ零しながらそれでも大事に至らなかったことにホッとして、もう休もうとベッドに戻ってきたロイは、ハボックの姿を見てフリーズした。
 ちゃんと体を覆うようにかけておいたブランケットを蹴飛ばし枕を抱きかかえて眠るハボックは、体の前こそ抱えた枕で隠れているもののそれ以外は一糸纏わず丸見えの状態だった。綺麗に筋肉のついた背中が呼吸にあわせてゆっくりと上下する。くびれたウエストから双丘へと続くラインは酷く悩ましげでロイの鼓動を不規則に乱していった。
 ロイはそっと手を伸ばしてまだ湿り気の残るハボックの髪をかき上げる。首筋から背骨を辿り、つ、と滑らせた指でそっと双丘の間を掠めればぴくんと体が震えた。
「ん…」
「ハボック…?」
 起きたのかと顔を覗き込むがその唇からは相変わらず規則正しい寝息が零れていた。ロイはハボックの肩を掴むと横向きに枕を抱えていた体を仰向けにして、その腕から枕を取り上げた。力の抜けた体は惜しげもなくロイの目の前にその鍛えられた綺麗なラインを曝け出す。考えてみればハボックの意識のある時はこんなにじっくりとハボックの体を見たことはなかったように思う。ロイはハボックの喉仏から胸の間を通り臍のくぼみをくすぐり淡い繁みへと指を滑らせて行く。金色の繁みの中に半ば隠れたハボック自身にそっと指を這わせた。きゅっと握り締めながらハボックの上へ体を倒すと、薄く開いた唇に口付ける。舌を口内へ差し入れ思う存分蹂躙し、手の中のハボックを扱いていけばゆっくりとだが確実にそこは熱をもって硬度を増していった。
「う…ん…」
 微かに身じろぐものの相変わらずハボックは起きる気配がなかった。
(意外と起きないものだな。まぁ、泥酔してるせいもあるだろうが…)
 ロイは体をずらすとハボックの脚を大きく広げ、ゆるりと立ち上がり始めたソコに愛撫を加え始めた。ぬちぬちと指で扱きその先をちゅると吸い上げる。口中に迎え入れてじゅぶじゅぶと唇で刺激するととろとろと蜜が零れた。
「ん…ぅん…は…」
 僅かに眉を顰めるハボックにロイはくすりと笑うとまだ閉ざされた蕾へと舌を差し入れた。熱い襞に舌を這わせ指で開いたソコに唾液を流し込む。ゆっくりと指を差し入れてぐちゅぐちゅとかき回した。
「ふ…んん…」
 脚を閉じて横向きになろうとする体を押さえ込んで差し入れる指を増やしていく。零れる蜜とロイの唾液ですっかり濡れそぼたれたそこはイヤらしくひくひくと蠢いていた。
(いい加減、起きてもいいんじゃないのか…?)
 ロイは思うままにハボックを玩びながら思う。
(やっぱり、反応がないとつまらん)
 眠ってしまっているハボックに散々なことをしておいてロイは勝手な感想を抱いた。ロイは暫く僅かに頬を上気させたハボックの顔を見つめていたが、徐に己を取り出すとハボックの蕾に押し当てる。くちゅりと小さな水音が響いた時、ハボックの睫が震えた。ゆっくりと目蓋が開いて己の上に圧し掛かるロイの顔をぼんやりと見上げる。
「え…たいさ…?」
 その舌足らずな喋り方にロイはぞくりとする。まだ自分が置かれた状況を全く判っていないハボックの脚を押し開くと一気に己を沈めた。
「なっ…あっ…なに…あ、あああ―――っっ」
 ハボックは突然のことに訳もわからず悲鳴を上げる。ロイはそんなハボックにはお構いなしに目覚めたばかりのハボックをがんがんと突き上げた。
「やっ…ちょ…たい、さっ…ああっ」
 ぽろぽろと涙を零すハボックにロイは口づけてその唇を貪った。その間にもハボックを激しく突き上げ続ける。
「んっ…んんっ…」
 どうすることも出来ずに必死にロイに縋り付いてくるハボックにロイの熱が高まっていった。
「ああっ…きつ…っ…な、んで…っ」
 いやいやと首を振るハボックの最奥を穿ちながらロイは囁いた。
「お前がイヤラシイ格好で寝てるのがいけない」
 誘ってるとしか思えなかったぞ、と言うロイをハボックは必死に睨み上げた。
「ア、ンタっ…サイテ…っ」
 普段なら時間をかけてとかされてから施される体を繋ぐと言う行為が、ハボックにしてみれば突然ロイに押し入られて正直怒りと混乱で心はぐちゃぐちゃだった。それでも繋がった部分から湧き上がる快感に上がる声は抑えることも出来ず、乱れる心が空色の瞳から涙になって零れていく。
「も、絶対、ゆるさな…っ」
 喘ぎながらも睨んでくるハボックにロイはぞくぞくするものを感じて乱暴に突き上げた。
「ひっ…あ、ああっ…あああっっ」
 びゅるりとハボックの中心から白濁した液が迸り、含むロイを締め上げる。眉を顰めてその刺激をやりすごしてロイは更に奥を突き上げた。
「ひぃっ…あっ…ああっっ」
 見開いたハボックの瞳からぼろぼろと涙が零れる。ロイは数度突き上げるとその最奥へ熱を叩きつけた。


 ぼすっ!
 ロイの顔にハボックの投げた枕がヒットした。煙草のパッケージやらライターやらティッシュボックスやら、次から次へとロイに向かって投げつけられる。
「ハボック、やめ…」
 投げつけられた枕で飛んでくる物をかわしながらロイはハボックをなんとか宥めようとする。ハボックがガラス製の灰皿を手にするに至って、ロイは慌ててハボックの腕を押さえた。
「おい、私を殺す気か?」
「一度死んでください…っ」
 怒りのこもった低い声で言われて、ロイは今更ながら冷汗をかいた。ロイにしてみればあんな格好を目の前に晒されたら据え膳を美味しく頂くのは当然と思うのだが、ハボックはそう思わないらしい。
「お前だって善がってたじゃ…」
 そう言った途端、ハボックに頭突きを食らってロイはげほげほと咽こんだ。
「こ、のっ、ヘンタイっっ」
 痛む腹を擦りながらハボックを窺えば、目元を染めて涙の滲んだ目で睨みつけてくる。ロイはそんなハボックにくらりと眩暈を覚えて強引にその唇を塞いだ。
「んっ、ん―――っっ」
 暴れるハボックを押さえ込んでその身をシーツに沈める。
「たいさっ」
「好きだよ、ハボック」
 突然の言葉にハボックの顔がみるみるうちに真っ赤になっていった。
「どうしようもないくらい好きだ」
 恥ずかしげもなく言い切るロイにハボックは何か言い返そうと口を開くものの何も言えずに目を逸らした。
「アンタってすげぇズルイ…」
 ぼそりと呟くハボックに嬉しそうに笑って、ロイはハボックへと口づけていった。


2006/8/7



以前拍手リクで「ハボロイで酔った、もしくは寝ているロイを襲うハボ」というのを頂いたことがあったのですが、そのリクを頂く直前にロイハボで「寝ているところを襲う」って言うのを書いたばっかりだったので、ハボロイの方は「酔った所を襲う」になったんですよね、確か。それにしても相変わらず自分中心なロイに振り回された挙句、結局はほだされちゃうハボって…。だからロイが頭に乗るって気がします。