bur


「あ、栗だ。」
ならんで歩いていたハボックが突然そう言うと足元に転がるものを拾い上げた。大きな掌の上に小さな針でできた
ボール。
「ほら、大佐。」
唐突に投げて寄越すから思わず受け取ってしまったら、ちくちくと掌が痛んだ。
「イタッ!…何するんだ、お前はっ?」
「あれ?まさか受け取るとは…」
「お前なぁ…っ」
怒るより先に呆れてしまってその顔をまじまじと見つめる。するとハボックはにっこりと笑って、イガがあたってうっすらと
赤くなった手を取った。
「痛いの痛いの飛んでけ〜」
そう言ってぺろりと掌を舐めるから、ギョッとして手を引っ込めた。目を見開いてハボックを見つめる自分を不思議そう
に見返すと、ハボックは数度瞬きしてそれからにこっと笑った。
「痛いの、飛んでいきました?」
「ばっ、馬鹿かっ、お前はっ?」
ドキドキと跳ねる鼓動を抑えてそう言えば、ハボックは「ひでぇ」とぼやいた。
「ガキの頃、よくそういうおまじない、やりませんでした?」
と、へらりと笑いながら言うから、思わず蹴り上げてやりたい衝動を抑えるのが大変だった。
どうしてコイツはいつもこう、平気で人を煽るようなことをやってのけるんだろう。しかも、本人は全く無自覚ときている
から始末に終えない。ハボックはまるで気にした風も無く林の中へ歩を進めると手招きした。
「ほら、ここに栗の木があるんスよ。」
そう言って木の幹をデカイ足でがつんと蹴飛ばす。するとばらばらと上から毬栗が降ってきた。
「うわっ」
慌てて頭を庇う自分を見て、ハボックは楽しそうに笑った。
「大佐、カワイイ〜っ」
「〜〜っっ」
ムカッとして足元の毬栗を蹴飛ばしてやれば、身軽にひょいとかわした。可愛くない。
ハボックは足元の栗を拾い上げると中を覗き込む。
「栗って、この狭い中にぎゅうぎゅうに身を寄せ合って入ってて、なんかカワイイっスよね。」
「かわいいって…お前の美意識はよく判らん。」
「そうっスか?」
ハボックの手元の栗をを覗き込みながらそう言えば、ハボックが意外そうに返してきた。
「普通だと思いますけどね。少なくとも…」
そう言って側に立つ自分を木の幹と腕の間に封じ込めると耳元で囁く。
「アンタが綺麗だなって思うんですから。」
あ、と思ったときには木の幹に押さえ込まれて唇を塞がれていた。
「んんっ」
押し返そうとする体を容易く封じ込めて、ハボックの手がシャツの前を寛げる。ひやりと冷たい空気が肌に触れたと
思った瞬間、ちくりと乳首を刺激する痛みに身を竦めた。見ればハボックが手にした毬栗の先で乳首を突いている。
息を飲む自分を青い瞳が面白そうに見つめて、ハボックは低く囁いた。
「痛い?」
胸を突かれる痛みとハボックの低い声がジンと体に響いて、下肢が熱くなった。唇を噛み締めて俯けばハボックが
くすくすと笑う。カッとなって睨みつけてやれば平然と見返してきた。
「よせっ!」
「うそばっか。」
こういうのスキだもんなぁ、と囁かれて、思わず膝を蹴り上げれば難なく交わされて、むしろ脚の間にハボックの脚を
差し込まれて身動きも儘ならなくなる。
「たいさ、かわいい…」
そう呟きながら手にした毬栗で肌を刺激する。脇腹の敏感な部分を弄られて思わず悲鳴を上げた。
「やだっ!」
ぽろりと零れた涙をハボックが唇で拭って耳元で囁いた。
「いやなの?」
懸命に頷けばハボックが顎を掴んで唇を寄せた。
「じゃあ、ズボン、脱いでくれます?下にはいてるのも全部。」
突然そんなことを言うから目を見開いてハボックを見つめる。
「こ、ここで…?」
「そう、ここで。」
「なんでっ?」
悲鳴混じりにそう聞けば、いつもより濃さを増した青い瞳が笑った。
「シタクなったから。」
「…っっ」
息を飲んで、身を硬くしてハボックを見つめる自分に微笑むと、ハボックは手にした毬栗を先ほどより強く肌に押し当てた。
「いっ…」
「早く脱がないと、もっとやりますよ。」
それともやって欲しいの、などと意地悪く言うから、ハボックの腕を掴む指が震えた。
「たいさ…?」
耳もとで囁く声にびくりと震えて、それでも促されるままにベルトに手をかける。震える指でボタンを外し、下着ごと
ズボンを下ろした。靴が邪魔して上手く脱げないので、靴も脱ぎ捨てるとズボンを引き抜く。言われるままに下肢を
包む布を全て取り去った自分を満足げに見下ろすと、ハボックは持っていた毬栗を投げ捨て、ゆるりと立ち上がった
中心をそっと掴んだ。
「やっぱ、よかったんじゃないっスか。」
そう囁かれてゆるゆると首を振った。木の幹に押さえつけられて唇を塞がれる。ハボックの舌が口中を嘗め回す間も
彼の大きな手が包んだ中心を擦りあげ、瞬く間に追い上げられていった。
「あっ…でる…っ」
先端をぐりっと刺激されて、考える間もなくハボックの手の中に熱を放っていた。荒い息を吐く自分に軽く口付けると
ハボックは、白濁で濡れた指を蕾へと沈めてきた。
「ひっ…あっ…」
乱暴にかき回されて、快感よりも痛みが先に来る。ハボックの腕を掴んで痛いと訴えようと口を開こうとして視線を
上げた先に、木の陰に細い人影を見つけてぎくりと身を強張らせた。
「ひ、人がいるっ!」
慌ててハボックから身を離そうとしたが、ハボックは沈めた指をぐいと突き上げる。
「ひあっっ」
身を仰け反らせる自分の耳元でハボックは楽しそうに囁いた。
「栗拾いに来た子みたいっスね。」
「おまえっ…気がついてっ」
「いいじゃないっスか、見せびらかしてやりましょうよ。」
そう言って、ハボックはぐちゃぐちゃと蕾をかき回した。
「いやだっ」
身を捩る自分の片脚を抱え上げてハボックは解したソコへ堅くそそり立ったハボック自身を押し当てた。
みしりと。
ハボックが押し入ってくる瞬間思わず向けた視線の先で、少年が息を飲むのが見えて。
熱い塊りに貫かれた瞬間、熱を吐き出していた。
「あああああっっ」
乱暴にかき乱されて犯される自分を食い入るように見つめる視線を感じて。はしたない声を上げるのを止めることが
出来なかった。

