chapter 18


「あ、ハボっ!」
 翌朝、司令室にドタドタと走りこんできたブレダはハボックの姿を見た途端声を上げる。扉を後ろ手に閉めながらハボックに近寄ると机の上に手をついて言った。
「おい、夕べは大丈夫だったのかよ。いきなり飛び出して行っちまってアパートに電話しても全然でないし、心配してたんだぞ」
 ブレダはそう言って覗き込んだハボックの顔に思わず息を飲んで口をつぐむ。目を瞠ったまま暫くハボックの顔を見つめていたがその肩に手を置くと言った。
「お前、ひでぇツラして…っ、一体どういうことなんだかちゃんと説明――」
「なんでもないから、ブレダ。心配かけてごめん」
 ハボックはブレダの言葉を遮るようにそう言うと無理やりに笑う。だが、泣きはらして紅くなった目と顔色の悪さがハボックの言葉を裏切っていた。
「なんでもないって、そんなツラして言うことじゃないだろう?」
「ホントになんでもないって。あ、オレ、ちょっと用事思い出したから」
 ハボックはそう言うと逃げるように司令室を出て行ってしまう。
「おい、ハボっ!」
 追おうとして、だがブレダは扉に手をかけたまま走り去るハボックの背を見つめた。
「一体どうしたって言うんだよ…」
 昔からよく知る男の、まるで寄る辺のない子供のようなその様子に、ブレダは追う事も出来ずに立ち尽くしたのだった。


2008/3/6