さくらさくら2


巻きついてきた腕に引き寄せられるようにハボックはロイに覆い被さるとその唇に口付ける。軽く啄ばむように
キスを交わした後、くすりと笑うハボックをロイは眉根を寄せて見上げた。
「何がおかしいんだ?」
「ん、だって。」
とハボックはロイの唇を指でなぞる。
「桜の花びらにキスしてるみたいだ。」
ほんのり桜色で綺麗っス、と囁かれて、ロイは目をパチクリとさせたかと思うと次の瞬間盛大に紅くなった。
ぐいとハボックを押しのけて怒ったように言う。
「どうしてお前はいっつも恥ずかしいことばかり言うんだっ!」
そう言われて今度はハボックが目をパチクリとさせる。
「どこが恥ずかしいんスか?ホントのこと言ってるだけなのに。」
「何がホントのことだっ、バカッ!」
ジタバタと暴れながらロイはコイツは絶対タラシだと思う。自分のことを散々女タラシだと詰っているくせに、
コイツと来たら女どころか男だってたらしこんでいるに違いないんだなどと、ハボックが聞いたら思い切り
嫌な顔をしそうなことを考えているうち、ロイは段々腹が立ってきた。
「どけっ、ハボックっ!!」
「…何怒ってるんスか?」
せっかく甘い雰囲気になっていたと思ったらいきなり怒り出したロイにハボックはやれやれとため息をついた。
軍部の大半の人間は、ロイ・マスタングと言う人間が非常に冷静沈着で冷徹な人物で、感情などには左右
されないと思っている節があるが、ハボックはその認識は間違っていると思う。猫のように気紛れで、ころころ
変わるその気分にしょっちゅう振り回されている身としては、正直な話本当のところを大声で訴えたい気持ちだ。
今も突然不機嫌になったロイの髪を優しくかきあげて、ハボックはロイを宥めようと笑いかける。
「ねぇ、オレ、なんか気に触るようなことしましたか?」
そう言って優しく髪をかき上げる手を心地よく感じながら、ロイはハボックを睨みつけた。
「うるさいなっ、このタラシっ」
「…はい?」
「どうせ同期の連中やら小隊の連中やらにもおんなじことしてるんだろうっ」
キラキラと怒りに燃える瞳が綺麗だなどとおよそ関係のないことを考えていたハボックは、咄嗟にロイの言った
ことが理解できない。
「えーと、それってどういう…」
意味、と聞こうとした瞬間ロイの膝が綺麗にハボックの腹に入った。
「げほっっ!!」
腹を抱えたハボックの下からするりと抜け出してロイは言う。
「小隊の連中にもそうやって甘い顔みせてるんだろうっ」
「はあっ?やめて下さいよ、アイツら男っスよ?」
「私だって男だ。」
そう言ってロイは蹲るハボックを置いて桜の間を入っていってしまった。
「…なんでいきなりヤキモチやくかな。」
ハボックは腹を擦りながら立ち上がるとロイの後を追って桜の森へと入っていく。そうしてロイの姿を探す内、
ようやくそのほっそりとした姿を桜が舞い散る中に見つけた。
「あ…。」
舞い散る桜を見上げる綺麗な姿はずっとハボックが想い描いていた姿そのものだった。ずっと想いを寄せて
いて、だがそれを告げる術を見つけられなかったあの頃、一人桜を見上げながらきっと桜の中のあの人は
とても綺麗だろうとその姿を想像していた。やっと気持ちを届けて、今その綺麗な姿が自分のものだと思うと
ハボックの心は喜びに満ちていく。降り積もった桜を踏みしめて近づいていけば、ロイは振り向いてハボック
を見た。その黒い瞳はまだほんの少し怒っていたが、ハボックが伸ばした腕から逃げようとはしなかった。
「男でオレが口説こうと思ったのは、大佐が最初で最後ですよ?」
ハボックはそう言うとやんわりとロイを抱きしめる。僅かに顔を背けるロイにハボックは意地悪く囁いた。
「大佐こそ、言い寄る男は山ほどいるでしょうに。」
「…お前以外誰にも言い寄らせてなんているもんか。」
ぶすっとした顔でそう答えるロイにハボックは笑う。
「だったらお互いに問題はないじゃないっスか。オレにはアンタだけ、アンタには…」
オレだけ?と、耳元で囁く声にびくりとロイの体が震えた。ハボックはロイの体を背後の桜の幹に押し付ける
ようにして荒々しく口付ける。微かにもがくその体を身動きできないように封じ込めて、ハボックはその桜色
の唇を貪った。
「んっ…んふ…ぅん…」
ぴちゃぴちゃという水音に混じってロイの甘い声が漏れる。ハボックはロイのシャツの中に忍び込ませた掌で
ロイの肌を撫で回した。見つけ出した胸の飾りをきゅっと摘めばロイの背がしなる。
「あっ…」
「たいさ…」
耳元で囁かれてぞくりと背中を快感が駆け抜けた。首筋をきつく吸われ、肌蹴られた胸元をハボックの舌が
辿っていく。時折走るチクリとした痛みが、ゾクゾクと中心に熱となって集まっていった。
「あっあっ…ハボっ」
