花火


「バカっ、こっちむけんな、危ねぇだろうがっ!」
喚くブレダにハボックが面白がって手にした花火を回しながら近づいていく。子供のようにぎゃあぎゃあと騒ぐ彼らを
見ながら、ロイはビールのグラスを口にした。長いこと係わっていた事件が漸くひと段落ついて、今夜はロイの家で
慰労会の運びとなっていた。誰が持ってきたのかいつのまにか花火が始まっており、ハボックとブレダ、フュリーの
三人がすっかり夢中になって次から次へと火をつけては騒いでいた。
「大佐っ、ちょっと下がっててください」
ハボックはそういうと手にした小さい花火を放り投げる。それはしゅるしゅると回転しながら焔を上げるとぱんっと音を
立てて飛び散った。
「花火か、それ?」
あんまり地味なそれにロイが眉を顰めてハボックに問う。
「ねずみ花火って言うんスよ。」
動きがねずみみたいでしょ?というハボックにロイは呆れたような顔をした。
「ねずみ、ねぇ。」
「大佐も花火やりません?」
そう言うハボックにロイは苦笑した。
「いや、私は遠慮するよ。」
ハボックはロイの言葉に不満げに唇をゆがめた。
「面白いのに…」
その時ブレダが呼ぶ声がしてロイはハボックの背を押した。
「呼んでるぞ。」
ハボックは何か言いたげにロイの顔を見たが、そのままブレダの方へ歩いていった。ロイが見つめる先で二人は大きな
筒型の花火を手に言葉を交わしていたが、それを地面に置くとハボックが火をつけて数歩後ろへ下がった。シュッと音
がして筒の先から続けざまに焔が上がる。十数メートル上空でぱんぱんとはじけるそれにハボックたちが歓声を上げた。
子供のように笑うハボックにロイの心臓がとくんと跳ねる。ブレダやフュリーとじゃれ合いながら花火に興じるハボックを
今すぐ抱きしめたい衝動に駆られてロイは苦く笑った。
「楽しそうですねぇ」
グラスを手にしたファルマンに声を掛けられてロイは振り向いた。
「准尉はやらないのか」
「ちょっとやったんですけど、もう危なくって」
ロイが見ていないところで、どうもハボックやブレダが火の付いた花火を振り回したりしてファルマンはかなり怖い思いを
したようだ。フュリーも同様なのだが、その辺は好奇心の強さの差で彼は怖がりながらも一緒になって盛り上がって
いるようだった。
「その内火傷でもしそうですよ。」
ここでホークアイでもいればそろそろいい加減にしろと制止の声が入るところだが、生憎今日はちょっと顔を出しただけで
帰ってしまっていた。おかげでエスカレートするそれは留まる処を知らない。食べるものも尽きてきてそろそろお開きに
する頃合いだ。それを機に花火も終わりにするよう声をかけようとしてロイが振り向いた時、ブレダと何やら言い合って
いたハボックが手にした花火の束に一度に火を点けた。
「あぶな…っ」
誰かが叫んだと同時にハボックの持つ花火が一斉にすごい勢いで火花を散らした。
「あっつっっ」
ロイは咄嗟に手近にあった飲み物を入れてあったクーラーボックスの水をハボックに向けてぶちまける。
「うわっ」
ザバンという水の音とジューッと火の消える音が収まった後には、濡れそぼたれて呆然とするハボックの姿があった。
「大丈夫か?!」
ロイが駆け寄るとハボックは目をパチクリさせて頷いた。そうして手にした花火の残骸に目を落とす。ハボックの視線を
追って花火を見たロイは声を荒げた。
「全く、何をやっているんだ、お前達は!」
ロイに怒鳴られてハボック達は子供のようにしゅんとうな垂れた。ロイは腰に手を当ててハボックたちを見渡すと呆れた
とばかりにため息を付いた。
「もういい。火の始末をしたら帰れ。」
