第二十八章 |
「ア……アアア……ッッ!!」 ハボックが身を仰け反らせてもう何度目になるか判らない熱を吐き出す。それを追うようにヒューズがハボックの中へ熱をぶちまければ、ハボックの体がビクビクと震えた。 「く……ッ、あ……ああ……」 切ない声を上げて弛緩する体からズルリと楔を引き抜く。ぐったりとベッドに横たわる体を、ヒューズは無言のまま見下ろした。 もう何日もまともに食事をとっていないせいだろう、鍛えられていた筈の体は随分と肉が落ちてしまっていた。その体を哀れむようにそっと撫でれば宙を見つめていた空色の瞳がヒューズを見る。ハボックは涙に濡れた瞳でヒューズを睨みつけて言った。 「……殺してやる」 ハボックの唇から零れた言葉にヒューズは僅かに目を瞠る。ハボックはベッドに肘をついて力の入らない体を持ち上げてヒューズを睨んだ。 「いつか……きっと、殺してやるから……ッ」 これまでハボックはどれほど酷い目に遭わされてもどこかヒューズを憎み切れずにいるようだった。こうなる前にヒューズに対して抱いていた信頼と好意がいつかこの悪夢から自分を救い出してくれると、まるで縋りつくようにそう思い込もうとしていたハボックが、今その空色の瞳に憎悪と哀しみの焔を燃やしてヒューズを見つめていた。 「どうして……?そんなにオレの事、憎いんスか……?」 もう、ロイの元へは戻れない。そう言う己をここまで貶め傷つけようとする理由がハボックには判らない。ただロイを守りたいだけであるのなら、もう十分にその役は果たしているだろうに。 「別に。ロイに聞かせてやりたかっただけだ。アイツはお前に対して余計な幻想を抱いているようだからな。どれだけお前がアイツに対して浅ましく汚らわしい想いを抱いているか、いい加減下らん幻想は捨てろと言ってやりたかったんだよ」 その言葉にハボックの体がピクンと震える。ハボックはヒューズを見つめていた視線を宙に投げて、独り言のように呟いた。 「殺してやる……いつか、アンタを、殺してやる」 そう言ってハボックは視線をヒューズに戻す。その瞳に宿る焔を見ればヒューズの中に昏い喜びが沸き上がった。 どんなにハボックを犯し、その身の奥に己を沈めて彼の中に痕を刻んだつもりでいても、ハボックの気持ちは常にロイへと向かっていた。『嫌だ』と、『やめてくれ』と泣き叫びながらハボックはいつもロイだけを見つめていた。ヒューズに身を任せながら心を占めるのはいつでもロイただ一人だったが。 今、『殺してやる』とその憎悪を向けるのはヒューズだ。二人の間にロイは存在せず、ハボックは真っ直ぐにヒューズに対して感情をぶつけてくる。たとえそれが憎悪と言う歪んだ感情であっても、ヒューズはハボックが自分に対してだけ感情をぶつけてくるのが嬉しくて堪らなかった。 「……いいぜ、殺してみろよ……出来るもんならな」 ヒューズはうっすらと笑みを浮かべてハボックに手を伸ばす。ハボックの体をベッドに押さえつけ、長い脚を大きく広げるとその奥で戦慄く蕾に滾る楔を押しつけた。 「さっさと殺せよ……でないとまたぶち込むぜ?」 「チクショウッ!!離せッ!!離せよッッ!!」 ハボックは力の入らない体を必死に捩って逃れようとする。その努力を嘲笑うように、ヒューズはゆっくりとハボックの中に楔をねじ込んでいった。 「ほら……さっさとしないからどんどん入ってく……」 「あ、あ、あ……ヤダぁ……ッ!!」 「クク……ほぅら、またヤられちまった……本当はヤって欲しくて仕方ないんだろう?」 「違うッ!!」 根元まで深々と貫いてヒューズは笑う。覆い被さるようにハボックに顔を寄せて言った。 「またたっぷりぶちまけてやる……奥の奥まで汚して、たとえここにロイが来ても決してその手を取れないようにな」 「ッッ!!……チクショ……殺してやるッッ!!」 自分だけに向けられるその言葉にうっとりと笑って、ヒューズはゆっくりとハボックを突き上げ始めた。 2011/07/28 |
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