| act.18 drunk |
| 「たいさ、ほら、着きましたよ?」 ハボックは背中の上で夢うつつなロイに向かって言う。「うーん」と唸ったきり返事が返ってこないのにため息をつくと、ハボックはポケットの中から鍵を取り出してロイの家の玄関を開けた。 「どうしてそんなんなるまで飲むんかな…」 ハボックはそう呟きながら2階への階段をあがる。 「ここだったっけ?」 以前やはり酔っ払ったロイを送ってきた時運び込んだ寝室の扉をうろ覚えであけると、ハボックは中へと入っていった。 「たいさ。おーきーてーっ」 そう言って背中でまどろむ人をゆさゆさと揺さぶったが全く起きる気配がない。 「もう…」 ハボックはブランケットを退けると背中の上からずらす様にしてロイの体をベッドへと下ろした。ぴすぴすと寝息を立てて眠るロイを見下ろしてため息をつく。 「ズボン…脱がさないと皺になるけど…」 どーしよお、と眉間に皺を寄せて考えた。目の前に生脚を曝されたらどうにも理性を保つ自信はない。 「うーーーん」 ハボックは悩んだ末ブランケットをロイの下肢にかけると、ブランケットの中に手を突っ込み手探りでまず軍靴を脱がせる。それから一瞬迷って一つ息をつくと、再びブランケットの影に手を入れた。ロイのベルトを見つけるとカチャカチャとそれを外し、ズボンの前をくつろげる。 「あー、なんか悪いオジサンになった気がする…」 そう呟きながらなるべくロイの体に障らないようにしてズボンを引き抜いた。 「よっと」 ペロンと裏返しになってブランケットから出てきたそれを表に返し、綺麗にたたむとハンガーにかける。それからロイの顔を覗き込むと、額にかかる髪をかき上げて言った。 「じゃ、オレ帰りますけど…。いい夢を、たいさ」 そう囁いて体を離そうとしたその時。 するりと伸びてきたロイの腕がハボックの首に回り、ぐいと引き寄せられる。 「うわっ!」 慌ててロイの頭の横に手をついて、倒れこむのを防ぎながらハボックはロイの腕を解こうともがいた。 「ちょっと、たいさっ!…ってアンタ、寝てんのっ?」 ハボックの首に腕を巻きつけたまま眠っているロイにハボックは呆れた声をあげる。 「信じらんねぇ…。抱き枕か、オレは」 ハボックはそう呟いて何とかロイの腕を外そうとする。ちらりと落とした視線の先で、ブランケットの隙間から覗く白い脚が目に入って、ハボックは慌てて目を逸らした。 「ちょっと、マジ離して欲しいんスけど…っ」 そう言ってジタバタとしつつ、だが眠っているものを起こすのも可哀想だと言う気持ちも働いて、なかなかロイの腕から逃れることが出来ない。しばらく空しい努力を続けていたハボックだったが、腰をかがめているという楽でない体勢にいい加減疲れてぽすんとロイの横に上半身を下ろした。途端、ロイの香りが鼻をついてハボックは慌てて首を振る。 「…ったくもう…っ、人の気も知らないで…」 ハボックはそう呟いてすぐ間近のロイの顔を見つめた。 「ちきしょ…理性が焼き切れそうだっての…」 穏やかな寝息をたてる桜色の唇に口付けたい衝動を必死に抑えてハボックはため息をつく。 「たいさ、オレ…」 ハボックは言いかけて唇を噛み締めるとギュッと目を閉じたのだった。 2007/4/14 |