star festival 2
「たいさぁ、こんなの貰っちゃいましたっ」
煙草を買いに出ていたはずのハボックがバタバタと足音も荒くリビングに駆け込んでくる。ソファーでコーヒー片手
に本を読んでいたロイは、本から顔を上げて目に飛び込んできたものに驚いて目を丸くした。
「どうしたんだ、それ。」
ハボックが肩に載せているのはそれは立派な笹で。わさわさと揺すれば綺麗な緑色の葉が一斉に揺れた。
「タバコ屋のばあちゃんがくれたんスよ。すごいでしょ。一緒に飾りつけしましょうね。」
ハボックはそう言うと早速リビングの片隅に笹を飾るべく用意を始める。普段使っていないスツールやら紐やら
を使って器用に笹を設えてしまった。
「…相変わらず妙なところで器用なヤツだな。」
ハボックの手際の良さに感心したロイがそう言えば
「それ、褒めてるんスか、バカにしてるんスか?」
素直に受け取れないハボックが答える。
「褒めてるつもりだが。」
「なんか褒められてる気がしないんスよね。」
僅かに顔を顰めながらハボックはそう言って、笹と一緒に持って帰ってきた紙袋の中身をテーブルの上に空ける。
色とりどりの綺麗な折り紙にひかれてロイは、ソファーから身を起こすと折り紙を手に取った。
「飾りの作り方なんて知ってるのか?」
「ガキの頃ね、やったことがありますから。」
ハボックはそう言うとロイの顔を見る。
「何から作りますか?」
「どんなのがあるんだ?」
聞き返されてハボックは宙を見据えながら言った。
「そっスね…まあ、一般的なのはあみかざりとか、ちょうちん、わっかつづり、星かざりとかっスかね。」
「難しいのか?」
「や、全然。今ハサミと糊持ってきますから、ちょっと待ってて下さい。」
ハボックはそう言うと物入れの引出しからハサミと糊を持ってくる。そのうち1本をロイに渡すと折り紙を手に
取った。
「じゃ、まずあみかざりから。」
「うん。」
「まず、半分に折って。」
ハボックが折り紙を半分に折るのを見て、ロイも同じように折り紙を折る。
「それからもう一度半分に折る。」
折ったそれをさらに縦に半分に折ると、ハボックはハサミを手にした。
「で、まずこっち側から1センチ幅で切り目をいれてく。端、1センチくらい残してくださいね。それが出来たら反対側
から互い違いになるようなカンジで同じように切り目を入れて…。」
説明しながらどんどん折り紙に切り目を入れたハボックは、ハサミを置くとそっと開いて伸ばした。
「はい、あみかざりの出来上がり。」
「ほおお。」
綺麗に網状に広がった折り紙をロイは目を輝かせて見ていたが、早速自分も切り目を入れていく。最後まで切って
しまうとそっと広げて出来たそれを自慢そうにハボックに見せた。
「どうだっ」
「綺麗にできたじゃないっスか。」
ハボックはにっこりと笑うと出来たそれを受け取って自分の分と一緒に並べる。
「これ、天の川なんスよ。」
「へえ、そうなのか。」
「全部出来たら紐つけて飾りますから。」
「で、次は?」
うきうきした声にロイの方を見やれば子供のように顔を輝かせて次の折り紙の色を選んでいた。
(かっわいいなぁ。)
自分より5つも年上で、普段は至極大人で、自分なんててんでガキで敵いやしないと思うのに、こういう時のロイは
まるで子供に戻ってしまったように無邪気で可愛い。
(こういうとこ、すっげぇスキ…。)
思わず見惚れていたハボックをロイはジロリと睨みあげると言った。
「おい、次っ!」
「あ、ああ、はいはい。じゃあわっかつづりでも作ります?」
ハボックは慌ててそう答えると折り紙を数枚手元に引き寄せる。
「縦に八等分に切ってもらえます?出来れば色んな色のを。」
「縦八等分だな。」
「切ったらそれを輪にして糊で止めて、それに通すよううにして繋げていくんスよ。」
そうして二人して黙々と折り紙を細く切り、それをわっかにして繋げていった。二人で二本ずつわっかつづりを
作ってしまうとロイがそれを持ち上げて満足そうに頷く。
「クリスマスツリーに飾るモールみたいだな。」
「言われて見ればそっスね。」
出来上がったものをやはり纏めてテーブルの隅に置くハボックにロイが言った。
