第二十六章


 ヒューズは電話のフックボタンに続いて電話番号を記憶させておいたボタンを押す。そうすれば小さな呼び出し音がハボックの喘ぎ声に被さるようにして寝室の中に響いた。
「……探し回ってて家にはいないか?」
 呼び出し音の数が十を過ぎても先方の受話器が上がる気配がないことに、ヒューズは眉を顰めて呟く。思惑が外れた事を残念に思いながらも無意識にハボックを突き上げれば、キュンと締まる後孔にヒューズは顔を歪めて笑った。
「そんなにコイツが好きか?少尉」
「ンッ、アアッ!やあ……ッ!」
 引き締まった双丘に手を添え小刻みに揺すればハボックの唇から甘い悲鳴が上がる。
「も、や……ッ、ふ、ぅ……んッ」
 ポロポロと苦悶の涙を零しながらも快楽に震えるハボックの顔をじっと見つめていたヒューズは、次の瞬間噛みつくように切ない声を漏らす唇を塞いだ。
「んっ、んんッ!」
 ハボックは涙に濡れた空色の瞳を一瞬大きく見開いて、イヤイヤと首を振る。逃げようとする唇を追いかけて執拗に口づけるヒューズは、そのままになっていた電話のスピーカーからカチリとフックが上がる音が響いたのに気づいた。小さなため息と共に疲れきった声が答えるのを聞いたヒューズの瞳に昏い歓びの火が灯る。ガツンと突き上げれば甘い悲鳴を上げる唇に己のそれを寄せて、ヒューズは言った。
「ロイ以外にキスされるのは嫌か?少尉」
「んっ、や、アッ!」
 強引に唇を重ねようとすればハボックが激しく首を振ってヒューズを押し返す。その仕草にヒューズは低く笑って言った。
「今更キスぐらいどうってことねぇだろ?こんな風に俺に犯されて、体の奥底に散々俺のもんぶちまけられてんのに」
「や、だ……ぁッ」
「ロイに……こうされたかったか?」
 ぐちゅぐちゅと注ぎ込んだものをかき混ぜるようにハボックを突き上げながら囁けばハボックの顔が歪む。新たな涙を零しながらハボックが言った。
「た…さ……たいさ…ぁッ」
 切なく呼ぶ声に合わせてきゅうきゅうと締め付けてくる蕾にヒューズはクククと笑う。
「お前のココがどれだけ熱くてイヤラシイか、ロイが知ったらなんて言うかな」
 そう言うと同時にガツンと突き上げればハボックが背を仰け反らせて悲鳴を上げる。ビュッと二人の腹の間で揺れていた楔から熱を迸らせるハボックを見て、楽しそうに言った。
「凄いな、絡みついてくるぜ、少尉」
「言うな……ッ」
「これがロイのだと思ったら興奮したか?ん?」
「違……ッ」
「クク……ッ、また締まった」
 言葉をぶつける度反応する体を攻め立てながらヒューズは電話を見る。それがまだ繋がったままなのを確認して、声を張り上げて言った。
「どうだ、ロイ!お前の想い人は俺に犯されながらお前に抱かれるのを想像して興奮しまくってるぜ。尻をグチョグチョ掻き回されてイきっぱなしだ!」
『ヒューズ……貴様……ッ』
 電話のスピーカーからまるで絞り出すような低く怒りに震えた声が流れる。決して大きくはないその声は、だが雷よりも大きくベッドの上でまぐわう二人の耳に響いた。ハボックの体がビクッと大きく震え涙に濡れた目が大きく見開かれる。その目が信じられないと言うように電話に向けられるのを見て、ヒューズが言った。
「さっきからずっと繋がってるぜ。お前、ロイのこと呼び続けてたからな、聞かせてやりたいと思ってよ」
「う……そ……」
 信じられないとばかりに見開く空色をヒューズはうっとりと見つめる。涙に濡れた頬を両手で包み込んでヒューズは囁いた。
「可愛いぜ、少尉……もっともっと善くしてやる」
「や、だ……ッ、やだァッッ!!」
 ハボックの悲鳴と同時に電話がブツリと切れる。ヒューズは恍惚とした表情を浮かべながら、呆然と宙を見つめるハボックの体を犯し続けた。


2011/03/03

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