chapter 3


 ロイが司令室へと廊下を歩いていると、途中の休憩室でハボックがテレビを見ているのが見えた。
「ハボック?」
「あ、大佐」
「何を見ているんだ?」
 真剣な顔をして見ている様子にロイが聞く。
「ニュースでこの間の軍の式典の話やってたんスよ」
 大佐映ってましたよ、と言われてロイは画面を見たが既に次のニュースに変わってしまっていた。
「やっぱカッコいいっスね、大佐。アナウンサーの女の子がベタ褒めでしたもん」
 実際、すごい注目の的でしたしね、と笑うハボックにロイは言った。
「私が映ってたなら護衛のお前も映ってたんだろう?」
 そう聞かれてハボックが苦笑する。
「オレなんて鼻にも引っ掛けてもらえませんよ。誰も見やしませんて」
 そう言うハボックにロイはくすりと笑った。実際の所、誰も見やしないなんてことはなかった。本人が気がつかないだけで、実はかなりモテているのだ。だが、側にいるロイが尋常でなく注目を浴びているので目立たないだけで。ロイは他の事に関しては存外気が回るくせして、自分のことにはからきし気がつかないハボックの性格を好ましく思っていた。それにホンネを言えばいつまでも気がつかない方がいいとすら思っている。
「誰も見てなくても私が見ているよ、少尉」
「は?」
 突然そんなことを言い出すロイをハボックは目を丸くして見つめる。優しく微笑み返されてハボックは頬を染めると言った。
「なに言ってるんスか、アンタ。ほら、早く司令室行かないと中尉に怒られますよ」
 ハボックはそう言うとソファーから立ち上がって休憩室を出て行く。
「本当のことなんだがな」
ロイはその背を見送りながら小さく呟いたのだった。


2007/3/3