「おい、七夕ならやっぱり星の飾りを作るべきだろう。」
「そっスね。」
ハボックは答えて折り紙を一枚手に取る。
「まず縦横に折り目をつける。それから斜めにも。そしたら、こう三角形に畳んで、折り目をつけて…こう折って…
出来上がりっ!」
器用に一枚の折り紙でとんがり五つの星を作ってしまったハボックの手際を、呆然と見ていたロイは、ハッとして
自分も折り出すがどうにも上手くいかない。
「そこ、そうじゃなくて…。」
「こうか?」
「じゃなくて。」
「…わからんっ」
むぅと頬を膨らますロイにハボックは思わず噴出してしまった。ハボックに出来て自分にはできない事に腹を立てた
ロイはハボックの耳を思い切り引っ張る。
「ハボックのクセに生意気だっ!」
「いててててっっ…なんスか、それ。」
ハボックは痛む耳を押さえて涙の滲んだ目でロイを見た。ぶーと拗ねてしまったロイにハボックは折り紙を2枚
取り出すという。
「じゃ、2枚使って作る星を教えますから。」
そう言って三角形を2枚作るとそれを上下逆さに重ねた。
「ね?これなら簡単でしょ?」
ロイはその星をじっと見つめていたが、納得いかんとかなんとかぶつぶつ呟きながら、それでも三角形を2枚作ると
星の形に仕上げる。
「出来た。」
まだ少し頬を膨らませて、それでもハボックに星を差し出すロイの妙に幼い顔つきにハボックはドキドキしながら
それを受け取った。
(やっぱかわいいっっ!そういう顔、反則だからっっ)
思わず押し倒したくなる衝動を必死に抑えてハボックは紅い折り紙を手にする。
「次は織女作りますね。大佐は牽牛作ってくださいよ。」
「牽牛?」
ロイは首を傾げると折り紙の中から水色のそれを取り上げた。
「途中までは一緒ですから。まず対角線上に一つ折り目をつけて…。」
ハボックが折るのを追いかけるようにロイの手が動いて同じように折っていく。あっという間に雛形に折りあげて
しまうと、ハボックはペンを取り出した。
「大佐だから黒いおめめ、と。」
「なんで織女が私なんだっ?」
織女は女性だろう、と文句を言うロイにあははと笑うと、ハボックは言う。
「牽牛にも顔描いてくださいよ。」
そう言われてロイはちらりとハボックを見ると黄色いペンを取り上げた。牽牛の頭の部分に黄色で髪の毛を描くと
次に水色のペンを取る。そうしてちょっと垂れ気味の目を描き入れると、自慢げにハボックに見せた。
「どうだ。」
「オレっスか。」
ハボックはロイの手から牽牛を取り上げると自分が作った織女と交互に見比べる。それからその二つの雛形の
顔と顔とくっつけてみせた。
「ちゅっ」
きょとんとしてそれを見ていたロイは次の瞬間真っ赤になる。
「ばっ、バカか、お前はっ!」
「あはは、大佐、照れてんの、可愛い〜っ」
「〜〜〜っっ!!」
へらへらと笑うハボックの頭をゴツンと一発殴って立ち上がるロイの腕を、ハボックが掴む。ハッとして見下ろせば
いつもは綺麗な空色の瞳が色を深めてロイを見つめていた。
「たいさ…」
低い声にぞくりと身を震わせればグイと強く腕を引かれる。あっと思う間もなくハボックの腕の中に抱き込まれて
唇を塞がれていた。
「んっ…ぅふ…」
口中を弄られて舌をきつく絡め取られる。呼吸もままならぬほど深く貪られてロイは震える指でハボックのシャツ
を掴んだ。ようやく唇を解放されてホッとしたのもつかの間、耳たぶを甘く噛まれる。
「あっ」
びくんと震えて逃げるように身を引こうとするロイをハボックの唇が追いかけ、耳の中にぬめりと舌が入り込んで
きた。
「たいさ」
這い回る舌と共に囁きを吹き込まれて、ロイはずくんと中心に熱がこもるのを感じる。いつの間にかシャツの中に
忍び込んだ手が、ロイの胸の飾りを探り当てきゅうと摘み上げた。
「あんっ」
思わず零れた甘い声に、ロイは顔を赤らめる。ハボックはくすりと笑うとロイの首筋に唇を寄せた。
「もっと声、聞かせて。」
そう言われてぐりぐりと乳首を押しつぶすように愛撫されれば、自然と声が零れてしまう。
「あっ…やっ」
ふるふると首を振るロイのシャツを肌蹴ると、ハボックはぷくりと立ち上がった乳首に舌を這わせた。
