偏愛2  第六章



 ロイがヒューズとなにやら言葉を交わしているのが聞こえる。内容まではわからないが悲鳴がどうのと言っているようだ。だが、ハボックには2人が何を話しているのかなどどうでもよかった。中途半端に煽られて放り出された熱が体の中を渦巻いて、出口を探している。渦巻く熱に苛まれてハボックは震える唇から熱い吐息を零した。
 ロイに早く戻って来て欲しい。戻って来て早くその熱い塊で自分を貫いて欲しい。ハボックはそう思いながら腰を揺らめかせた。ちらりと入り口の方へ目をやるが、ロイが戻ってくる気配はない。
 ハボックの唇からまた熱い吐息が零れた。
 熱い。
 これ以上このまま放っておかれたら気が狂ってしまいそうだ。
 ベッドに四つに伏せたハボックはグイと縛られた右腕を引いた。だが、それはびくともせずに腕は自由にならない。ハボックは震える息を吐きながら縛られてはいない左手を自分の後ろへと回した。くち、と音がしてさっきまでロイを含んでいたソコが戦慄く。ハボックは乾いた喉に懸命に唾を飲み込むと、ゆっくりと己のソコへ指を沈めていった。
「ん…く…」
 沈めた指でそっと中をかき回す。途端に湧き上がる快感に、ハボックは瞬く間に無我夢中になった。指の数を2本、3本と増やしぐちゃぐちゃとかき回す。立ち上がって蜜を垂らす自身を扱きたくて、だが、自由にならない右手の代わりにハボックは体を低くすると、シーツに反り返った自身を擦りつけた。
「う…はあ…あっ」
 ぐちゅぐちゅと水音が響き、ハボックの荒い息遣いが静かに流れていく。体を揺する度に胸から垂れた錘が揺れて、ハボックの乳首を痛めつけた。だがその痛みすらいつしか堪らない快感になっていく。そうしてハボックは我を忘れて必死に自分を慰め続けた。


