piping hot 2


「ごちそうさま。」
そう言って満足そうな顔でデザートの皿を置くロイを見て、ハボックはにっこりと笑う。
「満足しました?」
「ん…」
そう言って目を細めながらコーヒーを口にするロイの傍らに腰かけると、ハボックはその手からカップを取り上げた。
なんだ、と視線で問いかけるロイを腕の中に封じ込めてハボックはロイの耳元に囁く。
「オレはまだ満足してないんスけど。」
そう言うハボックの、まだ手をつけていないデザートの皿を見てロイは言った。
「食えばいいだろう。」
「かぼちゃはもういいんです。」
目の前でにっこり笑う蒼い瞳にロイは首を傾げる。ハボックはロイの首筋に顔を寄せるとぺろりと舐め上げた。
「柚子の香りがする…」
「おいっ」
「こっちが食いたい…」
「なっ…ハ、ボ…っ」
首筋に顔を埋めたまま体重をかけてくるハボックの体を支えきれずにロイはソファーに倒れこむ。押さえ込まれたまま
見上げる視線の先にいつもより深く染まった蒼い瞳を見つけて、ロイの背筋をぞわりと何かが走り抜けた。
「たいさ…」
囁く低い声にどくんと心臓が跳ねる。ロイは動揺する自分を誤魔化すようにハボックから視線を逸らした。
「いいでしょ?」
そう言いながらシャツの中へ手をしのばせるハボックの腕をロイは慌てて押さえた。
「いいなんて、言ってないっ」
「言ってますよ。」
「何言って…っ」
「目がね、シテって。」
かあっと顔が火照って、ロイは言葉に詰まる。深く染まった瞳に見つめられ、熱い掌で触れられるとどうしようもなく
ハボックが欲しくなる。いつからそうなってしまったのか、今ではもう判らないけれど、だが、ロイはそれをハボックに
言ったことはなかった。
「オレが気づいてないと思ってたんスか?」
そんな目して、バレバレ、とくすくすと笑いながら言うハボックに、ロイは悔し紛れに脚を蹴り上げた。
「行儀の悪い脚だなぁ。」
「うるさいっ、離せっ!」
言って再び蹴り上げてくる脚を押さえつけてハボックは楽しそうに言った。
「お行儀の悪い子には躾が大事っスよね。」
そう言うとハボックはロイのズボンを下着ごと剥ぎ取ってしまう。そうしてベルトを引き抜くと、ロイの左の足首と左手首
を繋いでしまった。
「な…はずせっっ」
「人を蹴っちゃいけないって覚えたら外してあげます。」
「っっ」
「それにこの方がよく見えるし…」
そう言ってハボックはロイの白い双丘の狭間に手を這わせた。
「ひっ」
つぷん、とハボックの長い指が中へとねじ込まれる。ぐちぐちとかき回す粘着質な音が響いて、ロイは唇を震わせた。
「い、やっ…ヤダっ…ハボっ」
いつもなら散々に蕩かされてから為される行為を、まだ意識もハッキリしたまま、それも煌々と灯りのついた部屋の
中で施されて、ロイは恥ずかしさのあまり気が狂いそうになる。しかも自分は片手と片脚を縛り付けられ、あられもない
格好をさせられているのに、ハボックはまだきっちりと服を着たままだ。このまま自分だけが乱されていくなんて、
とても耐えられないとロイはふるふると首を振った。
「ハボ…ハボックっ」
ロイは必死にハボックの名を呼んだが、ハボックはうっすらと微笑んだまま深く染まった瞳でロイの様子をじっと見つ
めている。視線でも犯されているような気がして、ロイは自身からとろりと蜜を零した。
「あっあっ」
いつの間にか差し込まれる指が増え、さっきよりもずっと激しくかき乱される。ロイは無意識に腰を揺らして熱い吐息を
零していた。ぐっと奥深くを抉られて、ロイは意識する間もなく熱を吐き出してしまう。体のどこにも、自身にすら
触れられず、ただ後ろを弄られただけでイってしまった事に、ロイは呆然と宙を見つめていた。そんなロイに軽く
口付けてハボックはくすくすと笑う。
「かわいいっスよ、たいさ…」
ハボックの声に、ロイの瞳から堰を切ったように涙が零れた。ひくっとしゃくりあげるロイの頬に唇を寄せて、ハボックは
囁く。
「どうして泣くの?」
「ばか…っ、おまえなんて…キライだっ」
ロイの言葉にハボックはワザとらしくため息をついた。
「すぐキライって言うんスね、素直じゃないったら。」
「キライって言ったらキライなんだっ」
