| act.19 drunk2 |
| 「まったく、コイツは…っ」 ロイはベッドの上に上半身を投げ出して眠るハボックを見下ろして呟いた。夜中にふとうそ寒さを感じて目を覚ましたロイは、自分に寄り添うようにしてベッドに体を預けて眠るハボックを見つけたのだった。 今夜はハボックやブレダたちと一緒に飲みに出かけた。この間からどうにも進展しないハボックとの関係に苛々していたロイは、ついハイピッチでグラスを空にしてしまい、気がついた時にはかなりへべれけに酔っていた。ハボックに 「もう歩けない…背負っていけっ…!」 と言った辺りまでは何となく覚えている。呆れた顔で自分を見ていたハボックのことも。おそらくあの後ハボックは自分を家までつれて帰ってくれたのだろう。眠っている自分を寝室まで運び、皺になるからとズボンを脱がせ――。 「ズボンを脱がせるならその先もヤッてみろって言うんだ。この甲斐性なし…っ」 うとうととまどろむ意識の中で、ハボックが「帰ります」と言った気がして側にいて欲しくて腕を伸ばした。ハボックの煙草の匂いが自分を包み込んで、安心して再び眠りに落ちていったのだ。ロイはベッドの上に膝を抱えて座り込むと、眠るハボックの顔を見つめながらため息をついた。思っていたより長い睫に縁取られる目蓋の陰に隠れている空色の瞳が何よりも好きだ。煙草を咥えたまま器用に話す唇も、自分のそれより一回り大きな手も。もっともっと側に近づいて全部全部手に入れたい。 「ハボック…」 ロイは膝の上に頬を寄せてハボックをじっと見つめる。 「ハボック…」 ハボックも少なからず自分を想っていてくれると思っていたのはただの独りよがりだったのだろうか。 これは自分の片恋で、もしかしたらハボックは自分のことなど何とも想っていないのかもしれない。 「ハボ…」 囁くようにロイがハボックの名を呼んだ時。 眠っているハボックの顔が優しく綻んでロイのことを呼んだ。そうして、そのあと続いて唇から零れた2文字の言葉にロイの目が見開かれる。 「…起きてる時に言えっ…バカ…っ」 ロイはくしゃくしゃに顔をゆがめると、膝の上に顔を伏せたのだった。 2007/4/16 |