雨月


「ハボック、お月見しよう。」
「はい?」
ロイの言葉にハボックは思わず窓の外を見る。そこでは先ほどよりは弱まったものの、相変わらず雨が降り続いていた。
「お月見って…雨、降ってますケド。」
「知ってる。」
「じゃあなんで?」
心底判らないという顔をするハボックにロイは答えた。
「雨月って知らないか?」
「うげつ?」
「昔の人はな、雨で月が見えない時でも、その見えない月を楽しんだんだ。」
「へー。」
気のない返事を返すハボックにロイは眉を顰めた。そんなロイにハボックは苦笑を返す。
「なんか負け惜しみみたいっスよ、ソレ。」
「風流を解さないヤツだな。」
ぶすっと唇を突き出すロイにハボックは言った。
「想像力は大事っスけどね。素直に雨そのものを楽しんだ方がよくないっスか?」
問いかけるロイの視線に、ハボックは「例えばね」と言って窓枠に背中を預けるようにして、仰向けに夜空を見上げる
格好で、雨の中窓の外へ上半身を出した。
「何をやってるんだ、お前はっ」
慌てて部屋の中にハボックの体を引き戻すロイに、ハボックは笑った。
「雨が銀の針みたいになって、真上から降ってきますよ。」
「お前なぁ」
呆れたように呟いて、ロイはハボックを見る。ハボックの金髪に雨の滴がきらきらとスパンコールのように輝いていた。
ロイは一瞬目を瞠るとハボックの髪に指を差し入れる。
「そうだな、雨そのものを楽しむのもいいかもしれない。」
ロイはそう呟くと、ハボックの頭を引き寄せてそっと唇を合わせた。


2006/10/7


お月見ネタはハボロイだけにするつもりだったのですが、TVを見ていたら「雨月がどうの」と古○伊知郎が言っていたもので、思わず「いいネタをありがとうっ」
と使わせてもらいました。その割に大した話にならなかったんですけどねー、残念(苦笑)でもきっとロイは雨を楽しむんじゃなくてハボを楽しむんだろうーなぁっ