ブレダたちは顔を見合わせたが、結局何も言わずに片づけをするとぼそぼそと挨拶をして帰っていった。ロイは一人
残ったハボックを見ると眉を顰めた。決まり悪そうに目を逸らすハボックの顎を掴むとその顔を覗き込む。
「さっさとシャワーを浴びて来い。言いたいことはその後だ。」
ハボックは黙って頷くと家へ入っていった。ロイは庭を見渡してウンザリしたため息を付くとハボックの後を追う様に
家へと入った。リビングへ入るとどさりとソファーに腰を下ろす。暫くしてハボックがリビングに入ってくるとその顔を
睨みつけた。
「見せてみろ。」
「え?」
「腕だ。早くしろ。」
ロイに言われてハボックはおろおろと視線を泳がす。そんなハボックにちっと舌打ちするとロイは立ち上がってハボックの
腕を掴んだ。
「つっ…っ」
ロイに掴まれたそこは手の甲から手首にかけてうっすらと赤くなっていた。ロイは唇を歪めると薬を取ってガーゼに塗り
傷に貼る。包帯で固定するとハボックが申し訳なさそうに目を伏せた。
「すみません…」
「あんなに纏めて火をつけたら危ないことぐらい子供だって判るぞ。」
そう言われてハボックは返す言葉もなく俯いて唇を噛み締める。
「しかも、火傷なんて。」
ロイが忌々しげに呟くのにハボックは目を上げた。
「大したことないですから。」
ハボックの言葉にロイは目尻を吊り上げた。
「私の焔以外の焔で体に傷なんて作るなっ」
そう言うロイにハボックはきょとんと目を瞠る。呆けたように自分を見下ろしてくるハボックにロイは囁いた。
「お前に痕をつけていいのは私だけだ。」
そうしてロイはハボックに噛み付くようにキスをする。
「あっ」
バランスを崩したハボックがロイ諸共ソファーに倒れこんだ。圧し掛かるようにして深く口付けてくるロイにハボックは
身を捩った。
「たいさっ」
「煩い。」
ロイは湿り気の残るハボックの髪に手を差し入れて顔を仰け反らせると、晒された喉をきつく吸い上げる。唇を離すと
後には綺麗な紅い花びらが散った。そのままいくつも首筋に痕をつけていくロイをハボックは必死に押し戻そうとする。
「やめ…っ、そんなトコ、服で隠れな…っ」
襟の高い軍服でもとても隠しきれない箇所に幾つも所有の印を刻まれてハボックは慌てた。だがロイはそんなハボック
に構わずシャツのボタンを外すと、同じように幾つも印を刻んでいく。ちくりとする痛みとそこからジワリと広がる快感に
ハボックは身悶えた。乳首を痛いほど吸い上げられてハボックの体がしなる。
「あっあっ」
数え切れないほどの花びらがハボックの体に散りばめられていく。脇の薄い皮膚をきつく吸われるとうっすらと血が
滲んだ。痛みと快感に支配されてハボックの頭に霞が掛かっていく。もう、ハボックはまともに考えることも出来ずに
ロイに与えられるままに体を震わせるしかなかった。気がつけばズボンを剥ぎ取られ、煌々とした明かりの下、下肢を
晒されていた。ひやりとした空気を普段外気に晒すことのない部分に感じて、ハボックはハッとする。大きく脚を開かれた
自分の姿にかあっと頭に血が上った。
「やだっ、たいさ…っ」
なんとか逃れようと身を捩るが脚の間に体を入れられ閉じることが許されない。ロイはハボックの白い内股を押し開くと
そこにも痕を刻んでいった。
「つっ…たいさっ、も…やめて…くださ…っ」
際限なく続けられる行為にハボックが悲鳴を上げる。
「黙れ、お前がいけないんだろう。」
「そんな…っ」
ロイはハボックの脚にも次々と印を刻んでいたが、とろとろと蜜を零すハボック自身を目にするとそれを口に含んだ。
「ああっ」