 もっと何か言いたそうなヒューズを追い返してロイは寝室の扉を閉めた。察しのよい友人のことだ、もしかしたら今ここで何が行われているかなど、とっくに気がついているかもしれない。ロイは軽くため息をついて振り返り、そして。
 目にした光景に目を瞠った。
 殆んどベッドに伏せるように四つに這ったハボックは左手の指を3本、己の蕾に突き立ててぐちゅぐちゅとかき回している。時折もどかしげに自身をシーツにすりつけ、そうかと思うと体を起こして乳首から垂れた錘を揺する。くんと乳首を引かれる痛みに顔をゆがめながらもその中心からは止めどなく蜜が零れていた。
 暫くロイは黙ってその光景を見つめていたが、やがてにんまりと笑うとハボックの側へと寄っていく。自身を慰めるのに夢中でロイが戻ってきたことにも気がつかないハボックの金色の髪を鷲掴むとその耳元に囁いた。
「何をしている?」
 ロイの声にびくんと体を震わせて、ハボックはロイを見上げた。唇から荒い息を零し、その瞳は快楽に潤んでいる。
「あ…たいさ…」
「何をしていると聞いている」
 重ねて尋ねられてハボックは唇を震わせて答えた。
「オレ…我慢できなくて…っ」
 そう呟くとハボックは蕾に沈めた指を開いてみせる。
「たいさの…はやく…っ」
 イヤらしく腰を揺らめかせるハボックをロイは冷ややかに見下ろしていたが、やがてハボックの髪を離すと言った。
「自分で慰めていたんだろう、そこに挿れるのは私のものでなくてもよさそうだ」
 そう言ってナイトテーブルの引き出しを開けると中から男根を模したバイブを取り出す。そうしてそれをぺろりと舐めるとハボックに言った。
「これで好きなだけイくといい」
 ぐっと蕾に宛がわれるソレにハボックの体が強張る。
「やっ…そ、んなの…やだ…っ」
 だが、ロイはハボックの言葉に耳を貸さずにぐぐっとソレを押し込んでいった。
「―――ッッ!!」
 衝撃に悲鳴を上げることもできずに体を仰け反らせるハボックの蕾に根元まで一気に埋め込むとロイはリモコンを手に取る。そうしてスイッチを入れるといっぺんに強の方へとスライドさせた。
「ひいいっっ」
 びくんと大きく体を跳ね上げるハボックの右腕の拘束を解くとロイはハボックの唇に己を押し込んだ。
「んぐうっ」
 そうして強引にハボックの喉奥を突き上げていく。ハボックは両方の口を乱暴に犯されながら、それでもびゅるりと白濁を迸らせた。
「イヤらしいヤツめ…」
 蔑むように呟くロイの声にハボックの目に涙が滲む。己の中で蠢くバイブに快感を煽られながらもハボックは縋るようにロイを見上げた。その瞳にロイは片眉を跳ね上げると言う。
「なんだ、言いたいことがあるなら言ってみろ」
 そう言ってハボックの口を犯していた己を引き抜いた。ハボックは突然流れ込んできた空気にむせながらもロイを見上げると囁いた。
「道具じゃなくて…たいさが…いい、です…たいさが…ほし…」
 必死に囁くハボックをロイは暫く見つめていたが、薄っすらと笑みを浮かべると言った。
「そんなに私が欲しいか?」
 ロイの言葉にがくがくと頷くハボックの体を引き起こすと、ロイはハボックの耳元に囁く。
「それほど言うならくれてやろう」
 そう言って、まだバイブが埋め込まれたままのソコへ自身を宛がう。びくっと震える体を後ろから押さえ込んで、ロイはベッドに腰かけた己の上に跨がせたハボックの蕾へと強引に己の熱をねじ込んでいった。
「ひっ…や…そ、んな…ムリっ」
「欲しいんだろう、私が」
「バイブ…っ、ぬいてっ」
「我が儘を言うな。お前が挿れて欲しいというから挿れてやってるんだ…」
「ああっ…そんなっ」
 ミチミチと嫌な音を立てて、既に巨大なバイブでいっぱいに張り詰めたソコへロイ自身が埋め込まれていく。
「ヒ…ィ…ヒアアアア―――――ッッ!!!」
 引き裂かれる激痛にハボックの唇から絶叫が迸った。