ぐったりと木の幹に体を預ける自分の衣服を整えて、ハボックが頬にキスを落とした。責める視線を向ければハボックが
へらりと笑った。
「悦かったデショ?」
「…嫌いだ、お前なんてっ」
見られて感じたなんて、自分でも信じられない。恥ずかしくて消え入りそうになる自分を抱きしめてハボックが囁いた。
「スキですよ、大佐。アンタがオレのだって、見せびらかしたい。」
「なっ…」
「ホントは司令部のど真ん中でアンタを抱きたいんだけど。」
目を見開いて見つめる自分にハボックは笑う。コイツなら本気でやりかねないと怯えると同時に、ずくんと体に籠る
熱に思わずハボックに縋りついた。
「…やりませんよ。」
ハボックが苦笑して言う。
「あんな悦さそうな顔しちゃって、今度は二人だけの時にああいう顔させて見せますから。」
そう言うハボックにたちまち顔に熱が上がる。そっと口付けられてその厚い胸に縋りついた。


2006/9/12


秋企画、テーマは「栗」でございます。「bur」って「イガ」って意味の他に「くっついて離れない人」って意味も。あ、あれ〜?なんで、こんなヘンタイちっくな話に
なってしまったんでしょう…(滝汗)やっぱ最初の数行だけでss書き始めるの、やめないととんでもない事になるって身をもって知りましたよ。しかし、とんでも
ない所に遭遇してしまった彼は、トラウマだろうなぁ…。すみません、こんな話で(脱兎)