act.24 misunderstanding


 ヒューズと電話で話をして以来、ロイはなんとかハボックの真意を探るべくそれとなく探りを入れてみた。といっても直接
本人には聞けないのでハボックの回りにいる部下達に、だ。
「ブレダ少尉」
「あ、大佐」
 休憩室でソファーに背を預けてぷかぷかと煙草の煙を吐き出している太目の部下にロイは声をかける。ハボックと一番付き合いがあるのはこの男だ。ブレダに聞けばきっと何か判るだろう。
「大佐も休憩ですか?」
「ああ、ちょっと新鮮な空気を吸いに」
 そう言えばブレダが慌てて煙草の火を消す。それを見たロイの方が今度は慌ててブレダに言った。
「あ、いや、そういう意味じゃないんだ。構わないから吸ってくれたまえ」
「…いいんですか?」
「勿論だとも」
 ロイはそう答えると「じゃあ」と煙草を咥えたブレダの口元に誰かが置きっぱなしにしていったライターを取り上げて差し出した。
「…どーも」
 ライターの火で煙草をつけるとブレダはニコニコと笑うロイを胡散臭げに見る。フゥと煙を吐き出すとロイに聞いた。
「で、俺になんか聞きたいことでもあるんですか?」
 ロイがこんな態度に出るのは何か自分から聞き出したいことがあるのだろう。そう見当をつけたブレダがそう聞けばロイは言い出しにくそうに視線を彷徨わせた。
「大佐」
「あー、その…ハボックのことなんだが」
 焦れたブレダが促せばロイが渋々と話し出す。
「ハボックの?」
「私の事を何か言ってなかったか?何か不満があるとか」
「ハボが大佐のことを、ですか?」
 真剣な表情で見つめてくるロイにブレダは「うーん」と唸った。
「不満なら言ってましたけど」
「どんな?!」
「書類を溜めてトンズラこかないで欲しいとか、会議サボった挙句その言い訳を自分にさせないで欲しいとか、訓練に乱入しないで欲しいとか、視察の帰りにお茶するのはやめて欲しいとか…」
 次々と並べ立てられる苦情にロイの体が段々前のめりになっていく。ついにゴツンとテーブルに額をつけると深いため息をついた。苦情の一つ一つはそんなの腹を立てるほどのこともない、可愛いものじゃないか、と思わないでもなかったが、塵も積もればなんとやら、ハボックにとっては日々ストレスになっていたのかもしれない。
(だったらそう言えばいいじゃないか)
 側にいられないなどとヒューズのところに行ったりせずにはっきり言えばいいのだ。そうすれば自分だって改めるところは改めるのに。
「あー、大佐、大丈夫ですか?」
 すっかりへこたれた様子のロイにブレダが心配して聞く。
「大丈夫だ。ありがとう、参考になったよ」
 ロイは引きつった笑いを浮かべながらそう答えると立ち上がった。
(理由がそんなことなら簡単だっ!もう、ヒューズのところに行くなんて言わせるもんかっ!!)
 ムンッと拳を握り締め気合いをいれて立ち去るロイを、ブレダは気味悪げに見送ったのだった。


2007/12/7