| act.32 denouement |
| 「おいっ、申請書を返せッ」 もの凄い勢いで走りこんできたかと思うと大声で怒鳴るロイに部屋の中にいた誰もが驚いて顔を上げる。ロイは異動書類を扱っている事務職の女性の机に突進すると書類をガサガサと引っ掻き回した。 「マ、マスタング大佐っ?!」 「ハボック少尉の申請書はどこだっ、返せッ!!」 黒い瞳を吊り上げて怒鳴るロイの形相に飛び上がると、女性は必死になって書類を捲る。だが、ロイが掻きまわした所為でごちゃ混ぜになった書類の山からは、すぐには目的のものは見つからなかった。 「オイッ!!」 「すみません〜っ」 いつものスマートさをかなぐり捨てて詰め寄るロイに女性はすっかり怯えてしまう。それでも必死に書類を探し当てると震える手でロイに差し出した。 「こ、これですっ、大佐っ」 もう今にも処理されるばかりだった書類をひったくってロイはホッと息を吐く。ロイはそれをクシャリと握りしめると言った。 「…んなもの、突き返してやるッ」 そう呟いて部屋を飛び出していくロイを皆が呆然と見送る。 「絶対に……絶対に離してなんかやらないっ」 ロイは呻くようにそう呟いて一直線に廊下を駆けていった。 2009/03/29 |