濡れた舌先でくりくりと乳首を捏ねられて、ロイはハボックの金髪に指を差し入れる。引き寄せたいのか引き
離したいのか、自分でも判らぬままに差し入れた指で金色の髪を玩んだ。荒い息を零すロイの姿にハボック
は薄っすらと微笑むとロイのズボンに手をかける。下着ごと引き摺り下ろせばロイが息を飲んだ。
「ダメッ!誰か来たら…っ」
「誰も来ませんよ。」
「探しに来るかも…っ」
そう言ってハボックから身を離そうとするロイをグイと引き寄せてハボックは答える。
「中佐が止めてくれますって。」
ロイと自分が2人して姿を消したのだ。きっとヒューズは内心舌打ちしながらも上手く誤魔化してくれるに違い
ないとハボックは思う。もっともあとで恩着せがましく煙草のひとケースくらいは要求されるだろうが。いや、
もしかしたらエリシアへのお土産にケーキを焼けと言われるかもしれない。いずれにせよ、それくらいのことで
ロイとの甘い時間を守れるなら煙草でもケーキでも差し出すつもりのハボックだった。
「たいさ…・。」
ハボックは甘く囁くとロイにそっと口付けていく。そうして片手でロイの中心を擦ってやれば、甘い吐息が口中
に流れ込んできた。
「ん…んんっ…」
鼻にかかったような声にぞくぞくする。ハボックはもっとその声を聞きたくてロイの蕾に指を差し入れた。
「んふっ…んん―――っ」
抗議するようにロイの手がハボックの胸を叩く。その仕草が可愛くてハボックは沈めた指を激しくかき回した。
「あっ…いやっ…やっ」
唇を離してロイがふるふると首を振る。だがその中心からはしとどに密が零れてハボックの指諸共蕾をしっとり
と濡らしていた。指を増やせば縋りつく指が振るえ、腰を揺らめかせる。ハボックはもう我慢がきかずにロイの
脚からズボンを乱暴に引き抜いてしまった。
「ハボックっ…!」
下肢を剥き出しにされてロイが悲鳴を上げる。だが、ハボックはそれに構わずロイの背を桜の幹に預けると
両膝の後ろに手を入れ、そのまま脚を抱えるようにしてロイの体を持ち上げてしまった。
「ハボ…っっ!」
悲鳴交じりの声にハボックの背をぞくんと快感が走る。脚を大きく広げるようにして曝け出した蕾に己を宛がう
と、ハボックはロイを見た。
「あ…」
欲望に濡れた黒い瞳が大きく見開かれてハボックを見つめる。震える唇が「ダメ」と囁くのを聞いて、ハボック
は目を細めた。
「欲しくないの?」
猛る自身でくちゅんと蕾に触れればロイの体がびくびくと震える。とろりと蜜を零しながらひくんと喉を鳴らす
ロイの首筋をきつく吸って耳元で囁いた。
「ねぇ、どうします…?」
意地悪く聞きながら滾る熱でロイの入り口を嬲り続ける。ロイは熱い吐息を零しながら両手を口元に当てた。
「ぅんっ…んくぅ…っ」
「嫌ならやめますけど…。」
そう言えばハッと目を見開いて、顔を真っ赤に染めたロイがハボックを睨みつける。意地悪く何も言わないで
いると、脚を抱えあげられて不自由な体勢のロイが体を揺すったかと思うと、ハボックを迎え入れようとする。
ハボックは僅かに目を瞠ると苦笑して言った。
「無茶するなぁ、もう…。」
「お前だって挿れたいくせに…っ」
泣きそうな顔でそういうロイにハボックはふと真剣な顔になると答える。
「挿れたいっスよ。」
欲情した深い紺青の瞳に射竦められてロイは息を飲んだ。次の瞬間ぐっと突き入れられて、ロイの唇から
悲鳴が零れる。
「ひああああっっ!!」
熱い塊に一気に根元まで貫かれて、ロイの中心から白濁が迸った。
「うううっっ」
ぎゅうぅっと締め上げてくるそこにもって行かれそうになるのをこらえて、ハボックはロイを揺すりあげる。
「あふぅ…あっ…スゴイ…おく、まで…っ」
自重で深々と犯されてロイは喘いだ。こんな奥深くにハボックを感じたことがあったろうか。ガンガンと
突き上げられて、ロイは溜まらず熱を吐き出した。
「あひぃっ…あっ…やあっ」
「あっ…たいさっ…すきっ」
ハボックはロイを突き上げながらその桜色の唇を塞ぐ。桜の幹に預けていた体を引き寄せて抱きしめると
隙間のないようピッタリと体を合わせた。
「んっ…んぅ…っ」
ずちゅずちゅとイヤらしい音が繋がった部分から聞こえ、ロイの喘ぎとハボックの荒い呼吸が混ざっていく。
「ハボック…ハボ…っ」
「たいさぁ…っ」
2人は互いの名を呼びながら花びらの降りしきる中、高みへと駆け上っていったのだった。


2007/4/10

桜なんで一応綺麗に終わってみたくてエチシーンは分けてみましたー。それならえっちは書かんでおけって話ですが、私からえっちを取ったら
何も残らないのではと最近思っております(苦笑)それにやっぱり桜の下で綺麗なロイを抱きたいじゃないですか!…え?そう思うのは私だけ??
そんなこと仰らずにお楽しみ頂けたらうれしいです〜。