「たいさ…かわいい…」
舌で嬲り指で捏ねまわせばロイの体がビクビクと震える。紅く色づいたそれを軽く噛めばロイが背を仰け反らせて
喘いだ。
「あふ…ああん」
涙を滲ませて喘ぐロイにハボックは喉を鳴らすと下着ごとロイのズボンを剥ぎ取ってしまう。
「あっ…やだっ」
こんな明るいリビングの床の上で大きく脚を広げられて、ロイは悲鳴を上げた。押さえるものがなくなって半勃ち
になったロイ自身にハボックは唇を寄せるとぺろりと舐めあげる。
「ひあっ」
びくっと震えるロイの脚を大きく広げて押さえつけると、ハボックはロイの奥へと舌を差し入れた。ぬめりと濡れた
物が入り込んでくる感触にロイは息を飲む。ハボックは片手で棹を扱きながらロイの蕾に差し入れた舌をぬめぬめ
と蠢かした。瞬く間に硬度を増すロイ自身の先端をぐにぐにと捏ねると手の中の棹が震える。背筋を駆け上がる
快感にロイはハボックの髪を掴むと吐き出す吐息と共に言った。
「ダメっ…も、でちゃう…っ」
そう囁くと同時に猛る自身をハボックが咥えこむ。唇と喉できつく締め上げられて、耐える間もなく熱を放って
しまった。ごくりと飲み込んでしまうと、ハボックはロイの髪を撫でながら耳元に囁く。
「可愛い…たいさ、ダイスキ。」
甘いささやき声にロイは答えることが出来ず、ハボックの胸に顔を埋めた。ハボックの手がするりとロイの双丘
を撫で、戦慄く蕾をやわやわと揉みしだいた。
「ね、いいっスか…?」
情欲に掠れた声で強請られてロイは頬を染めると小さな声で答える。
「ダメって言ったら…?」
その言葉にハボックが笑う気配がして蕾の淵を弄っていた指がグッと差し入れられた。
「聞きませんよ。」
それに、と蕾をかき回しながらハボックが言葉を続ける。
「たいさも欲しいでしょ…?」
耳元で囁かれて体が大きく震えた。悔し紛れにハボックを睨みつければ紺青の瞳で見返されてロイは言葉もなく
息を飲む。その途端グイと引き起こされて床に座り込んだハボックの脚を跨がされた。そそり立つハボック自身に
ゆっくりと貫かれて、ロイは背を仰け反らせて喘ぐ。狭い器官を割り開かれるその感触を逐一追いながら、ロイは
ハボックにしがみ付いた。
「あ、あ、あ」
熱く脈打つ楔に貫かれてロイは荒い息を零しながらハボックの背をかき抱く。大きな手で宥めるように背を撫で
られてロイはほんの少し体を離すとハボックに口付けた。
「ん…ふ…」
ぴちゃぴちゃと舌を絡ませ口中を探りあう。時折唇が離れる合間に、ロイは何度もハボックを呼んだ。
「ハボ…ハボック…」
「ん…たいさ…」
呼ぶたび応えるハボックにロイは何故だか泣きたくなってギュッとしがみ付く。そうすれば抱き返してくるその腕に
ロイは耐え切れずにぽろりと涙を零した。その途端、きつく突き上げられてロイは嬌声を上げる。激しい突き上げに
ロイ自身も腰を揺らめかせて、二人は高みへと登りつめていったのだった。
「よし、出来た。」
ハボックは最後の飾りを笹に取り付けると少し離れてバランスを見る。それからロイの方を振り向くと言った。
「短冊、書きますか?」
そう言われてしどけなくソファーに横たわったロイはふるふると首を振る。
「星にかける願いなんてない。」
きっぱりと言いきるロイにハボックは苦笑した。
「願いは自分の手で叶える、っスか?」
そう言うハボックにロイは手を差し伸べる。
「お前と一緒にな。」
ロイの言葉に一瞬目を見開くと、ハボックは嬉しそうに笑ってロイの手を取った。引き寄せられるままにロイの
体を抱きしめて耳元に囁く。
「明日は晴れるといいっスね。」
そう言うハボックを、ロイは答える代わりにそっと抱きしめたのだった。
2007/7/5
去年の今頃、やっぱり突然思い立って七夕ネタを書きましたが、1年後にまたこうやって書こうとは、その時は全く思いもしませんでした。
続いたんだなぁ、1年…。去年書いたのを読み返してやっぱり少しは書き慣れた様な気がします。(気がするだけかも)折り紙折るシーンが
長くて鬱陶しい気はしますが…(汗)今年はエッチつきにしてみましたが如何でしたでしょう。お楽しみ頂ければ嬉しいです。