 ロイに追い返されて部屋に戻ったヒューズは、だからと言って眠ることも出来ずベッドへと腰かけた。そうして先程見たロイの姿を思い起こす。昏く沈んだ瞳。そこには狂気の影が見えなかっただろうか。
「どうしちまったんだ、ロイ…」
 ヒューズが頭を抱えてそう呟いた時。
「ヒアアアア――――――ッッ!!」
 夜の静寂(しじま)を引き裂いて聞こえた悲鳴にヒューズは飛び上がった。
「今の…少尉?!」
 ヒューズは寝室から飛び出ると廊下を駆け抜ける。ロイの寝室の前に立つとノックもせず、乱暴に扉を開け放った。
「ロイッ!入るぞっ!」
 そう言って部屋の中に飛び込んだヒューズが目にしたのは。
 ベッドの上で絡み合う二つの体だった。
 ベッドに座り込んだロイは背後からハボックの体を抱きかかえ、そうして滾る自身でハボックの体を貫いている。それだけならただの愛し合う行為として捉えることが出来たかもしれない。だが。
 ロイ自身で貫かれたハボックの蕾を犯しているのはロイだけではなかった。そこには巨大なバイブまでが埋め込まれ、低い振動音を立ててハボックを犯していた。2本の凶器で串刺しにされたそこは無残にも引き裂かれ紅い血を滴らせている。そして時折震えるハボックのその二つの乳首にはクリップが嵌められ、そこから垂れ下がった鎖の先には錘がつけられて、その重みでクリップに挟まれた乳首は真っ赤に晴れ上がってしまっていた。半ば意識を飛ばしているハボックの唇からはだらしなく唾液が零れ落ち、いつもは綺麗に澄み渡っている空色の瞳はどんよりと濁っていた。
「なんだ、ヒューズ。覗きが趣味か?」
 呆然と見つめるヒューズの耳にロイの声が届く。ハッとしたヒューズの視線の先にうっすらと微笑むロイの顔があった。
「ロイ…お前、何を…」
「何って、愛してやってるのさ、ハボックを」
 楽しそうに言うロイに、ヒューズは声を荒げる。
「ふざけるなっ!こんな…暴行じゃないかっっ!!」
 2、3歩ベッドに歩み寄ってヒューズはロイを睨みつけた。
「何が愛してやってるだっ、ただの暴力だろうっ!今すぐ少尉を離せっ!」
 怒りに体を震わせてそう言うヒューズをロイは冷ややかに見つめる。
「なんだ、お前もハボックを抱きたいのか?」
 昏い声でそう囁くロイをヒューズは信じられないものを見るように見つめた。
「何言ってるんだ、俺は少尉を離してやれといってるんだ」
「なぜだ」
 心底判らないと言う響きを載せて返された言葉にヒューズは息を飲む。だが、ぐっと唇を噛み締めると言った。
「こんなの、愛してるなんて言わない。ただの暴力行為だ。少尉を離すんだ、ロイ」
 そう言うヒューズをロイは暫く黙って見つめていたが、やがて口を開いた。
「お前に私の何が判る。私はハボックを愛しているんだ」
 低く呟く声にヒューズの背をぞくりと悪寒が走り抜ける。だが、なんとか気を取り直して尚もロイを説得しようとした時。
「…るさいよ…」
 かすれた声にヒューズもロイもギクリと体を震わせる。
「うるさいよ…アンタに、関係ない…でしょ…」
 ゆっくりと2人が視線を向けたそこには、青白い顔に目だけを輝かせたハボックの顔があった。
「少尉…」
「なにされても…いいんだ、たいさになら…」
 かすれた声でハボックは言う。
「なにされても…ころされたって、いい…」
 そう囁くとハボックはロイの首に腕を絡めた。
「もっと…もっとひどくして…アンタをオレに…きざみつけてくださ…」
「ハボ…」
「すき…」
 そう囁くとハボックは肩越しにロイの頬に唇を寄せる。途端に喉元をロイに噛み付かれて悲鳴を上げた。乱暴に突き上げてくるロイに嬌声を上げながら、ハボックは呆然と2人を見つめるヒューズを見やる。そうしてロイと同じ昏い瞳に狂気の光を宿して囁いた。
「でてけよ…っ、とっととでていけ…っっ」
 その言葉にヒューズはよろよろと寝室から出る。後ろ手に扉を閉めて扉に寄りかかるようにしてずるずるとその場に座り込んだ。微かに聞こえる悲鳴と嬌声にぎゅっと瞳を閉じる。
「そんな…どうして…っ」
 大切な親友とその部下が落ちていった闇を覗き込んだ気がして、ヒューズはぶるりと身を震わせるとよろよろと立ち上がり、家を後にしたのだった。


2007/2/23


前回よりパワーアップを合言葉に(誰との?)趣味まっしぐらの偏愛シリーズでございました。ますますついて来て下さる方はいないのではないかと〜(滝汗)ハボに悪戯ばっかりしていたら、先日某テレビ番組で動物のぬいぐるみを作る時に背骨に入れるロックラインという丸い球状のものが繋がった部品を見て、ハボに挿れてやりたいと、完璧ヘンタイ思考にどっぷり浸かってしまいましたorz とりあえず2人の間に愛はあるって言う結論にしたかったのでこんな形になりましたが、この二人には落ちるトコまで落ちて欲しいって言うカンジです。