act.31 jealousy2


「ハボック少尉」
 中庭でぼんやりと煙草を吸っていたハボックはかかった声に振り向く。ファイルを手にしたホークアイが歩いてくるのが見えて、ハボックは咥えていた煙草を携帯灰皿に放り込んだ。
「中尉」
 視線で用件を尋ねればホークアイは持っていたファイルから数枚の書類を取り出す。ハボックに差し出しながら言った。
「貴方がセントラルに異動になるにあたって早急に後任の護衛官を決める必要があるの。目ぼしい人物をピックアップしておいたからこの中から貴方が最終的に選んでもらえるかしら」
「オレが?」
 書類を受け取ってハボックはホークアイを見つめる。
「ええ。ずっと護衛官を務めていた貴方なら誰が適任か判るでしょう?」
 ホークアイはにっこりと笑うと「お願いね」と戻っていった。ハボックは何も言わずにその背を見送ったがゆっくりと書類に目を戻す。パラリと書類を捲ると中の人物の経歴を読み始めた。
「コイツは、性格細か過ぎて大佐と合わねぇ」
「コイツは気が利かなくて大佐が癇癪起こすの間違いねぇ」
「コイツは……
 次々と書類を捲りながらハボックは呟く。食い入るように見つめていた書類をギュッと握り締めた。
「なんで他のヤツに大佐の背中任せなきゃなんねぇんだよッ」
 ハボックは食いしばった歯の間から呻くように言う。
「大佐の背中守んのはオレだ、誰にも渡さない、渡すもんかッ!!」
 そう叫んでハボックは司令部の中へと走っていった。


2009/01/31