ぽろぽろと涙を零しながらそう言うロイをハボックはうっとりと見つめる。
「そう?じゃあ、キライな相手にシテ欲しくないだろうから…。」
ハボックはそう言うとぐるりとロイの中をかき回し、指を引き抜く。わざと擦るように抜かれる指に、ロイの背筋をゾクゾク
と快感が走った。ハボックは引き抜いた指をぺろりと舐めると立ち上がって煙草を手に取る。そうして、ロイが横た
わったソファーと反対側のソファーに座り込むと煙草を吸い始めた。何も言わずにただ情欲に染まった蒼い瞳に見つめ
られて、ロイの肌が快感に粟立つ。さっき熱を放ったばかりのソコがゆるりと立ち上がり、ロイはハボックを見上げて
唇を震わせた。
「あ…」
ハボックの視線が突き刺さるように感じる。煙を吐き出す唇で、煙草をはさむ指で全身に触れて欲しい。ロイは手足を
縛られた不自由な体でソファーの上で身じろいだ。熱い吐息がロイの唇から零れ、自然と腰が揺れる。ロイは唇を
舐めると、必死の思いでハボックを呼んだ。
「ハボック…っ」
「なんスか?」
普段、仕事をしているときと変わらぬ口調でハボックは答える。ロイは自分だけが欲しがっているような、そんな気が
してぽろぽろと涙を零した。そんなロイの姿に、ハボックは煙草を揉み消すと立ち上がってロイの側に来る。涙に
濡れた黒い瞳が情欲の焔を灯して見上げてくるのをハボックはうっとりと見下ろした。
「欲しいの?」
そう聞いてくるハボックにロイは消え入りそうな声で答える。
「ほしい…ハボが…ホシイ…ッ」
ぽろぽろと涙を零す頬に触れてハボックは嬉しそうに笑った。
「よく出来ました。」
ハボックはそう言うとロイの手足を縛っていたベルトを取り去る。ロイが震える腕を伸ばしてくるのを受け止めて、
ハボックはロイをぎゅっと抱きしめた。
「好きですよ、たいさ…」
そう耳元に囁いてくる声にロイは強請るように唇を寄せる。噛み付くように唇が合せられるのと、みしりとハボックが
ロイの中へ割り行ってくるのがほぼ同時だった。
「ん…ぅん…っ」
みしみしと狭い器官を押し開いて入ってくる感触に、ロイはハボックの背に爪を立てる。布越しに感じる微かな痛み
に、ハボックは薄く笑った。
「あ、ああっ」
根元までぎっちり埋め込むと、ハボックはロイの汗に濡れた髪をかき上げる。その黒い瞳が見たくて、ハボックは
何度もロイを呼んだ。
「たいさ…たいさ…」
呼ばれてうっすらと開いた瞳にハボックは嬉しそうに笑うとその目元に口付ける。
「動きますよ…?」
そう囁くと、ハボックはゆっくりと動き出した。入り口ギリギリまで引き抜き一気に突き上げる。ハボックの動きに合わ
せる様に、やわやわと纏わりつく熱い襞にハボックの体をゾクゾクと快感が駆け抜けた。
「あ…すご…アンタの中…すごい、熱い…っ」
「あっ…ハボっ…ハボ…っ」
ロイの熱い襞に自身が融かされていくような錯覚に、ハボックは乱暴にロイを突き上げた。
「ああっ…やあっ」
びゅくびゅくと、ロイの中心から白濁が迸るが、ハボックは構わずガンガンと突き入れる。ロイが悲鳴を上げて逃げる
ように身を捩るのを引き戻して、ハボックは容赦なくロイを攻め立てた。
「あっあっ…も、ダメ…ひっ、あああっっ」
全身を快感に支配されて、ロイは嬌声を上げる。その綺麗な姿に、ハボックは見惚れながらロイの最奥へ熱を
迸らせた。

ぴちゃと、唇を離す音にロイは一瞬飛ばしていた意識を引き戻される。ゆっくりと目を開けると綺麗な空色の瞳が
自分を見下ろしていた。
「ハボ…」
そう呟いてハボックの体に腕を伸ばそうとして、まだ繋がったままなのに気がついた。途端に顔を真っ赤にすると
ロイはハボックの胸を押しやる。
「おまえっ、いつまで…っ」
「もう少しだけ…。」
夜は長いんだし、と囁いてそっと抱きしめてくる腕に、ロイは仕方がないというようにため息をついて、ハボックの
胸に頬を寄せるのだった。


206/12/23


す、すみません〜〜。あそこで終わりにしとけばいいものを思わず、書いてしまいました。ついうっかり「piping hot」なんてタイトルをつけたもので
ハボにあのセリフを言わせたくて…。すみません、お下劣で。次回こそエッチのない話をっ(←きっとムリ)