act.27 not truth


「ハボック、さっきのあれは…っ、私は──」
「大佐」
 言いかけたロイの言葉をハボックが遮る。ハボックは1つため息をつくと言った。
「もう、いいっスから。それ以上言わなくてもいいっス。いくらオレが鈍くってももう十分判りましたから」
「ハボ?」
 不安そうに見上げてくるロイをハボックの空色の瞳が見下ろす。ガラスのようなそれにロイはぶるりと身を震わせた。
「それとも、部下達の前でも言わなきゃいられない程、オレのことが気にくわないんスか?」
 ハボックはそう言ってグッと唇を噛み締める。一度目を瞑ってから言葉を続けた。
「判りました。書類にサインして下さい。そしたらすぐアンタの前から消えますから。それで満足でしょ?」
 ハボックの言葉にロイは浅い呼吸を繰り返す。次の瞬間、ロイの手が上がりハボックの頬を思い切り叩いていた。
「ハボのバカっ!わからず屋っ!!お前なんて大ッ嫌いだっっ!!」
 顔をくしゃくしゃにしてそう叫ぶとロイは走り去ってしまう。ハボックはその背を見送りながら叩かれた頬に手を当てた。
「そんな、はっきり言わんでくださいよ…」
 いてぇ…。
 そう呟いたハボックは押さえた頬よりも胸の方がもっとずっと痛むのだった。


2008/2/7