じゅぶじゅぶと唇で擦り上げられてハボックが身を仰け反らせて喘ぐ。ロイは唇でハボックを可愛がりながらその後ろに
指を沈めていった。
「やあっ…あ…ああっ…やだ…っ」
前と後ろを同時に言いように弄られてハボックはぼろぼろと涙を零した。強すぎる快感にあっという間に上り詰めた体は
びゅくびゅくと熱を吐き出した。
「あああああっっ」
口内に吐き出された熱を残らず飲み干すとロイは体を起こしてズボンを脱ぎ捨てた。ぐったりとソファーに横たわる
ハボックの顔の上に跨ると猛った自身をハボックの口中へ押し込んだ。
「んぐ…っ…ぐぅ…っ」
突然のことにハボックはまともに息もつけずにロイの脚に縋りついた。ぐいぐいと押し込まれるロイ自身に息苦しくて青い
瞳からは止めどなく涙が零れる。
「しっかり絞めろ。」
強引にハボックの口中に抜き差ししながらロイが言う。ハボックはうっすらと目を開けると言われるままに必死に喉と
唇でロイを締め上げた。暫くしてロイがぶるりと震えるとハボックの口中にどっと青臭い液体が流れ込んできた。必死に
ハボックがそれを飲み込むと漸くロイはハボックの口から己を引き抜く。
「ごほっ、ごほごほっっ」
咳き込むハボックの体を引き起こすとロイはハボックを四つに這わせその蕾に己を宛がった。
「は…あ…まって…っ」
肩越しに振り向いてロイを止めようとするハボックの言葉など気にも留めずにロイは一気に自身を突き入れた。
「――――っっ」
衝撃のあまり声も出ないハボックの中心からびゅると熱が迸った。ロイはハボックの腰を押さえつけると抜けんばかりの
処まで己を引き抜き次の瞬間にはハボックの最奥までガンと突き入れる。その動きに合わせてハボックの熱い襞は
やわやわとロイに纏わりつきロイを締め上げる。ロイを激しい快感が襲うが唇を噛み締めて耐えると容赦なくハボックを
突き上げた。
「ひあっ…ああっ…あっ…たい、さっ…」
激しく揺さぶられてハボックの瞳から止めどなく涙が零れる。瞬く間に上り詰める中心からハボックは続けざまに熱を
吐き出した。強すぎる快感にハボックは叫び続ける。
「ああっ…あっ…んあっ…あ、あ…もうっ…ゆるし…っ」
何度目になるか判らない熱を吐き出してハボックの意識はかすんでいく。ロイの熱が体の内側を焼いていくのを意識の
外側で感じながらハボックは気を失った。

意識をなくしたハボックの体からずるりと引き抜いてロイはソファーにくず折れたハボックの体を反した。涙に濡れた頬を
そっと撫でるとその唇にキスを落とす。ロイはハボックを抱きしめるとため息を漏らした。ハボックの手元で焔が燃え
上がったのを見たときは心臓が止まるかと思った。かつて戦場で自分が奪った命のように、瞬時に燃えて消えてしまう
のかとぞっとした。ロイはハボックの体を抱きしめてその温もりを確かめる。その包帯に包まれた腕をとるとそこへそっと
口づけてロイは瞳を閉じた。


2006/8/1


花火ネタのロイハボ版です。ああ、またハボロイ派の人から何か言われそうだな…。どうも、私の中でハボロイは綺麗に、ロイハボはエロにってのがあるみたいでどうも…ははは(殴)
手持ち花火に纏めて火をつけたのはうちの息子です。最初の内は両手に一本ずつ持ってやってたのですが、気がついたら5、6本纏めて持ってて、あっと
思ったときには火、つけてました。幸い怪我とかはしなかったのですが、凄い火勢で本人も親もたまげましたよ。勿論後でこっぴどく叱られましたが。
ハボ、小学生並み(苦笑)去年は使ってない花火の近くで子供が花火に火をつけたらその火花が引火して一挙に燃え上がり、バケツの水をぶっ掛けたりした
こともあります…。皆様、花火やる時は気をつけてくださいね。